短編1
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レンタルチルドレン 1

8月30日。火曜日。午後2時40分。

神奈川県渋野市。

乗客41人を乗せたバスは、国道から峠道に入った。左右に生い茂る木々が、太陽の光を遮断する。

都会での生活を忘れさせてくれる、セミの鳴き声。こんなにも気分が落ち着くのは何年ぶりだろう。俊太と一緒に来ることができてほんとによかった。見通しの悪い緩やかな坂道を、バスは一定の速度で進んでいく。

くの字のカーブでは、さらにスピードが落ちる。

乗客の話し声が絶えない車内。窓からの景色を眺めていた熊本新太郎は、隣に座る俊太に微笑んだ。「暑くないか?」

しかし俊太は、前の座席に視線を向けたままだ。遠くから、飛行機の音が聞こえてきた。熊本が眺めている景色を、白い翼が横切った。「ほら俊太、大きいなー」

その時だ。赤いスポーツカーが熊本の目に飛び込んできた。スポーツカーは大きく車線を外れた。

そのまま正面衝突した。

崖からバスは落ちた。

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亡くなったのは40人。

血まみれの服を着た子供が、何もなかったように、バスから降り、そのまま行方をくらました。

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