今回は不思議や怖いとは全く関係のないお話です。
異空間の住人①でお話したお味噌汁のおばちゃんとの思い出。
封印していた事がなぜ思い出されたのかをお話いたします。
小学校中学年でマンションから引っ越した私達家族は、ある港町に居を構えました。
そこは戸建て住宅でしたので犬を迎えました。
ケビンと名付けたその犬は大変賢く、15歳で老衰により天に召されるまで病気らしい病気もしませんでした。
そのケビンなんですが、25kgを超える大きな体躯にシェパードのような精悍な顔立ち、毛色も濃いブラウンと見かけは怖そうでしたが、愛想が良く、近所でも人気者でした。
予防注射や健康診断も嫌がらず、フィラリア予防薬などは催促するくらいで、動物病院の先生方にもウケが良かったです。
ケビンのお散歩は私と弟の二人が担当でした。
ケビンを迎えて十年、私は大学生、弟は中学生になりました。
ある休日の朝、私達姉弟はケビンを連れて、いつもより遠出しました。
おにぎりと水筒、ケビンにもジャーキーとお水を持って海の見える突堤へ向かいました。
途中製薬会社の前を通ったのですが、社員食堂なのでしょうか?
お味噌汁のいい匂いがしてきました。
匂いのする方を見てみると窓が少し開いていて、湯気と香りが漂っていました。
「• • • ?あ!お味噌汁のおばちゃん!」
なりふり構わず叫んでました。
弟とケビンはキョトンとしてました。
しばらく見上げているとお味噌汁の香りに混じって焼き魚の匂いがしてきました。
「お姉ちゃんどないしたん?」
「うん、なんでもないよ、行こか、ケビン!」
なんだか懐かしくて、涙が出てきましたが、弟に悟られないよう走り出しました。
ケビンにはバレてたのか、突堤に着くとほっぺをペロペロ舐められました。
さてこのケビン、やはり動物は人間以上に敏感で、色んな不思議な住人に遭遇し、慣れ親しんでおりました。
私達はゾッとする事もありましたが。
そのお話はまたの機会に。
ご拝読ありがとうございました。
作者ゆ〜
みなさんご拝読ありがとうございます。
今回は全く怖さや不思議さはありませんが、封印された思い出が蘇る瞬間を書きました。
天然な弟とは逆で犬のケビンがこれからの不思議体験で面白い反応や活躍をすることになります。
また読んでいただければ幸いです。