友達のバンドマンから聞いた話でございます。
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俺の名前は龍平、都内でロックバンドのボーカルをやってる。冬の夜中一人で歩いてるとあの日を事を思い出す。
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俺のバンドは幼馴染で組んだバンドで見た目が少しV系っぽい奴 モデル風な奴 パンクっぽい奴 POPな奴 とまぁ色んな奴がいる。中で俺は少しV系っぽいけどコテコテな感じではない。メンバーの種類が色々な為かわからないけど色んなファンがついた。
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原宿系 モデルっぽい綺麗な人 V系っぽい人 パンク系 ロック系。ファンの層は男が大半を占めていて、女は数えられる程度だった。だから小さい箱でやってる時は顔を覚えられた。出待ちしてる子と話したりする事もあった。
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俺の出待ちしてるファンは男ばかりで、俺はボーカルやりながらギターも弾くからギターの事についての質問が多かった。男ばかりの出待ちの中で唯一目立っていた男が居た、名前はレイ。俺と出会った時は高校生だっけど今は大学生。毎回俺のライブに来て、常に俺の目の前に居た。
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レイからのファンレターやファンメールはほぼ毎日送られてくる。俺が奴を認識していなかった時期は俺へのアピールがすごかった。兎に角目立つ事をして気づいてもらおうと必死だった。
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レイと初めて話をしたのは6年前だった。出待ちしてるファンの中に奴は居て、ファンと話終えて皆が帰っていった時話かけられた。
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「あ....あの....ライブお疲れ様です!俺、いつも貴方のセンターで...えっと、いつも貴方を見てます!すげーかっこ良くて....憧れです。...」「ありがとう、君いつも俺の目の前に居るもんね。名前はなんて言うの?」男のファンでこういうタイプが居なかったから内心焦った。
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「名前はレイです。あの、龍平さんって呼んでもいいですか? 駄目なら、大丈夫です。」「いいよ龍平で。」相手がつらつらと何か話してるのを適当に聞きながら俺は煙草をふかした。「煙草...吸うんですね。銘柄はなんですか?」「これ、あげる。俺この後用あるから 今日はここまで。じゃあね」俺は近くに止まったタクシーに乗り込んだ。レイは俺が去って行くのを手を振りながら見送ってた。
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ブログで俺が何か書くと必ずレイから返信がきた。メッセージも様々だった、好きなものはなんですか?欲しいものありませんか?今日○○の雑誌に載ってましたよ!とかね。ただの熱烈なファンだと思ってた。だけどどうやら違ったようだ。これは後に分かった。
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それから一年経った時、他にも熱烈なファンがついた。女の子で年齢不詳 服装はいつもロリータでメイクもかなり濃かった。男ばかりの中でかなり目立ってた、いつもピンクな装いで髪色はパステルカラーの紫だった。本当人形みたいな女の子 。
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その子の名前はミサといった。ミサはライブでだいたいいつも真ん中あたりに居た。出待ちにも必ず来てて周りのファンを押しのけてまで俺と話そうとした。メールも凄くて内容は病んでる内容ばかりで、正直気が滅入った。
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ライブの規模もだんだん大きくなっていきバンドも大きくなっていった。そして、ミサが現れてからレイの俺へのアプローチが加速した。「ミサがすきなんですか?ミサみたいな女がタイプですか?俺よりもミサの方が好きですか?」「どんな髪色が好きですか?どんな髪型の人が好きですか?」俺はレイの心が読めなかった。何故そこまで俺に執着するのか。
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雑誌のインタビューで好きな髪色を聞かれ ピンクっぽいブラウンが好きと答えた。すると、ライブでレイはピンクブラウンにしてきた。そして俺と同じ服を着、俺と同じ箇所にピアスを開け俺と同じ髪型にした。
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特に気にせず放っておいた。
ある冬のライブ後俺は一人でこっそり帰った。いつもならマネージャーに送ってもらうけど今日は一人で帰りたい気分だった。
帰ってる途中で誰かにつけられてるのに気がついた。
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「誰だそこに居るのは...」反応がない 俺は早歩きしてまこうとした。が、相手は走って追いかけてきて俺に覆いかぶさろうとした。
「ぎゃあああ!!」
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悲鳴に驚きながら振り向いた。目の前にはミサとレイが居た。ミサは頭から血を流して倒れて居て、レイはミサの上に馬乗りになっていた。
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「レイ....何やってんだ?....ミサどうしたんだよ、大丈夫?!」「龍平さん!こいつ龍平さんのストーカーやってたんですよ。いつも龍平さんをつけてたんです。今日もストーカーして龍平さんの家に行こうとしてたんです。でも大丈夫、俺が始末したんで安心してください!!!」
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俺はわけがわからなかった。血を流すミサの手には手紙が握られており、馬乗りなったレイの手には剥き出しのカッターナイフとでかい石が握られてた。
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俺は急いで警察を呼んだ 電話してる間ずっとレイは俺の服の裾を握っていた。
「龍平さんがこいつに取られると思って怖かったんです!憧れの龍平さんは俺だけのものでしょ?邪魔が入ったら俺の龍平さんが龍平さんが...俺は一生龍平さんについていきます!何があろうと!!!」そう言ってレイは俺の首に絡みつきキスしてきた。
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びっくりして突き放したらレイは泣いていた。
「俺だけの龍平さん...俺龍平さんの事憧れだけで見れなくなっちゃったんです。好きなんです、愛してるんです龍平さん!!!」俺は複雑な気持ちでレイを眺めた。
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暫くして警察が来てレイは連れて行かれ、精神病院に入った。この日以来、出待ち無しにした。ファンとの交流はライブの中だけと決めた。
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後にレイは退院し、ライブに通っている。
俺のライブに。
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メール受信しました...「レイです。龍平さん!今日も素敵でした、めちゃくちゃカッコ良いです。俺だけの龍平さん。。」
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<おしまい>
作者群青
龍平くんは受難がいっぱいです。
彼の話は他にも沢山あるので載せていこうと思います。