大学生になることもあって、学校から近いマンションに引っ越すことを決意した。
不動産屋のドアと開けると、眩しい笑顔で迎えてくれる。
出来るだけ安い物件を探してくださいとお願いすると、店員さんがパラパラとページをめくって、「ここなんかどうですか?新築ですし、余ってますから好きなお部屋が選べますよ」と提案してくれた。
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部屋の写真を見ながら、一部屋だけ桁外れに安い部屋を見つけた。
「ここ、なんでこんなに安いんですか?」
「そこは少し傷の多いお部屋なんです。以前住んでいた方が残した傷が酷くて…」
「そうですか…でも、それ以外は他の部屋と同じなんでしょう?
それならここにします。」
駅からも近くて、その日のうちに下見をして、俺は満足してその部屋を購入することにした。
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その夜、とある友人Aと食事の予定を思い出し、急いで場所へ向かった。
「ごめん!ちょっと遅れた」
「ほんの少しだろ。いくぞ」
「おう」
それから手頃な値段の店を見つけたので、そこで二時間ほど飲み明かした。
今日は安い物件を見つけたり、いい店に入れたりと、なんだかとても運がいい気がする。
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上機嫌になった俺は、少ししゃべりすぎてしまったみたいだ。
隣にいるAをみると、飲みすぎたのか顔を真っ青にしている。
本格的にヤバイのか口を抑え始めた。
「おい、大丈夫か?トイレまで連れてくぞ」
「大丈夫だ、問題ない。とりあえず一人でいってくるわ」
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あの名台詞を吐けるほど余裕があるなら大丈夫か、Aは暗いトイレに入って行った。
十分ほどすると、さっきの青さが嘘のようにいい顔色になったAがもどってきた。
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自分の隣の席を開けると、Aはそこには座らずに、俺の目の前の席に座った。
なんだか様子がおかしい。
「A、もう帰った方がいいんじゃないか?また別の日に来ればいいし」
「いや、いいんだ。
それよりお前、今日変なところ行かなかったか?」
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「変なところ…?あ、そういえば新しく住むマンションの下見にいったなぁ」
「そこにはもう絶対に行くんじゃないぞ!誰かに付き添ってもらってもだ」
「なに言ってんだよ。新築だし変な雰囲気はしなかったぜ?」
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しかしAはいくら説明しても絶対に行くなの一点張りで、もしここでうんといわないなら家までついて行くとまで言っている。
しょうがないから、その場限りの返事をして家路についた。
しかし俺は全くあの物件を手放す気はなかった。
一週間後にはその部屋に全ての家具を納めた。
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sound:30
〜Aの目線〜
Bはおれの忠告を聞かずに、すでに三日前には新しい家に入居していた。
「あれほど厳しく言ったのに、おれは信用ならないのか?」
「いやいや、そうゆうわけじゃなくって!大袈裟だから驚かせたいのかと思ったんだよ」
こいつはうまく言い逃れをしたいんだろうが、おれは絶対にそうはさせない。
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「新しい家見せてくれよ。
本当に安全なところか心配なんだ」
「そんなに言うなんてAらしくないな…だけどうちでよかったら来てよ」
その日のうちにBの家をみせてもらった。
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sound:27
sound:26
「お邪魔します」
「どうぞ〜」
部屋の中から女の人の声が聞こえる。Bに彼女いたっけ?
玄関から奥に進むとリビングになっていた。
何処からか腐ったようなひどい悪臭が漂っている。
「B…なんか変な匂いしないか?」
「そんなことないぞ?三日に一度は掃除してるし」
綺麗好きなBが部屋を汚すわけが無い。ということは、彼の知らないところで何かが腐敗していると見た。
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続いて風呂を見せてもらう。
清潔感漂っているが、さきほどのリビングの様に悪い気がするのに代わりはなかった。
ふと、排水溝を見てみると、長い髪の毛が絡まっている。
おれはこれから起こることを予感して、あえてそれには触れないでおいた。
最後、寝室に入った。
おれは信じられないものを目にした。
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Bのベットの上には死体が寝ていた。
塞がれていた目がぱちっとあいて、続いてこちらをぎょろりと見据える。
そいつの体は見事に腐敗していて、リビングで嗅いだあのにおいがなお強烈になっている。
死体はガバッと起き上がり、ゾンビの様に手をまえに突き出しながら、おれを捕まえようと
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気づいた時には、おれは葬式の場にいた。
さっきのは夢か…非常に気味の悪い夢だった…
いや、思い出した。
Bは死んだ。
あれはBだった。
本当は案内してくれたBはあそこで殺しておいて、誰も知らな新居で自殺に見せかけて葬ったのは
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おれだった。
短い生涯だったろうが、Bにはおれの彼女と一緒に静かになってもらっていよう。
おしまい
作者退会会員
AだかBだか分かり難かったと思いますが、頑張って書き分けしました。
フィクションです。実際の個体、団体には一切関係ありません。
最後まで読んで頂ければと思います。
私の他の作品もよかったら読んで見てください。では(*^^*)