長編25
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佐藤渉VS強盗犯・悪霊

ー佐藤が高校二年の夏休みの時ー

夏休みに入って間もない頃、佐藤は学校の夏期講習に参加していた。

勤「なあ佐藤。」

佐藤が勉強に取り組んでいる最中に隣に座っていた勤が声をかけてきた。

佐藤「ん?何だ?」

勤「お前って今週の日曜は暇?」

佐藤「何だよ唐突に。」

その後勤は長く説明してきたが、要約すると夏祭りの誘いであった。

何でも今週の日曜に勤の町内にある神社で夏祭りが開催されるらしいので、理子も誘って三人で一緒に行かないかという事だった。

佐藤は夏休みは特に予定が無いので二つ返事で行く事にした。

それから一時間程でこの日の夏期講習が終わり、佐藤は勤と帰路についていた。

佐藤「でも理子は行けるのか?今日も昨日も体調崩して休んでるけど。」

そう、理子は昨日から体調不良で夏期講習に参加していないのである。

その為にもしも理子の体調不良が長引いてしまえば、今週の日曜に開催される夏祭りには勤と佐藤の二人だけで行く事になってしまうのだ。

勤「大丈夫だろ。体調崩したって言っても夏風邪だろうから直ぐに治るだろうし。」

佐藤「でも万が一理子が当日休んだらどうするんだ?」

勤「その時は仕方ねえよ、俺達だけででも行こうぜ。それに心配なら今から理子の見舞いがてらに様子を見に行こうじゃないか。元気なら誘えるしよ!」

勤にそう言われて佐藤もそうすることに決めた。

ー理子の家ー

理子の家に着いた二人は早速インターホンを鳴らしてみるが、返事はなかった。

勤「おかしいなあ、理子の奴寝てんのか?」

佐藤「いや、そうだとしてもお母さんが出てくる筈だよ。出てこないって事は出掛けてて留守なのかな?」

二人は首をかしげながらも待っていたが、いくら待っても誰かが出て来る様子が無いので諦めて帰る事にした。

勤「あーあ、無駄足だったか。」

佐藤「仕方ないさ、また出直そう。」

他愛もない会話をしながら再び帰路についていた二人だが、偶然にも途中で石田刑事に出会った。

石田「やあ、渉君に勤君。今日は学校だったのかい?」

佐藤「ええ、夏期講習があったんで。聞き込みですか?」

石田「ああ、この近辺で強盗事件が連続で起こっているからね。」

石田刑事によるとその強盗事件は一週間前から発生しており、もう三件目に上っているらしい。犯行の手口はいずれも被害者宅に侵入後、その家の住人を拘束した上で金目の物の在りかを聞いて盗んでから逃走すると言った物だ。

更に被害者の証言によると犯人は三人組の覆面を被った男達であり、全員ナイフを所持しているとの事だ。また、三件中一件は被害者が殺されたので強盗殺人事件として石田刑事達捜査一課も動いている訳だ。

勤「ひゃあーっ、そんな恐ろしい事件が起きてたのか。」

勤は事件の話を聞いて顔をしかめていた。

佐藤「でも何で一件だけは殺人が…?」

石田「それは恐らく被害者が抵抗したからだろうね。他の二件の被害者達は抵抗しなかったのに対して殺害された被害者だけは抵抗した痕跡があったらしいから。」

そう聞いて佐藤が納得していると側の家から一人の男が出てきた。

男「石田さん、お待たせしました!」

石田「おお、小谷。どうだった?」

男(以下、小谷)「駄目っすね。やはり有力な情報は得られませんでしたよ。」

この会話を読めば分かる人はいると思うが、この小谷という男は石田刑事の部下であり、同じ警視庁捜査一課の刑事だ。

小谷「あれ?そちらの二人は石田さんの知り合いっすか?」

途中で佐藤達に気づいた小谷刑事が質問してきた。

石田「ああ。前に話した渉君とその友達の勤君だよ。」

小谷「ああ!彼が前に石田さんが言っていた霊感少年っすね。」

そう、石田刑事は小谷刑事に佐藤の事を話していたのだ。

そして佐藤達が自己紹介と挨拶をすると石田刑事達は警視庁に戻るために去っていった。

勤「連続強盗事件かー。理子の奴知ってるのかな?自分の家の近所でそんな事件が起こってるの。 」

佐藤「近所なら知ってるだろ。」

その後佐藤達は時間が昼時だったので昼食を取るために別れてそれぞれの家へ帰宅した。

ー佐藤家ー

家に帰るなり私服に着替えた佐藤は昼食を食べながらテレビを見ているとあるニュースが目に止まった。

ニュースキャスター「では次のニュースです。本日未明、東京都東区で強盗事件が発生しました。被害に遭った家は東区★番地にある山村さんのご自宅です。最近この近辺では連続強盗事件が発生しているので、山村さんのご自宅もその事件に巻き込まれた物と思われます。」

