この話は近くに住むおじいさんから聞いた話だ。
おじいさんがまだ小学生のころ、友達と山で駆け回って遊んでるうちにいつの間にか太陽が沈む時間になってしまっていた。
遅くなると母親に叱られるので友達とわかれ急いで帰ることにした。
少し暗くなった山道をテクテク歩いてると、先ほど通ってきた山の上から5歳くらいの男の子が降りてきて、
あそぼ!あそぼ! と言ったそうだ。
おじいさんは、「もう遅いから遊べない」と言ったそうだが、
その男の子は両手でおじいさんの服を引っ張りながら、あそぼ!あそぼ! としつこく言う。
おじいさんは困りつつも、「明日あそぼーねー」と言った。
しかし子供はあきらめない。おじいさんを元きた山の上の方に引っ張っていこうとする。
おじいさんは少し怒り気味に、「だから明日ね!」と言うと、子供は泣きそうになりながら、
「お母さんも待ってるからあそぼ。。。」と。
おじいさんが山の上の方に目をやると、その子の母親らしき人が上から手招きしていた。
おじいさんはなんだか怖くなってしまい、その男の子の手を無理やり引き離し、「明日ねー!」と言って後ろを振り向かずに駆け足でその場を後にした。
後ろを振り向く勇気はなかった。
次の日。
その日は朝から雨だったので、おじいさんは家の窓から外をボーッと眺めながら退屈にしてた。
すると遠くの山から昨日の子が手を振りながら山を降りてくるのが見えた。
おじいさんはなんだか怖くなり、二階の自分の部屋の布団にもぐりこんだ。
しばらくすると玄関のドアをガチャガチャ開けようとする音。そして昨日の子供の、あそぼ!という声。
おじいさんは背筋がさむくなり、布団の中でブルブル震えていた。
しかしドアを開けようとする音は一向に止まない。
すると今度は母親らしき声で、
「開いてるドアがないかさがしてごらん」と子供に言う声がした。
するとすぐに自宅周りの砂利をザッザッと走り回る子供の足音が聞こえてきた。
もうおじいさんは全身が凍り付いてしまった。
そして、裏の引き戸に鍵をしてないことを思い出してしまった。
あっ、どうしよう。。。。
心配は的中し、子供が母親に、「空いてたよーおかあさん!」
すると今度は母親も裏の引き戸まで砂利道を走る音が。
そして間も無く、一回の廊下をペタペタと歩く足音が聞こえてきた。
一部屋、一部屋探している音。
もうおじいさんは念仏を唱えながら恐怖で動くことができない。
最後に2人は階段を登ってきた。
トントントントン
おじいさんの心臓は破裂しそうなほど鼓動を打っていた。
それからどれくらいたったのだろうか。あたりがシーンとなっていることに気づいた。
「いなくなった?」
おじいさんは恐る恐る布団から顔を出して部屋のガラス戸を見てみると、ガラス戸には2人のシルエットがクッキリと写っていた。
おじいさんはそこで気を失ったそうだ。
おじいさんは未だにその時の2人が誰だったのか、山についていってたらどうなったのか 想像もつかないらしい。
作者SANTA