小学生の頃。ガキ大将に立ち向かったことがある。
理由は、覚えていない。
ただ、心の奥底に勇気が湧いていたことだけは覚えている。
結果は、見るも無残にコテンパンにされた。
なぜ、あの時、あれほどの勇気が自分にあったのだろうか。
(残念だ。勢いでいけると思ったんだけどな。)
…
中学生の頃。校庭の隅の桜の木の下で、学年で一番綺麗な女子に告白した。
結果。見事に振られた。
そりゃそうだ。彼女と俺はほとんど初対面だったんだから。
なぜ、あの時の俺は、あんなに期待に胸を膨らませていたのだろうか。
(おかしいな。桜の木の下でなら、成功するはずだったのに。)
…
高校生の頃。俺は大学を受験した。
この大学に合格すれば、希望の未来が約束される。
俺には合格する自信があった。
だが、結果は、不合格。
よく考えれば、あんなランク上の大学、俺の成績で受かるはずがない。
なんで、あんな自信があったのだろうか…。
(クイズなら自信があったのにな。残念だ。)
…
社会に出て。俺は会社のやり方に納得がいかず、上司に逆らった。
社長を怒鳴りつけた。自分の考えを信じて。
結果は、解雇だ。胸ぐらまで掴んだのはやりすぎた。
だが、あの時は、何故か手が勝手に動いたような気がした。
(人生一発逆転、なんてわけにはいかないか。)
…
(そろそろ、まずいかもしれないな。)
なんで、あんな事したんだろう。
何をしても、上手くいかない。
俺は、高層ビルを見上げる。
…死んじゃおうかな…。
(いや、だめだ。)
その時、俺の胸に、勇気が、自信が、湧いてきた。
いや、だめだ。まだ諦めちゃいけない。
(そうだ。諦めるには、まだ早いな。)
…
それからも、俺は何をしても上手くいかなかった。
…
イライラした気分の俺は、部屋でテレビのディスプレイに向かいながら、ゲームをしていた。
戦略シミュレーションゲームだ。
ゲーム画面の中、自分の部隊は劣勢で、このままでは負けは確実だ。
「ああ。畜生。リセットだ!」
俺は、ゲームを最初からやり直すために、リセットボタンに手を伸ばす。
(僕もそう思うよ。)
…声が聞こえたような気がして、俺は後ろを振り向いた。
そこには、
wallpaper:527
俺の、
リセットボタンを、
押そうとする、
誰かの手が、
あった。
wallpaper:126
…
…
…
…
(to be continue…。また、やり直しだ。)
作者yuki
to be continueとありますが、もちろん続きはありません。