短編2
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再来

何時もより早く寝る為に深夜1時にベッドに潜り込む。すぐに眠りに落ちるが不快な電子音で目覚めた。どうやら俺の部屋の真下の和室から聞こえるようだ。布団の中で暫くその音の正体が何なのかを考える。

直ぐに確かめに行けば良いのだが…なんせその和室、以前妻が早朝バイトの為、家族に迷惑が掛けられないとオモチャ部屋だった和室に一人寝る事になったのだが、棺桶が閉まるよう音が繰り返し聞こえ、結局怖くて子供と一緒に寝る羽目になった部屋なので、俺も少し警戒して直ぐには確かめに行けなかった。因みにその棺桶の音が聞こえている最中、俺も居間でDVDデッキの電源が付いたり消えたりと、飼い猫がウーウー唸っていたりと怪現象に見舞われていた。

だが何時迄も考えてばかりでは埒が明かないし子供が起きてしまう。

意を決してベッドから出て、階段の電気を点け降りていった。

和室の扉まで来ると扉越にけたたましい電子音が鳴り響いて五月蝿い。その時点でどのオモチャが鳴っているかは容易に想像が出来ていた。俺の子供は二人とも男の子で女の子はいない。だがたまに女の子も遊びにくるようでその時の忘れ物のオモチャだ。先端がハート型でその中の光がクルクル回り「クルリンクルリン♪」と大音量で鳴るのだ。

でも“なぜ”という考えが巡り少し躊躇する。スティック部分のボタンは突起物ではなくスティック内部に押し込むタイプなのだから。

考えれば考えるほど背筋がゾクゾクする。だがその音を止めなければ眠れない。そして半ばどうにでもなれ的に扉を勢い良く開け放った。

勢いをつけて扉を開けたはずなのに、視界に流れる動作が妙に遅く視界が狭く感じた。

扉が徐々に開きオモチャから発せられる光色が壁を色鮮やかに照らしている。

徐々に玩具箱が見えるが、光源はまだ見えない。

そのまま目線は床に沿って畳をなぞるが光源は見えない。

扉を開き切り部屋全体が色鮮やかに照らされている…が光源は畳のどこにも見当たらない。

徐々に視界が広がり空中に…足…白い足。

そのまま一気に天井まで視界が広がったと同時に光源の元であるオモチャが畳に落ちて暗闇に包まれた。

俺は和室には入らずそのまま静かに扉を閉めた。

暗闇になる前のほんの一瞬、オモチャから出る光に照らされた人の顔が天井に浮かんでいた…

あの顔は忘れもしない、以前看板制作をしていた時に夢で見た物を絵にして散々な目にあったから…

あれはその少女の顔だった。

物置の奥にあるあのケースを確認するべきか…

Concrete
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ガラ様。コメ、怖、有難う御座います。

確認、まだしてません。勇気が…出ません(笑)

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やばすぎでしょ!絶対確認しない方がいいですよ!!

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uniまにゃ~様 コメ・怖、有難うございます。

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