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「最初はぐぅ!じゃんけんぽん!」
光希と夢子がじゃんけんをしているところに、ちょうど風呂上りの私が入ってきたところ。
「夢子の負け!
これで5たい0ねー♪」
光希の得意げな声に、夢子は頬を膨らませた。
「二人とも、そんなに暇だった?」
私が聞いてみると、夢子が静かに言った。
「…怖さを紛らわしてるだけだよ」
え?と思った。
「いやーあのね!
この旅館、幽霊出るって噂でさ…」
光希が言うには、ちょうど四年前。
この旅館のこの部屋で、自殺した女の人がいるらしい。
その人は貧乏で、自分の最後のお金を使い果たしてこの旅館にきたそう。
でもお金が0になった彼女はやりたいことを
見つけることもできず、この部屋で自殺したそう。
「その霊がこの部屋にとりついてるんじゃないかーってこと?」
「多分そういうこと」
背筋にゾゾっと寒気が通り抜けた。
楽しいはずの修学旅行。
それが一気に恐ろしいもののように感じた。
「武田くん…!?」
ふいに夢子が叫んだので、ビクンッと驚きながらもドアの方を見た。
そこには武田くんが立っていた。
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「どうしたの?」
「あ、ごめん。部屋間違えたみたい」
そう言って戻ろうとドアの方を向こうとした武田くんの顔が、
いっしゅんにして凍りついた。
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「え、な、なに!?」
夢子が慌てた表情で武田くんを見つめる。
「おい。あれ、誰だよ」
うしろを振り向くと、髪の長い女が
這うようにしていた。
「きゃぁぁぁ!!」
私、夢子、光希は気が狂ったように叫んだ。
そして女は人間とは思えないスピードで
床を這って私たちに近づいてきて、
ふんわりと煙になって消えた。
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あとから聞いた話によると、
この旅館で亡くなった女の人は、
毒物を飲んで、まるで部屋の中を這いずり回っていたかのような不気味な体制で、
亡くなっていたそうだ…
作者花音