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中編6
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王道都市伝説その1

やぁやぁ、大兄大姉の皆さん、こんにちわ

おっと、これから怖い話しようってのに「こんにちわ」ってのはないねやっぱり「こんばんわ」かねぇ?

でもこのサイト見る人が必ず夜に利用するとは限らんねぇ、それに昼間っからこんなサイト見る暇人もそんなには居ねぇだろうしな

まぁめんどくせぇや、雰囲気出るから「こんばんわ」にしときますかッと

おやおやどこ行くってんでぇ、大兄大姉の皆様方、まぁいい、行くならとっといっちめぇな

え?止めねぇのかって?

止めねぇよそりゃ、俺っちがこれからする話は誰もが知ってるって有名な話だ

そんな話に三度の飯より怖い話し好きという猛者である大兄大姉の貴重な時間使うわけにはいかねぇやな

この話はあくまで最近怖い話に興味持ったっていう素人さん向けよ

まぁ、使い古されたっちゅーか、古典的っちゅーか

これは抑えとけって話だって事だ

さぁさぁ、興味のない奴はどっかいっちめぇな

テレビ業界関係者といってもそんな華やかな生活をしているわけじゃない、いわゆるメイクさんって仕事についてもう丸5年が経過した

駆け出しの頃と違い専属のタレントさんもいくつか持ち弟子も何人か居る

順調っていえば順調か……今の私に足りないものは、運命的な出会いだけだ

はぁ、とっと結婚したい

ただ、最近は日々の生活に忙し過ぎてそれどころではない、夏休み向けに特番が組まれ、無意味に大量のタレントがキャスティングされ番組収録がひっきりなしに続く地獄のような日々

そのせいだろうか、私は自分のマンション内で起こった殺人事件にも無関心だった

ある日、珍しく番組の収録がてっぺん前に終わった

しかも、明日は仕事が休みである

終電前の電車に明日の予定を考えながら乗るという幸せ、一体いつぶりだろう?

その飛び跳ねたい気分のまま、私は自分のマンションについた

エントランスを通りエレベータホールでエレベータを待つ

【情報提供にご協力ください】そこには最近マンション内で起こった殺人事件について情報提供を呼びかける張り紙が掲示板に張ってあった

いつごろから張ってあったのだろう?最近の殺人的な忙しさで、その張り紙がいつ頃からあったのか思い出せない

よく見るとそれは警察が張ったものではなかった、被害者の遺族の方が自ら張ったものだった

「チーン」

その時丁度、エレベーターがのドアが開いた

ドン!

よそ見をしていた私は、中から出てきた人に肩をぶつけてしまった

男はフードを目深に被り俯きがちな姿勢だったが、私は身長が低い方である

フードの中を下からのぞくような形になり、男の顔がばっちり見えた

男はその瞬間、ぎょろりと目玉だけ私に向けた

その鋭さだけで私は心臓をえぐられたような錯覚に陥った

「すいません!!」

条件反射的に私は頭を下げた

そんな私を男は無視し、スタスタとエントランス出口に向けて歩いて行った

男は真黒な薄手のパーカーに、黒いズボン、黒いスニーカーと全身黒づくめだった

何かしら底しれぬ気持ち悪さを感じながらも私は、自分の部屋へと向かった

私がそれに気付いたのは自分の部屋に入り、鞄等の荷物をそこらに投げ飛ばし身軽になった時だ

先程男とぶつかった部分、肩口のあたりが赤くぬらぬらしたもので濡れいていた

「なにこれ?……血?」

思わず独り言をつぶやく私、先ほど肩がぶつかった男のことを思いだした

返り血?いや、返り血が付いた服を押し当てられた感じだ

全身黒い服装だったので分りづらかったが返り血を浴びたのはあの男の方か?

「気持ちわるっ」

再び私はまた独り言をつぶやいた

とにかくその日は疲れのピークだったので、さすがに二度と着る気を失くしたその服はゴミ箱にすて、軽くシャワーを浴びると私は泥のように眠った

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

朝、とは言ってももう10時を回っていたが、私はけたたましく鳴る呼び鈴によって目が覚めた

さすがに最近起きた殺人事件や昨日の事もあり、少し慎重になっていた私は出る前にチェーンをかけてからドアノブに手をかけた

あれ……?

