2話目の投稿です。
1話目(病院での夜勤)でもお話しましたが、
自分は「視えない」人なので実際に幽霊を見たことはありません。
しかし、不可思議な経験はいくつか体験談がありますので、それをお話します。
前回以上にオチのない話ですので、お暇潰しにもならないかもしれません。
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自分は現在、関西在住なのですが、田舎は九州になります。
その田舎で暮らしていた時のお話です。
自分は小さい頃に両親が離婚し、母方の祖父母の家で、祖父母と母親、弟と一緒に住んでいました。
といっても、もともと祖父母は2人暮らし。
1階に祖父母が主に過ごす部屋。
2階に部屋が2つあるだけの小さな家に住んでいたので、2階の1部屋を母親、もう1部屋を自分と弟が使う、というような部屋割りになっていました。
もちろん、テレビや寝るのも弟と同じ部屋。
しかし、部屋自体も広くないため学習机を設置するスペースがありません。
小学生低学年の時はそれでも困らなかったのですが、自分が中学に入って塾に通いだすとそうもいってられなくなりました。
そのため自分専用の部屋として敷地内の庭(と言える程の大きさではありませんが)にプレハブ小屋を建ててくれることになり、小屋が完成後は、自分の部屋はそこになりました。
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自分は専用の部屋を貰えた事が嬉しく、自宅に居るときは常に小屋で過ごしていたのですが、ある時奇妙なことに気がつきました。
弟が部屋に来たがらないのです。
最初は兄の部屋だからと遠慮しているのかと思っていたのですが、どうもそうではない。
自分が部屋に居る時は、漫画を読みにきたり一緒にテレビゲームをしたり、ということはありましたが、どうも誰もいない時に部屋に
1人で入るのを避けているようなのです。
その事に気がついたのは、ある時、弟の部屋(プレハブ小屋ができる前に一緒に使っていた部屋)で一緒にテレビを見ていた時に
弟が「兄貴の部屋にあるゲームやりたいけん、取ってきてや」と自分に言った時でした。
自分は「やりたいなら自分で取ってきいな(やりたいなら自分で取っておいで)」
と返したのですが、
弟は「1人で行きたくない」
と頑として行きたがらないのです。
そして、ポツリと
「あん部屋、嫌な感じがするけん。俺1人でいくんは嫌ばい(あの部屋は嫌な感じがするから。俺は1人で行くのは嫌だ)。」
と呟くように言ったのでした。
自分は「何やそれ。霊でもおるんかいや?俺、あそこで寝とるけど何もなかぞ(何だそれ。霊でもいるの?俺はあの部屋で寝てるけどなんともないよ)。」
とその時は弟を小馬鹿にしたのですが、
今思えば、弟は「視える」人だったんですよね。当時は知らなかったのですが。
で、結局、折れた自分がゲームを部屋から取ってきて一緒にその日は遅くまで遊んだのですが、いざ寝る為に部屋に戻ると弟があんなこと言うからなんだか薄気味悪い。
自分は寝る時には豆球すら点けずに部屋を真っ暗にして寝るのですが、真っ暗なだけに余計に怖い。
自分は元から寝つきが悪いので普段からなかなか眠れないのですが、
こういう時に限って怪い話を思い出したりして余計に寝れなくなる悪循環。
「くそっ!あいつが変なこと言うから…」
眠れなくてイライラしてきた自分は、余計な事考えないように、この際眠くなるまで読書でもするか
と部屋の電気を付けようと起き上がった時でした。
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「カリカリ…」
何か音が聞こえてきます。
「カリカリカリ…」
どこからか、何かを引っ掻いているような音が…
「カリカリカリカリ…」
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上から聞こえてきます。
何かが天井を引っ掻いているような音がするのです。
気にせず部屋の電気を付けました。
しかし「カリカリ…」と何かが天井を引っ掻いている音は止まりません。
「何や?ネズミか?」
と深く考えなかった自分はその日は眠くなるまて読書をし、眠りました。
その日から部屋では奇妙な事が起こり始めました。
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• 本棚から本が落ちてくる
• 梅雨時期になると何処からか部屋の中にナメクジが沢山侵入してきて壁に張り付く
• 春になると戸締りしているにも関わらず毛虫が部屋の床に…
• 「カリカリ…」という音は昼夜関係なく鳴っている
なにより不思議なのは、これらの現象が自分や弟が部屋にいる時にしか起こらないことでした。
祖父母や母が部屋に来ると「カリカリ…」もピタッと止まり、祖父母や母が出ていくと、また「カリカリ…」と何かが天井を引っ掻き始めるのです。
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まぁ、具体的に何かをされる訳でもなく、実害もなかったのでしばらくすると慣れてしまって普通に眠れるようになりました。
弟は相変わらず部屋に来るのを嫌がっていましたが。
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お話はこれだけです。
しかし、ネズミにしては、昼夜ずっと引っ掻いてるのは不自然ですし、そもそも祖父母や母がいると音が止むのも説明できません。
そもそも、プレハブ小屋の天井と天板の間にネズミなど生き物が入り込めるような隙間があいてるんでしょうか?
本棚から本が落ちてくるのが自分が部屋にいるとき限定というのも…。
まぁ、これは偶然の可能性も否定できません。
ナメクジや毛虫はどうなんでしょう?これもプレハブってそんなに隙間があいてるんでしょうか?
不思議な部屋でした。
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これは余談なのですが、母は現在マンションを購入して、弟もそこに一緒に住んでいます。祖父母はお話中の家にまだ住んでいます。母がマンション買った時にそちらでの同居を申し出たら祖父母に断られたらしいです。
で、去年の夏に自分も一週間程帰省したんです。もちろん祖父母にも会いにいきました。
プレハブ小屋もありましたよ。
「懐かしいなぁ」って祖母と小屋に行ったら
まだ、自分が使ってた机とかそのまま捨てずに置いてあったんです。
「あんた達がいたときが一番楽しかったよ」なんて祖母がいうもんだから、ちょっとウルリときたりして。
で、祖母が「飲みものでも持ってくるから」
って部屋を出ていって、自分一人になった時に始まったんです。
「カリカリカリ……」
作者ハク