佐藤はこのニュースを見るなり昼食を食べるのを中断し、立ち上がった。

佐藤「そんな…理子の家が…」

理子の本名は山村理子であり、被害に遭った家の住所も先程佐藤達が訪れた理子の住所であるのだ。

佐藤がテレビを見ながら呆然としていると携帯電話が鳴った。

ピリリリ

我に帰った佐藤が携帯を開くとそこには勤の名前が表示されていた。

その名前を見た佐藤は直ぐに通話ボタンを押し、電話に出る。

ピッ。

佐藤「もしもし?勤か?」

勤「佐藤!ニュース見たか!?」

どうやら勤も佐藤同様にテレビニュースを見て電話を掛けてきた様だ。

佐藤「ああ、見たよ。理子の家が強盗に入られたって。」

勤「どうしよう、理子の家に行ってみるか?」

佐藤「ああ、そうしよう。俺も今から向かうよ。」

こうして話は纏まり、佐藤と勤は電話を切るなり家を飛び出した。佐藤に関しては昼食が食べかけだったので母親に呼び止められたが構わずに理子の家に向かった。

途中で数珠を使っての霊視で理子の安否を確認しようと思った佐藤だったが、うっかり数珠を家に置き忘れてしまったことに気づいた。

佐藤「しまった!数珠が……仕方ない、やっぱりこのまま行くしかないな!」

それから十分程で佐藤が理子の家に着くと人だかりが出来ていて、警察の捜査が行われていた。

佐藤「理子…」

佐藤が理子を心配しながら理子の家を見ていると駅の方から勤が走ってきた。

勤「佐藤ー!」

佐藤「勤!!」

勤は佐藤の所まで来ると立ち止まり、息を整えていた。

勤「はあ、はあ。」

佐藤「だ、大丈夫かよ!?」

勤「だ、大丈夫…だ…はあ、はあ。」

息を整えるのを終えた勤が理子の家に目をやると石田刑事が理子の家から出てきた。

佐藤「石田さん!」

石田「あれ?渉君に勤君じゃないか!どうしたんだ、帰ったんじゃなかったのかい?」

不思議そうに聞く石田刑事だったが、二人が強盗に入られた家の住人である山村理子の友人だと知ってかなり驚いていた。

石田「そうか、この家の娘さんが君達の友達だったのか。」

勤「そ、それで理子は…?」

石田「ああ、あの子なら大丈夫。怪我もしてないし、今は家の中で落ち着きながら事情聴取を受けてるよ。」

そう聞いて二人はひとまずホッとする。

そして安心した二人は一旦家に帰り、後でまた来る事にした。

ー佐藤家ー

佐藤「ただいま。」

由美(佐藤母)「ただいまじゃないよ!昼食を放り出して急に家を飛び出すなんて!!」

佐藤が家に帰るなり、由美が激しく怒ってきた。

突然怒られたので一瞬ムッとした佐藤だったが、何も言わずに家を飛び出した自分にも非があると思い、謝りながらも事情を説明した。

由美「そう、理子ちゃんの家が…」

最初は怒っていた由美であったが、佐藤の話を聞いてようやくその怒りを鎮めてくれた。

佐藤「まあ、とにかく理子が無事と聞けて安心したよ。あそこに石田さんが来ててよかった。」

由美「そうだね、石田さんに感謝しなきゃね。」

佐藤は話を終えると腹が鳴ったので、食べかけの昼食を食べる事にした。

そしてそれから数時間後。夕方になったので佐藤は三度理子の家へと足を運んだ。

ー理子の家ー

理子「佐藤くん!来てくれてありがとう!!」

理子は佐藤が来たのでとても喜んでいた。そしてそんな理子の様子を見て佐藤もホッとする。

佐藤「元気そうだね。無事でよかったよ、ほんとに。体調もいいみたいだし。」

理子「うん、私も助かって本当に良かったって思ってるよー。」

等としばらく二人で会話をしているとチャイムが鳴った。

理子「誰かしら?」

不思議に思った理子が出ると訪問者は勤だった。

理子「勤!」

勤「よっ、元気そうだな。」

こうして勤を交えた三人でしばらく談笑して楽しい一時を過ごしていたが、その途中で勤は夏祭りの事をふと思い出して誘ってみた。

すると理子は夏祭りの話を聞くなり即座に行く事に賛成した。こうして当日の夏祭りは三人で行く事になったので勤は大喜びの様子だった。

そして時間も時間なので佐藤と勤はそれぞれ帰宅する。

ー学校ー

翌日、元気になった理子は早速学校の夏期講習に参加した。久しぶりの学校での勉強に理子は皆と一緒だったので楽しそうであった。

そんな理子を見て勤も佐藤も安心した様である。

勤「それにしても良かったよな、理子が無事で。」

佐藤「ああ、昨日のニュースを見た時は結構心配したもんな。」

それからしばらくして休み時間になると佐藤と勤は今度は強盗事件について話していた。

佐藤「昨日の夜に気になったから石田さんに理子の事情聴取の内容を聞いたんだけど、犯人達は俺らが昨日理子の家を訪れた時にはまだいたらしいよ。」

勤「えっ、マジかよ!?」

