とある田舎でおきたお話・・・。
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「ああああああ!!!!」
「どうした?」
「お、おおお、俺のコマが沼に落ちちゃったよ!!
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああんっ(泣)」
純はへなへなと田んぼの端の座り込み、号泣しはじめた。
「おばあちゃんがせっかく作ってくれたのにいいいいいいいいいいいいいいっ!!
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああんっ(泣)」
彰はズボンの裾を捲りあげ、ずぶずぶと沼の中へ。
「あ、あきっ・・・彰?なに、するの・・?」
「コマ取ってくるから待ってろ。そこを動くなよ。」
「うっ、うんっ・・・」
そういって頷いた純だったが、彰がどんどん沼に沈んで行くのを見て、
「も、もういいよっ!!彰っ!!危ないから戻ってきてよっ!!」
そういって自分も沼へと浸かった。
奥へと進んでいた彰は、ずぶずぶと沈んで行く純を見つけ、叫んだ。
「純!!来るなっていったろ?!いますぐ戻れ!!」
「たっ、たす、助けてッ、助けてよおおッ!!」
「純!!純!!動くな!!動くと余計に沈むッ!!」
必死に純のもとへと戻ろうとする彰だったが、純は底へと沈んでいってしまった。
「純!!」
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彰は沼を上がり、泥だらけの頬をこすった。
「・・・。」
コマはどちらも沼に飲み込まれてしまった。
彰は振り返らずに家に走った。
家に戻ると、おばあちゃんとおじいちゃんが宴会を開いていた。
「ただいま」
彰の小さな声は、すぐ近くにいたおじいちゃんにだけ聞こえた。
「おお、彰!!どうした、そんな泥だらけになって!!」
「ううん・・。」
「それより、純はどうした?」
「・・・純は・・・」
「まだ、外にいるんじゃな?
おじいちゃんが、探してくるわい。
おばあさんや!!彰が帰ったぞ!!」
おじいちゃんの声に反応したおばあちゃんが、彰のもとへ。
「あれまあ、泥だらけじゃないか。
大丈夫かい?」
何も答えない彰に変わり、おばあちゃんは笑顔で言った。
「コマくらい新しいものを作ってあげるのに無理しちゃ駄目よ。」
「うん。」
「純はどこ?」
「・・・沼にいるよ。」
「沼かい、そうかい。じゃあおばあちゃんもおじいちゃんと一緒に
さがしてくるねえ。このタオルで体をよおくお拭き。」
「・・・・うん。」
おばあちゃんが出て行くと、彰はタオルに顔を埋めた。
もし・・・
おじいちゃんとおばあちゃんが俺のせいで純が死んだって、わかったら・・・
俺、怒られるかな・・・。
もう、この家で生きていけないかもしれない・・・・
一生口を利いてくれないかもしれない・・・
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・・・・・・・・・ああ、・・・・もう・・。
沼なんかで遊ばなきゃ良かった・・・。
あんな遠いとこまで遊びに行ったから・・・
俺は年上だから、しっかりしなきゃいけなかったのに・・・
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・・・ごめん、純。
いつか絶対、その沼から出してやるからな。
作者じn
意味が分かると怖い話です!!
でもちょっと簡単すぎたかな~(--)
さて、最後まで読んでくれた方、ありがとうございましたっ!!
良ければコメントとか残していってくださいね!!
ではここで解説です
【解説】
彰と純は沼でコマ遊びをしていて、
その最中、純のコマが沼に落ちてしまいました。
この場所には二人しかいなかったので、
この
「純のコマが沼に落ちた」
という事実はこの二人しか知らない、ということになります。
ですが、彰の姿を見たおばあちゃんはこういいましたね。
「コマくらい新しいものを作ってあげるのに無理しちゃ駄目よ。」
何故あの場にいないおばあちゃんがそのことを知っていたのでしょう?
答えは簡単ですね。
おばあちゃんは、その現場にいた、ということです。
仮に純の泣き叫ぶ声がとても大きかったとしましょう。
おばあちゃんの家はかなり遠いうえに、宴会ですから聞こえるはずはないですよね。
コマをもって居なかったから気付いた可能性もありますが、
泥だらけの孫を見て、「コマ」がないことにすぐに気付くおばあちゃんなんて
そういないはずです。
まずは孫の状態が一番ですからね。
つまり、二人のおばあちゃんは、純があれだけ危険な状態になっていたにも関わらず、
救いの手を伸べなかった、ということです。
(もし自分の力だけじゃ無理だ、と思って助けを呼びに行ったのなら、
今頃おばあちゃんの家は宴会どころではないですからね。)