此れは、ウタバコ・7の続きだ。
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・・・・・・・・・。
「蛇が口から・・・ねぇ。」
事のあらましを話し終えると、のり姉は少しだけ声のトーンを下げた。
「て、事は、やっぱり其の蛇女ちゃんとウタバコは、関係してるんだろうね。面倒臭いなあ。」
のり姉にしては珍しい反応だ。
やる気が一切感じられない。
「まぁ、考察とかは薄塩達として。今若干忙しいから。暴力が必要になったら呼んでよ。」
プッ
電話が切れた。
暴力が必要になったらって・・・・・・。
そんな投げ遣りな・・・。
やっぱり、何かが可笑しい気がする。疲れているのだろうか。
そう言えば、のり姉だって人間なのだ。
色々と悩む事だって、疲れる事だって有るのかも知れない。
少し困ったからと言って、頼り過ぎるのは良くないのかも知れない。
と、すれば・・・・・・。
「今回は、僕等だけでどうにかしよう。」
口に出して決意を露にする。
僕は一人、小さく頷いた。
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・・・・・・・・・。
で、翌日。詰まりは月曜日。
「で、結果として分かった事を纏めるか。」
放課後。第四総合教室。
僕、薄塩、ピザポの三人は、他の生徒に見付からない様にしながら、話をしていた。
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・・・・・・・・・。
此処から薄塩シリーズ迷物の、台詞祭りとなります。慣れていない方はご注意を。
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・・・・・・・・・。
「で、結局、あの蛇女は一体何だったんだ?」
「分からない。あの箱と何か関係有るのは、間違い無さそうだけど。」
「箱と蛇・・・ね。ベタな所で、あの蛇女は箱に封印されてた化け物で、箱を開けた斉藤に取り憑いたとか。どうかな。」
「痛い。」
「ちょっと薄塩、一言で終わらせるなよ。其れが一番有りそうじゃん。」
「でも、だとしたら、どうしてそんな箱が斉藤の家に?極普通の家みたいだったけど・・・。」
「え、ええ?何か、こう・・・封印してる家系とか。巫女の末裔とか。」
「痛い。」
「コンちゃんまで酷い!」
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・・・・・・・・・。
「じゃあ次。あの蛇女は、人に害を及ぼす何かなのか否か。」
「少なくとも良い物では無いと思う。部屋の空気とかも澱んでたし、何より、今日、斉藤から泣きを入れられてる。」
「新情報?」
「だな。コンソメ、そう言う事はもっと早くに話せ。」
「はいはい。・・・斉藤は、昨日僕が帰った後、一度、ウタバコの歌を聴くのを止めようとしたらしい。」
「どういう事だ?」
「えっと・・・先ず、斉藤は起きている時は、一時間に十回以上、ウタバコの歌を聴いていたらしい。あ、勿論、家に居る時の話だからな。」
「別に可笑しな事じゃないんじゃないかな。単に中毒性の有る曲って事なんじゃ?」
「話を聞け。僕の話を聞いて止めようとしたんだ。でも、止められなかったんだよ。」
「俺にも有るよ。そういう事。特にテスト前とか。」
「だから話を聞けって。ちゃんとテスト勉強しろよ。単に我慢出来なかったとかじゃないんだよ。」
「何か起こったのか?」
「嗚呼。」
「蛇に巻き付かれたとか?」
「正解。正確には湿疹だけどな。こう、巻き付かれたみたいにビッシリと。」
「其れって何時?」
「朝起きたら、だそうだ。夢に出たりとかは無かったらしい。」
「マジか。」
「マジですよ。」
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・・・・・・・・・。
「はいはいラストー。で、ウタバコ、結局どうするよ。」
「何とかして斉藤から引き離す。」
「引き離してー?」
「んんん・・・・・・。」
「蛇女と話し合いをしてみるとか。」
「専門って事で、木葉さんの所に持って行くとか。」
「呪いなら木葉さんの所に持って行くとか?」
「木葉さん・・・木葉さんか・・・。でも、何か悪い気がするな・・・・・・あ!!!」
「ん?何?」
「居た・・・!!蛇で食らい付くバカが・・・!!」
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・・・・・・・・・。
慌てて携帯電話を取り出し、呼び出す。
一分近く呼び出すと、酷く眠たげな口調の相手が出た。
「・・・・・・んあ。もしもし。」
「もしもし?!」
「んん。野葡萄君だね?何こんな時間に・・・。」
「一寸、友人が困ってまして!!」
「薄塩君達かい?」
「いいえ!あんたは未だ知らない人!!」
「ふーん・・・。で、どうした。」
「呪われました!」
「えー。何にー。」
「蛇です!全身に巻き付かれて痕が付いてます!!」
「よし分かった。任せなさい。」
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斯くして、烏瓜さんが巻き込まれ、僕等の
《ウタバコ略奪計画》
が始動した。
作者紺野-2
どうも。紺野です。