勤は佐藤の話を聞いてとても驚いていた。無理もない。何しろ昨日自分達が理子の家を訪れた時、 まだ犯人達が家の中にいたなんて想像すらつかなかったのだから。

佐藤「それと犯人達はお金を見つけられなかったらしいよ。理子のお母さんが金目の物は全部ある所に隠していたらしいから。」

勤「そうか。じゃあ強盗に入られたけど何も盗られなかったんだな。ならなおさら良かったよな、理子の家族も。」

佐藤「ああ、理子も無事だった訳だしな。」

話をしている内に二人は改めて安心する。

佐藤「そうそう、理子は犯人達に拘束された時に犯人の右目に傷があるのが覆面の上から見えたらしいよ。」

途中で佐藤が思い出したように言った。

勤「じゃあ犯人は捕まったのか?」

佐藤「いや、それがまだみたいだよ。今朝も石田さんに聞いてみたけど進展はなく、犯人が捕まる所かその行方すらも掴めてないって。」

勤「そうかー、まだなのか。」

勤は犯人が捕まってないと知ってガッカリしていたが、丁度次の講習が始まる五分前の時間になったので慌てて準備に取り掛かる。

勤(強盗犯め…理子をひどい目に遭わせたのに未だに逃げ回ってるなんて許せねえぜ!絶対に俺がこの手で捕まえてやるぜ、いつか必ず!!)

勤が内心でこの様に考えていた事は佐藤も理子も当然ながら気づいていなかった。

その頃、強盗犯達はアジトにて次の標的となる家を探していた。

久世隆道(リーダー・くぜたかみち)「さーてと…次はどこの家にするか。」

リーダーの久世は広げた地図を見ながら探していたが、途中で仲間が声を掛けてきたので中断する。

沼田周作(ぬまたしゅうさく)「もう無いんじゃないか?ここら辺はあらかたやり尽くしたからよ!」

久世「何言ってやがる!俺は絶対に見つけ出してやるぞ!金を手に入れるためならどんな事をしてでもな!!」

久世はかなりの気迫で言ってきたので沼田は一瞬怖じ気づいてしまう。

二人のそんなやり取りを見ていたもう一人の右目に傷がある男はため息をついていた。

宮田健三(みやたけんぞう)「お前らいつもその調子だな。やってて飽きないもんかねえ…」

宮田のその発言を聞くや否や、二人は怒りを露にした。

久世・沼田「うるせえ!余計なお世話なんだよ!!」

宮田「俺はもう新しい標的を見つけたってのに、いつまでそんな事をやってるのやら…」

久世・沼田「えっ?」

宮田の一言で二人は一瞬怒りを鎮めた。

そして二人が場所を問いただすと宮田は地図にある一ヶ所を指差した。

そこは…

久世「が、学校!?」

なんとそこは佐藤達の学校である東高等学校だった。

宮田「ここの職員室にある金庫の中にはたんまり金が入ってる筈だ。それに今は夏休みで教員も生徒もいない。正にうってつけの場所ってわけさ!」

宮田の説明を聞いて二人は納得すると同時に次の標的を東高等学校にするのだった。

久世「ではどうか我々をお守りください。」

そう言って三人は深々と頭を下げる。

だが、三人が頭を下げた先にいたものとは…

ー学校ー

夏期講習が終わって帰路についていた佐藤は帰り際に勤に頼まれた事について考えていた。

《十分前》

佐藤「えっ?強盗犯達を霊視で見つけてくれ!?」

勤「なっ!頼むよ、佐藤!俺に協力してくれ!理子を酷い目に遭わせた奴らが許せないんだよ!!」

佐藤は厄介そうなので引き受けたくなかったが、勤があまりに真剣に頼み込んでくる上に佐藤も勤の気持ちが分からなくもなかったので、つい断れずに引き受けてしまったのである。

ー現在ー

佐藤「うーん、つい引き受けてしまったけど厄介だな。とにかく断る訳にもいかないから後で視てみるか。」

そう決めて家に帰る佐藤。

帰宅後、私服に着替えた佐藤は出されていた昼食の冷やし中華を食べる事にした。

佐藤「あーあ、今日から母さんは出張か。じいちゃんも先週から出張中だしな。これじゃあ相談すら出来ねえや。」

佐藤はそんな独り言を言いながら冷やし中華を食べていたが、やがてそれも終わり、自室のベッドに横になる。

佐藤「あーあ、疲れたな。霊視は結構体力を使うからまずは休むとするか。」

しばらくして横になっていた佐藤は疲れていた事もあり、眠りに落ちて夢を見る。

その夢は佐藤がどこかの山中にある神社の前に立っている夢だ。

佐藤「ここはどこだ?一体何で俺はここに!?」

そう思いながらも佐藤の体は前へと進む。

すると突然神社の中から三人組の男達が現れた。

男達「誰だ、お前は!?」

佐藤「ど、どうして神社の中に…」

男達は佐藤の問いにハッとして全員で顔を見合わせ、懐から刃物を取り出した。

佐藤「なっ、何で?…!まさかあんたらは…」

次の瞬間、男達は刃物を手にして佐藤に向かってくる!

