知り合いの主婦が体験した話です
その人のご主人が交通事故で死んだ
居眠り運転のトラックが信号無視して突っ込んできたそうです
完全に被害者だった
葬式も終わり、いろいろと落ち着いた頃、保険屋から慰謝料が振り込まれた
金額は1億円ほど
主婦「ああ…あなた…会いたい…」
その人は、ご主人が生前いつも座っていた座椅子に座って泣いていた
その時、目の前に神様が現れた。神は何かの装置を差し出してきた
神「このボタンを押せば、ご主人が蘇ります。押しますか?」
主婦「え…?」
神「押しますか?」
主婦「えっと、その場合…この1億円はどうなるんでしょうか?」
神「え、そりゃ消滅しますよ」
神「当たり前でしょ?ご主人が生き返ったらもらえる訳ないでしょうが」
神「何言ってんのあんた?」
主婦「いや、まあ…すいません…」
神「で、どうするの?押すの?押さないの?」
主婦「………ちょっと…考えさせて…」
神「もう、しょうがないなぁ、じゃあ、このボタンあなたに預けますから、押したければ勝手に押してくださいよ。私も忙しいんだから。じゃあここに置いときますね」
あれから10年。彼女は今日もご主人に愛をささやいている。
「あなた…愛しているわ…安らかに眠ってね…」
そう、ご主人のお墓の前で。
作者あきら