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短編2
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狂咲ノ桜

秋も中頃に入った頃、私が[先生]と呼んでる人から、『桜を見に行こう』と電話が来た。

先生はお酒が好きな人だったから酔っ払ったのかと思っていたが、いざ目的地に着くと、

本当に桜が咲いていたのだ。

今は秋だ。

桜が咲いてる筈がない。

だが、咲いていた。

先生はそんなことは無視でもう酒を呑んでいた。

だから、私も無視して先生が作って来た(と思われる)料理を食べた。

小学生の頃から生意気にもひねくれていた私だ。

桜を見ても「綺麗だ」とか「桜の見方云々」等何も思わずただ淡々と見ていた。

でもまあ、花見は花見だ。

一応桜を見ていると先生が突然、

「酒の肴に旨い物を持ってきても困る」

と言い出した。

まあ、先生の事だし酔っ払ったのだろうと思って無視していたが、

「どう思う月見?」

と聞かれ驚いた。私は気付いたら、

「美味しいのなら其で良いと思います」

と、やはりひねくれた答えを出していた。

それに対し先生は

「それもそうだが、やはり所詮肴は肴。酒の口直し程度の物。だからこそ、旨いと困る。

でも、勿体ない勿体ないと言いながら箸は進む。困った物だ。」

私は思った。「タッパにでも容れて持って帰れば良いんじゃないか」と。

其を言葉に出した訳では無いが先生は

「其では酒の肴の意味が無いじゃないか」

と言い出した時は驚いた。先生は人の心が読めるのか、と。

そんな事思っていると、先生が

「まあ、肴の洒落も分からない奴にはこの狂い咲きの桜も分からないか」

と言われた。

少々ムッしていたら先生が突然、手に持っていた飲み掛けの酒を桜に掛けた。

私は驚いたが先生の事だ何等かの儀式なのだろう、と思っていた。

次の瞬間、『善きかな』だか、何だか分からないが声が聞こえた気がした。

まあ、そんな事もあり少々ボケッとしていたら、先生が

「よし、月見帰るか」

と言われた。

帰り際、例の桜の所にもう一度行って貰ったのだが、何故か狂咲の桜は無くなっていた。

~~~

今からもう何年も前の出来事だが、この季節になると何時も思い出す。

肴の洒落とは何なのかが、今でも私には分からない。

Concrete
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あんみつ姫様、再度コメント&怖い有難う御座います。
「高尚」でしたか、どちらにしよ私には判らないのですが。

どうでもよいですが、私は狂咲の花は幻想的だと思います。
確かに怖いですが、中々に幻想的ですよ。

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あんみつ姫様、コメント有難う御座います。
てのひら怪談の様な趣が有ると言って下さり誠に光栄です。
「狂咲の花は黄泉の物」と、婆ちゃんから言われた事があります。

「上手い」ですか、確かに押せたら面白いですね。

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伊藤太郎様、コメント有難う御座います。
夢十夜ですか、懐かしいですね。
先生シリーズですか、やってみようと思います。
文に起こすの難しいですが···

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ちゃあちゃん様、コメント有難う御座います。
確かに、川の神様ですね。
言われて気付きました·····

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面白い!
独特な感じがいいですね。なんだか夢十夜の、第一夜を連想しました。

『先生』のキャラもいいですね〜
ぜひ『先生』シリーズとして、続けてください!

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