佐藤「うわっ…」

佐藤は慌てて逃げ出そうとするが、うっかり転んでしまう。

ズデン!

佐藤「痛てて…」

佐藤が痛がっていると男達は追い付き、一人が佐藤の上に馬乗りになった。

佐藤「や、止めてください。僕が一体何をしたって…」

男「うるせえ!俺達の住みかを知られた上に顔まで見られたんだ…生かしておけるか!」

そう叫んだ男の右目に傷があるのを佐藤は一瞬見た。

佐藤「この傷…やっぱりこいつらは…。」

男は佐藤が考えているのをよそに刃物を振り上げる。

佐藤「ウワーッ!」

叫ぶ佐藤の腹に刃物が刺さる!

グサッ。

その音とともに佐藤の体に激痛が走る!

ガバッ。

佐藤「ハッ。」

余りの痛みに佐藤が起き上がるとそこは自分の部屋だった。

佐藤「夢か…ふう。それにしてもなんてリアルな…腹に刃物が刺さった時の痛みがまだ感じられる。」

そう考えていた佐藤の体は汗でぐっしょり濡れていた。

先程の夢について思い出していた佐藤が身震いしていると不意に電話が鳴った。

ビクッ。

佐藤「あっ、勤だ。」

携帯電話を開くとそこには勤の名前が表示されていた。

ピッ。

佐藤「もしもし?」

佐藤が電話に出ると勤が霊視したのかどうかを聞いてきた。

佐藤「悪い…さっきまで寝てたから霊視はまだやってないんだ。」

勤「なんだ、まだかよ。」

そこで佐藤は思いきって先程の夢の内容を伝えてみた。

勤「どこかの山中にある神社…そこが強盗犯達のアジトなんだな?」

佐藤「それは分らないけど、可能性はあると思う。」

勤は佐藤の夢の話を聞いてしばらく考えていたが、ふとあることに気がつく。

勤「でも何でそんな夢を見たんだ?お前、別に霊視してた訳でもないんだろ?」

勤に言われて佐藤も確かにそうだと思ったが、ある仮説を思い付いた。

佐藤「多分、俺の守護霊が見せてくれたんだと思うよ。勤に頼まれた事を起きてからやろうと思いながら寝た俺を見て、守護霊が教えてくれたんだろうな。」

勤は腑に落ちない感じであったが、考えるのはやめにした。

勤「とにかく犯人達はどこかの山中にある神社にいるんだよな!?」

勤が確認の為に改めて聞くと佐藤はそうだと思うと答える。

勤「じゃあ、その神社の場所を直ぐに霊視で見つけてくれ!」

佐藤「分かった、やってみるよ。夢で見た神社と犯人達の顔を思い浮かべながら霊視すれば見つかる筈だから。」

そして佐藤は分かったら明日学校で教えると言い、電話を切った。

ジャラッ。

数珠を出し、集中して霊視を実行する佐藤。

佐藤「……いた、奴らだ!車でどっかに向かってる…?」

更に見続けると犯人達は佐藤の学校の前に車を止めた。

佐藤「なっ…内の学校!?何で?まさか奴らの次の標的って…」

佐藤がそう思いながら霊視していると男達は車を降り、覆面を被ってから校門を乗り越えた。

佐藤「まずい、学校が危ない!」

そう考えた佐藤は霊視を止めると戸締まりをしてから急いで学校に向かった。

佐藤「ハア、ハア。くっ、石田さんに知らせようにも証拠がないから動けないだろうし…危険だけどやっぱり俺が行くしかない!」

そしてそれから三十分後に佐藤は学校へ到着した。

ー東高等学校ー

佐藤「よし、着いた。犯人達の車もまだ止まってる。ようし…急いで石田さんにこの事を。」

佐藤はそう思いながら電話を開き、石田刑事の番号にかける。

トゥルル…

佐藤「早く…早く出てくれ!」

ジリリリ…

佐藤がそわそわしていると学校の方から非常ベルが鳴り響いた。

佐藤「しまった、遅かったか!」

佐藤が学校の方を向くと非常ベルが鳴り響く校内から三人組の男達が飛び出してきた。

佐藤「まずい、犯人達だ。隠れないと…」

そこで佐藤は慌てて携帯のカメラで車の車体とナンバーを撮り、近くの電柱の陰に隠れた。

久世「急いで車に乗り込め!」

犯人達は校門を乗り越えると直ぐ様車へ乗り込み、逃げていった。

佐藤「くっ、逃げられたか…」

佐藤が逃走した車を見送っている中、学校からは非常ベルが鳴り響いていた。

それから三十分後、佐藤の通報によって到着した警察の捜査が行われた。

そして佐藤に事情聴取をしているのは石田刑事であった。

石田「すまなかったね、渉君。事件があった時には丁度会議をやっていたから携帯の電源は切っていたんだ。」

