中編3
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視線

この話は実際に僕が見聞きした話です。

落ちもなければ怖くないかもしれませんが事実です。

高校を卒業し大学に入学してしばらくした頃の話です。

当時、大学から帰るとバイトに行くか友人の家に数人で集まり

ゲームや雑談などしてだらだらしていました。

たしか季節はちょうど今頃、梅雨時期だったと思います。

いつものように6人ほどで友人宅でゲームをしたり、大学での出来事など話していました。

しばらくするとその中の1人が

「怖い話しよう!」

と言い出しました。

僕はあまり乗り気ではありませんでしたが、

だれともなく話が始まりました。

僕は聞き流すように、一人ゲームをしていました。

しばらくして、なぜか急にテレビの横の窓が異常に気になり始めました。

なんといっていいのか分からないのですが何かにジッと見られている感じがするのです。

次第にその視線が強くなっている感じがしてきました。

友人の部屋は1階で車1台ギリギリ通れる道に面して窓があります。

たまに他の友人が訪ねて来たときよくその窓をノックして友人に挨拶してから

玄関に向かうのは見ていたので最初は誰か来たのかと思っていましたが、

少し違う感覚は感じていました。

その中に1人そういったものを見たり感じたりする後輩がいました。

ふと後輩の方を見ると下を向いて暗い表情になっていました。

僕「ジュース買にいこう」

僕は後輩を誘い外に出ました。

僕「なんかいる感じがするけど気のせいじゃないよね?」

後「さっきからずっと窓の外から部屋をみてるんです。

でもなんでか分からないんですけど部屋には入ってこれないみたいですけどね。」

外に出てそんなやり取りの後、僕はどうしても気になっていた窓の正面に立っている

電信柱の上をチラッと見ました。

僕「!!」

言葉は出ませんでした。

電信柱のてっぺんのところに黒い影が座っており、

ジッと友人の家の窓を見つめていました。

後輩も気付いていたらしく、僕が何か言う前に

後「電信柱の上からみてますね。」

そう言ってきました。

僕「怖がらせるだけだし、このことは言わずに怖い話やめさせよう」

ここですぐに部屋に入ればよかったのですが、

何を思ったのか、僕は視線の中に入ろうとしました。

後「やめとい...」

後輩が言い終わる前に僕は腕だけ視線の中に入れてしまいました。

僕「!!」

視線の中に入れた体の部分だけものすごい鳥肌でした。

更に悲しくとも何ともないのに涙が止まらなくなりました。

一瞬の出来事でしたが

やばい...

そう思いすぐに腕を視線の中から外しました。

後「まずいですよ!」

後輩は心配した顔で駆け寄ってきていました。

僕「大丈夫。ごめん。」

すぐに部屋に帰り、怖い話をやめさせました。

怖い話をやめてしばらくすると視線を感じることはなくなりました。

その日はそれで解散しました。

後日、後輩とあの日のことを話していました。

視線の主はいったい何者だったのか、

なぜ部屋に入ってこなかったのか、

何かを訴えていたのか、何一つ分かりませんでした。

一つだけ分かったことといえば、

その後輩はどうやら僕といるときは、見えたり、感じたりすることが

多くなるそうです。

それは僕も同じで、後輩といると不思議な体験はいつにも増して多くなっていました。

夜の公園で調子に乗ってその後輩と友人3人で怖い話をして

とんでもなく怖い目にあったこともありました。

怖い話をしてると寄ってくる。そんなことを聞いたことがありますが、それ以降は

怖い話は程々にするように友人、知人には伝えています。

Concrete
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白夜叉さん、コメントありがとうございます。

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