その瞬間、私の脳裏を何かが掠めた

こんな展開どこかで聞いたことがある……

たしかその話では警察に成りすました殺人鬼が

自分の姿を見たかもしれない目撃者の家に刑事に成りすまして訪れ

自分の事を覚えていたら

その場で目撃者を殺そうとするという

身の毛もよだつ話だった筈だ

そんな事実際ある訳ないかと思いつつドアを開けた

外に居たのは気の弱そうな中年男性だ、私は少し安心した

少なくとも昨日すれ違ったあの男は、こんな感じではなかった

「あの、どちら様ですか?」

男は私の質問を上書きするように無視をし、私に問いかけてきた

「あの……最近、この辺で不審者を見ませんでしたか?」

そのぶっしつけな態度に少しいらっとした私は、先ほどより少し強い語調で

「どちら様ですか?」

と言った

「あ、すいません。申し遅れました、最近この辺で殺人事件が在ったでしょ?」

「ええ」

「その被害者の父親です」

「あ、これは……」

私はそれ以上言葉を繋げることが出来なかった

しかし、男は特に気にした風でもなく最初の質問を繰り返した

「最近、この辺で不審者を見ませんでしたか?」

私は冷たい人間なのかもしれない、昨日の話をしてあげても良かったが、それだと本当に久しぶりの休日をつぶしてしまうかもと思い

「いえ、何も見てません」

とつい嘘を吐いてしまった

その瞬間、男の態度が急変した

男は閉められないようするためかドアの端を「ガツッ」としっかり持つと、激昂なのか哀願なのか判別のつかない表情で

「嘘だ!!貴方は見てる筈だ!!教えてくださいよ!!証言してくださいよ!!証拠を提出してくださいよ!!」

と叫んだ

その急激な変化に恐ろしくなった私は

「本当に何も見てないんです!!」

とこちらも叫びながら、妙にぬめっとした気色の悪い感触がする男の指を一本づつ剥がし、ドアを閉め鍵をかけた

「○×▲◆◆……!!○×▲◆◆……!!」」

男は外で何事かを喚き続け

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

呼び鈴を押し続ける

「いいかげんにしてください!!警察を呼びますよ!!」

私は外に聞こえるように玄関に向かって怒鳴った

一体なんだというのだろう?

とにかく気を落ち着かそうと私はキッチンでコーヒーを淹れ、リビングにむかった

テレビを点ける

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

男はしつこく呼び鈴を押し続ける

その瞬間、急に男の先程の言葉に違和感を覚えた……

「証言……証拠……?」

確かに今証言すればエントランスホールの防犯カメラの映像もあるし

血らしきものが付着した服もゴミ箱から引っ張り出せばいいだけだ

しかしなぜ、不審者と私がぶつかったことをあの男は知っているのだろう?

あの場には私たち以外居なかったように思えたが

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

呼び鈴がその事への反芻の邪魔をする

私は少しでも呼び鈴をごまかすためにTVの音量を上げた

「事件は警察が警戒している中、再び起こってしまいました」

TVにこのマンションの映像が映し出される、ちょうど件の事件についてやっているらしい

「ん?これ生放送かしら?」

慌ただしく画面がスタジオと現場を行き来し、最終的にマンションの一角がブルーシートで被われるシーンが映し出された

「先日死体で発見された○○ちゃん、今度はその父親の△△さんが凶行の犠牲者となってしまいました。殺害の手口から、犯人は同一犯と見て警察は捜査を進めており……」

「え?」

一瞬TVが何を伝えているのか意味が解らなかったが、その意味を理解した瞬間、背筋に冷たいものが走った

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

私は男の指をひっぺ替えした手の平を見つめた

先程の気色の悪いぬめっとした指の感触がまだ生々しく手に残っている

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

テレビには今回被害者となった男の写真が映し出される

忘れる筈もない、さっき玄関先で見たばっかだ

「……」

急に呼び鈴が鳴り止んだ

辺りを静寂が支配する

「……あのー」

その声は明らかに『玄関』の内側から聞こえてきた

「ねぇ、証言してくださいよ、証拠を提出してくださいよ、今それが出来るのは貴方だけなんですよ」

私は玄関の方を振り返ることが出来なかった

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やあロビンミッシェルだ。

ぐう…そうきたか!読めなかったよ…

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