石田刑事は申し訳無さそうに謝っていた。

佐藤「いえ、会議をやっていたなら仕方ないですよ。それより犯人達は捕まりましたか?」

石田「いや…渉君が携帯で撮ってくれた車のナンバーを当たってみたんだが盗難車で、目撃情報も無かったから未だに行方は掴めていないよ。」

佐藤「そうですか…」

ちなみに石田刑事によると犯人達は警備員二名を拘束後、職員室にある金庫から現金二千万円を強奪した様である。

非常ベルは拘束されていた警備員が這いつくばってなんとか押した為に鳴っていたらしい。

佐藤「やっぱり家を出る前に石田さんに知らせるべきだったか…。」

佐藤は悔やむ様にそう思ったが、今さらどうにもならなかった。

それからしばらくして事情聴取を終えた佐藤は家へと帰宅した。

佐藤「ふう…疲れたな。腹も減ったし、夕食でも食うか。」

そう考えて台所に向かう佐藤だったが、そこで不意に電話が鳴った。

ピリリリ…

佐藤「やれやれ…ん?何だ、また勤か。」

ピッ。

佐藤「もしもし」

佐藤が電話に出ると勤の声が電話口から響いた。

勤「おい佐藤、ニュース見たか!?俺らの学校に…」

佐藤「知ってるよ。実は…」

佐藤が先程までの事を話すと勤は当然のごとく驚いていた。が、それだけではなく…

勤「どうして俺を呼ばなかったんだよ!?呼んでくれたら俺がすっ飛んで行って捕まえてやったってのによ!」

勤は自分を呼ばなかった事に憤慨していたが、佐藤は勤を何とか落ち着かせようと説得を試みる。

佐藤「落ち着けよ勤。理子を酷い目に遭わせた奴らを許せないっていう気持ちは分からなくもないけど、あの時は俺も必死でそれどころじゃなかったんだよ。」

佐藤の説得に折れたのか、勤は少し落ち着いたようだ。

勤「ーで、犯人はまだ捕まっていないんだな?」

佐藤「ああ、残念ながらな。」

勤はしばらく無言になったが、ふと思い出した事を佐藤に聞いてみた。

勤「そういや佐藤。犯人達のアジトがどこにあるのか分かったのか?」

勤に言われて漸くその事を思い出した佐藤。

佐藤「悪い。実は霊視した時に犯人達の現在地が分かっただけで、奴らのアジトの場所はまだ特定出来てないんだ。」

佐藤が謝ると勤は「じゃあ分かったら明日教えてくれよ!」と言って電話を切ってしまう。

佐藤「ふう、やれやれ…。」

電話を終えると佐藤はホッとしたの

かため息をついた。

佐藤「えらいことを引き受けちまったな。とにかく食事が済んだら霊視するか。」

佐藤はそう決めると早速冷蔵庫を開けて食材を取り出し、それを使って調理に取りかかる。ちなみに献立はオムライスである。

佐藤「…しかし弱ったな。勤の奴、犯人達のアジトが分かったら何をするか分からないよな。もしかすると一人で乗り込むって言うかも。」

佐藤は勤が危険な事をするだろうと思い、明日霊視結果を報告するのを止めようかと考えていた。

佐藤「まあ、アジトの場所が分かればの話だけど。」

そんな事を考えながら調理をして十分後。ようやくオムライスが出来上がったので佐藤は夕食にありついた。

佐藤「ふう、やっとありつけた。」

佐藤はしばらくの間何も食べていなかったので、とても空腹だったのだ。

やがてオムライスを平らげて空腹を満たすと今度はシャワーを浴び、それも終わると霊視をする事にした。

佐藤「さて、寝る前に済ますか。」

霊視を試みると見事に佐藤の幽体は犯人達のアジトへ向かった。

佐藤「やった、成功だ!」

佐藤は成功した事を喜ぶとアジトの場所を確認した。

佐藤「えーっと、この神社は…!」

佐藤はそこで初めて場所が分かったが、その場所に驚いた。

佐藤「そんな…まさかここが犯人達のアジトだったなんて…。」

佐藤はアジトの場所を知って少々放心状態になったが、我に返るとすぐに自分の体へ戻った。

佐藤「犯人のアジトの場所は分かったけど、勤には知らせるべきか…それとも…。」

佐藤は頭を抱え込んだが、疲れていたので明日になってから決める事にして眠りにつく。

ー翌日ー

この日も快晴であり、眩しい日光が佐藤の部屋を照らしていた。

佐藤「ふう、暑いな。」

佐藤は暑苦しさを感じながら起き上がる。そこで何気なく時計に目をやると既に時計の針が九時を指していた。

佐藤「やっべ、寝過ごした!」

寝坊した事に漸く気づいた佐藤は慌てて支度に掛かる。

