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友達の元カノの話でございます。
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「俺の彼女の束縛が激しすぎて耐えられない..バンドやってるからライブで遅くなったり打ち上げで遅くなったりするのはしょうがないだろ?なのに...」プルルループルルループルルルーッ
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龍平は都内でロックバンドをやっている、ポジションはボーカルだ。龍平の彼女は束縛が激しいらしく、友達が一緒に居るだけでも激しく嫉妬するのだ。同性でも許せないのだろうか...。
プルルルルーップルルルーッ
さっきからひっきりなしに龍平の携帯が鳴っている。
「...出ないの?電話.....さっきからうるさいんだけど。」
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「頭おかしいよな...打ち合わせ中もライブ中もミーティング中もずーっとメールか電話。別れようかな、仕事や仲間に支障がでるし。」
「んー、どうして束縛するのか聞いたら?」
話によると龍平の彼女は嫉妬心執着心が人一倍強く、常に自分と一緒に居ないとだめらしい。
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「別れろ。お前の彼女ちょっと異常だから別れた方がいいと思う、お前の為にも。」
「ああ、別れる。悪い、ちょっと電話するね」そう言って龍平は目の前で彼女に電話かけはじめた。ワンコールで彼女は電話に出て、龍平が別れようと言った途端怒鳴りちらし泣き始めた。電話口の彼女の声は、例えは悪いがモンスターのようだった。
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「あーもううるさい!!!もうお前とはやっていけない。今まで我慢してたけどもう我慢の限界だ!今後一切連絡してくるな!」龍平はこれで彼女とは終わりだと思っていた。が、そんな簡単には終わらなかった。
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龍平は自分は彼女の部屋へ行った事はあっても、彼女を自分の部屋へ呼ぶ事は一度も無かった。理由はバンドで使う機材が沢山あったのと、バンドメンバーや音楽関係の人達と打ち上げしたりするのに使っていたからであり 何故かわからないが女の影を匂わせたく無いという龍平のポリシーによるものだった。
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「ただいま...って言っても誰もお帰りって言わないこの部屋は寂しいな。でも、俺にはお前が居るからいいんだよ百合ちゃん」龍平は子猫を飼っていた。オス猫で名前はゆり だ、かなり溺愛している。百合に餌をやりソファーでくつろいでいた。すると...プルルループルルルループルルルルー..携帯が鳴った。彼女、いや元カノからだった。
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着信拒否にした。次にメール受信音が鳴った。元カノからだった。
「龍くん...わたしの事嫌いになったの?」
「龍くんわたしの事嫌いなの?なんで?どうして電話に出てくれないの?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?」
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「龍くん、浮気してるの?そうでしょ、浮気してるんでしょ。誰なの?女そこにいるんでしょ?誰なの!!!教えてよ、ねぇ!」
「龍くん、その女と付き合ってるの?私よりその女がいいの?ねぇ、龍くん返信ちょうだいよ。」
何件も同じような内容のメールで、ほとんど開封せずに画面をスクロールさせた。
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画面を見ると、メールを受信しました の言葉が。開封してみると
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「龍くんの部屋に向かってます。待っててね。今いきます。...なんだこれ。俺の部屋知ってるのか彼奴?!」また新しくメールが受信される 添付された画像を見ると、自分が住んでる部屋を撮った写真だった。
「なんだよこれ...怖ぇ..,」冷や汗が止まらない。メール受信...."もう着いたよ。女そこにいるんでしょ?開けて?"
「なんで俺の部屋の場所分かったんだろう...もしかして、GPS機能か何か?」龍平の元カノは龍平の行動を全て把握していた。
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バンバンっバンバンっ!!ガンガン!ガンガン!「龍ちゃん?居るんでしょ?開けて?開けて?開けて!!開けてよ!!」
ガンガンガンガン!バンバンバンバン!
ガチャガチャガチャガチャガチャ ドアノブを勢いよく回す音が玄関に響く。
龍平は用心して鍵を新しく変えていたお陰で元カノに鍵を開けられる事は避けられた。
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「これはやべぇ....逃げなきゃ....百合!おいで!」龍平は子猫をかかえてベランダな手をかけた。
「龍ちゃんー今女の名前呼んだ?女居るんだ!!!女とイチャイチャして楽しいかよ!!開けろよ!開けろ!!!」ドアを殴ったり蹴る音が鳴り響く。龍平は子猫を抱いてベランダから逃げた。
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時間をかけて降り、裏口に周り自分の部屋を覗いた。
「龍ちゃん!!あーけーてー!!!あげでー!!!!!」元カノは顔を真っ赤にさせてドアを叩いていた。顔をドアに打ち付けて叩いていた為血塗れになっていた。額 鼻 口から血を流しながら一心不乱に叩いていた。元カノの顔がどんどん変形していく様を龍平は呆然と見ていた。
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誰かが警察に通報したらしく、元カノは取り押さえられた。その際も元カノは龍平の名前を呼び続け暴れた。
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龍平は物陰から様子を伺っていたが元カノが取り押さえられてるのを見て安心し、通りに出てきた。すると、それを見つけた元カノが警察の腕を払いのけ龍平に向かって走り飛びかかった。
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「龍じゃんーー!!龍じゃんー!!何であだじじゃだめなの!!!龍じゃん!!」
龍平の顔を掴むその相手に元カノの顔は無かった。鼻が折れ曲がり顔全体が腫れ真っ赤で前歯が何本か折れていた。血が混じった唾が思いっきり龍平の顔にかかったところで記憶が途切れた。
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一部始終を見ていた野次馬のおばちゃんから聞いた話によると、龍平が気絶したあと元カノは龍平の首に噛み付きそれを警察が止めたとのことだ。
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「という事がありましたとさ。俺には百合が居るから当分彼女いらない。」
「...次は失敗しないようにしないとね。で、その元カノは完全に切ったんだよな? 」
「大丈夫、接近禁止命令みたいなの出てるから。完全に関係は絶ったから大丈夫だ。」
「それならいいけどさ。」
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龍平の首筋には今も元カノに噛まれた痕が残っている。
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<おしまい>
作者群青
幽霊よりも、人間の方が怖いように思えます。
執念 執着 恨み ...恐ろしいです。