社会の時間、特に歴史、世界史なんてのはほとんど暗記物。
授業は歴史的背景とかなんやら言っているがそんなの興味ない。
とにかく暗記が全てだった。
先生も立場上、授業はするのだが誰も聞いてくれないほど悲しいものはない。
話を脱線したりしてなんとか授業を保っていた。
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ちょうど第二次世界大戦の時だったかな?
ドイツのヒトラーの話が出たときだった。
ヒトラー著書の「我が闘争」はご存知だろうか?
私自身、読んだことないが簡単に言い表すとヒトラーの自伝書である、らしい。
こういう本が出たと先生が言いかけた時だった。
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shake
「はい!!!先生!!その本は素晴らしいですよね!!!」
いきなり起立しだし、賞賛の声を上げる。
しんと静まり返る空気。
先生もきょとんとしている。
その発言をしたのは普段とてもおとなしい男子生徒だった。
「あ、ああそうだな。であるからし」
「僕は○○○という部分に非常に大きく感動し・・・」
なんとか流そうとする先生の言葉を遮り何とその本について語りだしたのだ。
僕は○○○だと思うとか、○○○はやっぱり間違っていなかったとか・・・
そんなことを残りの授業を延々と聞かされ続けた。
そいつの目はキラキラと輝いていて止めるに止めれなかったらしい。
チャイムが鳴り、ようやく開放される・・・
起立、礼、
shake
「ハイルーッ!ヒットラー!」
そいつは礼のところで元気よく敬礼した。
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そんな彼ももう大人になり社会に出ている・・・
作者酢物