だが、佐藤が寝間着から制服に着替えた所でチャイムが鳴った。

ピンポーン

佐藤「はい。」

ガチャッ。

佐藤が出るとそこには勤がいた。

佐藤「勤!?何でここに?学校にいるはずじゃ…。」

勤「何だ、お前知らなかったのか。学校からのメールで今日は休校だってよ。」

そう聞いて一瞬はてな状態になる佐藤。

佐藤「えっ、何で?」

勤「携帯に来てるメール見れば分かるけど、夕べの事件の事で警察が捜査してるから休みになったんだよ。」

勤はそう言いながら自分の携帯を差し出してきた。

そこで佐藤がその携帯の画面を見ると、確かに勤が言った通りの内容のメール文が表示されていた。

佐藤「そうか、今日は休みだったのか。」

今日は学校が休校だと言うことを知り、佐藤は慌てた事を後悔する。だがそこで佐藤はある事に気づいた。

佐藤「そう言えばどうしてお前ここに来たんだ?」

勤がやって来た事に疑問を持って尋ねてみると勤はこう答えた。

勤「昨日言ったろ?霊視結果を教えろって!それを聞きにやって来たんだよ!」

勤にそう言われて佐藤はハッとすると同時に謝り、勤を中へ上がらせた。

そして勤を客間に座らせるとジュースを出す為に台所に向かった。

佐藤「まずいな、霊視結果を報告するかしないかをまだ決めてないのに。」

そう考えながらジュースをコップに注ぐと佐藤は決心した。

佐藤「こうなったら言うしかないな、本当の事を。ようし…」

言うことを決心した佐藤はジュースを勤に出すと自分も客間に腰を下ろす。

勤「で、霊視結果は?」

出されたジュースを飲むと直ぐに質問してきたので、佐藤は決心した通りに霊視結果を話した。

佐藤「犯人達のアジトは×山の〇神社だよ。」

勤「ええっ!?」

勤は佐藤の霊視結果を聞くと驚きの余り大声を出した。

何故ならその×山の〇神社とは今週の日曜日に佐藤達が行く夏祭りが行われる神社だからだ。

その為に佐藤は夕べの霊視で犯人達のアジトが分かった時に驚いたのである。

佐藤「それでどうするんだ勤?犯人達のアジトが分かっても俺達にはどうする事も出来ないぞ?」

勤「いや、俺がこの手で捕まえてやる!」

佐藤「やっぱりそう来たか。でも危険だぜ?ここは警察に任せてみないか?」

勤「冗談じゃねえよ!絶対に俺がこの手で…。」

佐藤「…………。」

勤が佐藤の提案を強く拒否したので、佐藤は勤には何を言っても無駄だと思ったが、ある事を思い付いたので話してみた。

佐藤「でも勤、犯人を捕まえたら警察の捜査で神社は使えなくなるんだぜ?そしたらお前や理子が楽しみにしていた明日の夏祭りも中止になるかもしれないんだぞ。」

佐藤にそう言われて勤はハッとする。

勤「そうか、確かにそうだよな。」

どうやら勤は夏祭りの中止だけは無しにしてほしいと考えているらしい。

佐藤「そこで考えたんだけどこんなのはどうかな?」

ー説明中ー

佐藤が考えた事(夏祭りが終わった後に警察に連絡し、犯人達を一網打尽にする)を説明すると勤は多少渋っていたが、夏祭りを中止せずに犯人達を捕まえる為にはこれしかないと考え、漸く賛成した。

佐藤「よし、決まりだ。じゃあ先ずは明日の夏祭りを楽しもうな!」

勤「あ、ああ。」

こうして話は纏まり、勤は佐藤家を後にした。

佐藤「ふう、疲れた。でもまあ、これであいつも危険な事は出来ないだろうから結果オーライだな。」

佐藤は勤が帰った後、自室のベッドに横になりながらそんな独り言を呟いた。

ー翌日、夏祭りー

佐藤達三人は夜八時、夏祭りの会場へと来ていた。会場である神社には人が多く集まって混雑しているが、出店がいくつかあったので佐藤達は大いに楽しんでいた。

理子「楽しいね、勤!佐藤君!」

理子はすっかり上機嫌である。

勤「ああ、そうだな!」

勤もそんな理子を見て喜んでいるようだ。

それから一時間後、祭りも終盤に差し掛かる頃に三人は神社の本殿へ到着していた。

本殿にやって来ると勤はある事を思いだし、二人に話してみた。

勤「ここが神社の本殿なんだけどよ、実はある噂があるんだよね。」

佐藤・理子「噂?」

二人が尋ねると勤は説明を始めた。

勤「近所の人に聞いたんだけど噂によれば、この神社にはある悪霊が封印されているそうなんだよ。いつの時代からかは分からないけどな。で、最近その封印を誰かが解いてしまったらしいんだよ。」

