ある日、ぼくはうさぎを拾った。
そいつは、ぼくの通っている学校への通学路途中の道端にダンボールと一緒にいた。
触ろうとしたぼくに、元気一杯に噛み付いてきたそいつをぼくは思いっきり抱き上げた。
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さて、これからどうするか。
お母さんは動物アレルギーだし、お父さんは絶対うさぎを飼うのを許してはくれないだろう。
なら選択肢は一つ。
秘密にして、家で飼おう。
うさぎなら、世話も簡単な筈だ。
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かわいそうなぼくのうさぎ。
今からぼくが助けるからね。
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飼い始めて一週間。
ついにお母さんに見つかった。
どうやら、ぼくが学校に行っている間に隠していた押入れから出てきてしまったらしい。
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どうしよう。
このままだと確実に捨てられてしまう。
かわいそうなうさぎは、もっとかわいそうなうさぎになってしまう。
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しかしぼくの思惑とは裏腹に、お母さんはその晩にお父さんと話し合い、結果、家で飼うことになった。
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お母さん「1度拾ったんだから、また捨てる訳にはいかないじゃない」
お父さんは 「◯◯。今回だけは特別だからな。次からは動物なんかは拾ってくるなよ?」
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ぼくは泣いた。
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かわいそうじゃなくなったうさぎ。
これからは幸せに暮らし始めるのかな…。
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その日の夜
お母さんとお父さんが寝静まったあと。
うさぎがいるゲージの前にぼくはいた。
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うさぎはぼくに気が付いたらしく、目をピクッと開けた。
ぼくはゲージを開けて不思議そうにしているうさぎを抱き上げると、2階の窓を開け、そこからうさぎを投げ出した。
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ドサっ!
そんな音だけが小さく鳴り響く。
うさぎはそこから少しも動き出さなかった。
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「…サヨナラ、ぼくのうさぎ。」
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「だって、かわいそうじゃなくなったうさぎなんて…」
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ぼくにはとても必要ないんだもん。
作者赤庭玖繰
はじめましての方は、はじめまして。
朱城憂と申します。
まさか、この怖い話がここまで沢山の人に読まれることになろうとは思いもしませんでしたw
とても嬉しい限りです。
読者の皆様、ありがとうございます。
まだまだこれからも、怖い話が思いつき次第投稿していきますので、よろしくお願いします。