そこまで話すと勤はここへ二人を呼んだ理由を話始める。

勤「実は俺がお前らを誘ったのはその噂の真偽を確かめる為でもあるんだよ。」

そう聞いて理子は噂に興味を持ったが、佐藤は内心しまった、と思っていた。

佐藤「(そうか、だから霊視した時にここから嫌な感じが漂っていたのか。)」

そう、佐藤が霊視した時に実は嫌な感じが漂っていたのである。

佐藤「あれは悪霊の気配だったんだな。ん?でも待てよ、なら何で強盗犯達には何も影響が無いんだ?」

強盗犯達に影響が無いことを不思議に思った佐藤だったが、ある仮説を思い付く。

佐藤「まさか、強盗犯達は…」

考えていた佐藤だったが、勤と理子に呼ばれて我に返る。

勤「さあ入ろうぜ、この中に。」

佐藤「えっ、お前本気で言ってんのか!?」

勤「決まってんだろ、噂が本当かどうかを確かめるんだから!」

佐藤はこのまま中へ入れば強盗犯達と鉢合わせになる可能性があると思い、中へ入ろうとする二人を止めようとするが、二人は構わず中へ入っていってしまった。

佐藤「仕方ない、入るか。」

佐藤も慌てて二人を追い、中へと入る。

ー神社内部ー

理子「うわー、真っ暗だ。」

勤「平気、平気。ホラッ。」

そう言いながら勤がライトのスイッチを入れる。

パッ。

辺りが明るくなるが、周りには何も無かった。

佐藤「見た所、何も無いな。」

勤「ああ、ここはな。でも、この奥にはきっと何かあるぜ。」

勤はそう言うと奥へ向かった。

それを見た理子と佐藤もその後に続く。

それからしばらく歩き続けるとやがて広い空間に出た。

そこには祭壇と一つの扉があった。

勤「おい佐藤、ちょっと。」

勤は佐藤を呼び寄せると話し掛けてきた。

勤「もしかしてあの扉の奥に犯人達がいるのか?」

佐藤「知らねえよ。てか、お前まさかそれが目的で中に?」

勤「当たり前だろ、俺はやつらを捕まえたいんだから。」

その発言で佐藤は呆れてしまうが、扉の奥へは行かない方がいいと感じていた。

佐藤「俺が思うに、多分あの扉の奥に悪霊が封印されているんだと思うぜ。」

勤「じゃあ、あの噂はやっぱり…」

佐藤「ああ、しかもその悪霊が封印から解放されたって言うのも本当みたいだな。霊視した時にも感じたけど、今もあの扉の奥から悪霊の気配が感じられるぜ。」

佐藤の話を聞いて勤は本当に強盗犯達がここに隠れているのかと疑問に思うが、ここは佐藤の話を信じる事にした。

勤「よし、それなら奴らがあの奥にいるのかどうかも確かめてやるぜ。」

佐藤「よせ勤!あの奥には悪霊がいるはずだぞ!?」

勤「でも神社の中はここで終わりなんだ。本当にお前が言う通りに奴らがこの中にいるんなら、もうあの扉の奥だけだ!」

そう言うと勤は佐藤の制止を振りきり、扉を開けにかかる。

ちなみにその扉は最近まで封印されていた様でお札が貼られていたが、それは既に破れていた。

そして勤が力任せに扉を引くとすんなり開いた。

ギギ~。

音を立てながら開く扉。

勤がライトで照らすとその奥には三人組の強盗犯達が陣取っていた。

勤「遂に見つけたぞ、強盗犯!」

男達は勤にそう言われると懐から刃物を取り出した。

久世「貴様ら…生きては帰さん!」

その言葉を聞いて理子は震えてしまう。

理子「あっ、あなたあの時の…」

そこで理子は気がついた。三人の内の一人、宮田の右目に傷があることに。

理子「あなた達、強盗犯ね!」

沼田「その通りだ。よくここが分かったな。」

佐藤「あなた方がここにいる事はもう警察には通報済みです。諦めて降伏してください!」

佐藤の言葉を聞いても男達は怯まずに刃物を持って向かってきた。

強盗犯達「ウオーッ!!」

理子「キャーッ!」

佐藤「まずい、逃げろ!」

佐藤と理子は走り出すが、勤はカバンから野球ボールを三つ取り出す。

勤「くらえ!理子をひどい目に遭わせたお返しだ!!」

そう言って取り出したボールを犯人達に向かって投げつけた。

ドカッ、ドカッ、ドカッ。

強盗犯達「ぐわっ!!」

悲鳴を上げながら倒れこむ犯人達。

勤「よし、佐藤!理子!出口に向かって全速力だ!!」

そう叫んで勤も走り出す。

だが、先に逃げた二人は祭壇がある部屋の入口の所で止まっていた。

勤「お、おい。お前ら何で止まってるんだ?」

理子「入口のドアが開かないのよ!」

佐藤は必死にドアを開けようとしていたが、ドアは全く開こうとしなかった。

勤「どうなってんだよ、佐藤!」

佐藤「恐らく悪霊の仕業だ。霊力でドアを閉ざしているんだ。」

勤も一緒にドアを開けようとするが、やはりドアは開かなかった。

理子「ちょっと~、早くしないと犯人達が…。」

だが、既に犯人達は立ち上がって佐藤達に迫っていた。

理子「さ、佐藤君…勤。」

理子は不安に満ちた顔をしていた。

勤「くっ…。」

佐藤「仕方ないな。俺は悪霊の力を何とか押さえつけるから、その間に勤はあいつらを足止めしろ!」

勤「よし、分かった!」

ダッ。

勤は早速動きだし、強盗犯達を誘導する。

勤「そうら、こっちだ。捕まえられるもんなら捕まえてみろ!」

沼田「貴様、調子に乗るな!」

強盗犯達は逆上し、勤を追いかける。

その間に佐藤は数珠を取りだし、悪霊の力を押さえようとする。

佐藤「くっ、さすがに強いな。だが負けるわけにはいかないんだ!」

佐藤は必死になって悪霊と戦い、遂に自身の霊能力で悪霊をねじ伏せた。

佐藤「よし!理子、扉を開けろ!」

理子「う、うん!」

佐藤に言われると直ぐ様理子は扉に手を掛ける。

すると扉は意図も簡単に開いた。

ギギ~。

理子「やった、開いたよ!」

佐藤「じゃあ理子、すぐにここから出て石田さんに知らせるんだ!この携帯を使え!」

佐藤は携帯を理子に渡すが、理子は拒んだ。

理子「嫌よ!佐藤君達も一緒に…」

佐藤「いいから急げ!」

佐藤に促されて理子はやむ無く飛び出す。

ダダダダ…

勤「強盗犯め、こっちだ!」

一方、勤は強盗犯達を未だに誘導していた。

久世「待て~!!」

佐藤は勤に気づくと「勤、お前もここから逃げろ!俺は悪霊を封印するから…」と言うが、勤はそれを拒否した。

勤「いや、俺はこいつらを捕まえてやる!だから佐藤、その間にお前は悪霊を…」

勤が強盗犯を引き受けると言ったので、佐藤はやむ無くそれを了承する。

佐藤「よし、分かった!悪霊は俺に任せろ!」

そう叫ぶと佐藤は数珠を持ち、悪霊の封印を始める。

佐藤「南無阿弥陀仏…」

佐藤がお経を唱え続けると部屋が段々と明るくなる。

それと同時に犯人達は突然頭を抱えて倒れこんだ。

勤「よし、チャンスだ!」

勤は犯人達が刃物から手を離すのを見ると床に落とした刃物を蹴飛ばした。

そしてカバンからロープを三本取り出し、犯人達を瞬く間に縛り上げる。

勤「へへ、どうだ!ざまあみろ強盗犯め!!」

勤が犯人達を捕まえたその一方で佐藤による除霊も終了していた。

佐藤「よし、封印成功!!」

そこへ理子が石田刑事達を連れてやって来た。

理子「勤、佐藤君!」

佐藤・勤「理子!!」

三人は無事に再会出来た事を喜びあった。

石田「お前達を強盗並びに殺人、及び銃刀法違反の容疑で逮捕する!」

こうして犯人達は逮捕され、警官達によって警視庁へ連行された。

更にその後の警察の捜査により、犯人達がこれまで盗んできた大金が例の部屋から発見され、全て押収された。

ちなみに佐藤達は警察で事情聴取を受け、石田刑事にパトカーで家まで送られていた。

理子「じゃあ犯人達は悪霊に操られていたの?」

パトカーの中で佐藤の話を聞いていた理子が質問した。

佐藤「ああ、恐らく犯人達はアジトにしていたあの部屋に入る時に封印の札を剥がしてしまったんだろうね。その時に悪霊を封印から解放してしまい、彼らは悪霊の操る通りに強盗を働いた。」

勤「そうか、だからあいつら佐藤がお経を唱えたら倒れたのか。」

勤が思い出した様に言った。

佐藤「そう、彼ら強盗犯と悪霊は一心同体と言っていい存在だったんだよ。まあ、悪霊を封印する時に俺があの三人とのリンクを断ち切ってやったから強盗犯達は無事だったけど。」

石田「でも今回はまた渉君に助けられてしまったね。それに君ら二人もお手柄だったよ。今度本庁から感謝状が贈られるから是非受け取ってくれ。」

勤・理子「はい、喜んで!」

勤と理子が異口同音に叫んだ。

そんな二人を見てやれやれと思いながら苦笑する佐藤だったが、佐藤もまた二人の様に喜んで礼を述べるのだった。

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いや~勤くん相変わらず猪突猛進って感じですね・・・
正義感が強いのは結構な事(でもないか・・・)かも知れませんが
その内大怪我をするのではないかと些か心配ですね。

ここは理子ちゃんに勤くんの手綱を・・・って無理か・・・
逆にムチを入れている感も否めないし(ーー;

今回も良作でした。次回も楽しみにしておきますね。

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琉聖さん、コメントありがとうございます!
今回の話を楽しめたようなのでよかったです。
次回作も楽しみにしていてください!

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毎回楽しみにしてます。今回は怖いよりもストーリー重視で楽しめました。次回作も頑張って下さい。応援してます。

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