不思議な体験をしたことがある。
母親の事情で何度か引っ越しをしていたんだけど当時は銀座に住んでいて、俺は小学校6年生で母親と二人暮らしだった。
母親は自分の店をやっていてスナックで働いていた。
だから夜は俺一人でいたのが大半だった。
夜の9時には寝ないと怒られるけど、学校の休みの前の日と休みは何時間起きていようが怒られなかった。
ある夜のこといつものように晩飯を終えて布団に入っているとどこからか音が鳴っているのに気づいた。
その音は「キュイ、キュイ、キュイ」と鳴っていた。
起き上がり周りを見渡すと音がやんだ。
気のせいだと思い再び布団に入り横になった。
また音がなった。
その日から毎晩音が鳴るようになった。
ある日の夜にまたいつものように布団に入った。
またあの音が鳴った。
俺はどこから鳴っているのかを確かめようとしてゆっくり起き上がり周りを見た。
どうやら母親の部屋から聞こえている。
恐る恐る母親の部屋に入ると、そこに三面鏡があり別の鏡があった。
その鏡が回っていたのだった。
俺は近づき鏡を見つめていると「ピタッ」と止まった。
鏡には自分の姿がうつり肩にはなんと、灰色の顔と真っ黄色の目をした女が一緒にうつっていたのだ。
俺は一瞬で怖くなり悲鳴をあげながら布団をもってテレビをつけ壁に張り付くように背中をくっつけた。
何かが後ろに立たれるのを阻止するためだ。
それから3時間がたち12時を回っていた。
そのタイミングで母親が帰ってきた。
母親「ただいま~。ちょっと何時だと思ってるの!」
俺「いや、かがみ・・・が。」
母親「鏡?何言ってるの早く寝なさい!朝、起きられないんだから!」
と言って座っている姿を見て怒鳴った。
俺は何も言わずに自分の部屋に戻り布団に入ってその日を終えた。
何故だか母親がいたのか安心して眠りにつけた。
翌日、母親がお越しに来てくれた。
母親「ねぇ、朝よ。起きて。」
俺「う、うん。あ、朝だね」
母親「ねぇ、昨日の夜はごめんね、母さん仕事で疲れてて怒鳴っちゃたけど、昨日言ってた鏡がどうしたの?」
俺「あ、そうだ。」
昨日の出来事を話した。
俺「でね鏡がね回ってたんだよ。すごく怖くてさ・・・」
と言いかけた時、母親の顔は真剣になって言った。
母親「鏡って、母さんの部屋にある三面鏡の上に置いている鏡?」
俺「うん。」
母親「きゃー!」
突然悲鳴を上げたかと思うと、三面鏡の上に置いている鏡を手に取り玄関にむかって投げつけた。
「パリーン!」と音をたて地面に鏡の破片が散らばった。
その光景を見た俺はただ呆然と見ていた。
母親「早くご飯食べて、が、学校に行きなさい」
何も言わずに学校へ向かった。
小学校だと夕方の3時には終わる。
学校がおわり家に帰り玄関の扉を置けると靴が置いてあった。
誰かが家に来ているらしい。
そのまま廊下を進んで部屋に入ると、若い女性が母親と一緒に話していた。
若い女性とは何度か顔を合わしているのですぐに知り合いがいると気づいた。
俺「ただいま~」
若い女性「あ、お帰り」
と挨拶をかわし自分の部屋に戻った。
その日のうちに母親に何を話していたのかを聞いてみたが、ごまかすように話をそらせた。
それから今にのぼる。
ついきのう母親と懐かしい話の話題になりその時のことを思い出した。
俺「話変わるけど、銀座で起きた鏡のこと覚えてる?」
母親「あ~。あそこの時はずいぶんいろんなことがあったね。なに、そんなこと覚えてたの?」
俺「当たり前だよ。あんな怖い思いしたのはじめてだったもん。何があったの?」
母親「今だから言うけど・・・」
母親は話はじめた。
母親「実はあの鏡は一緒に働いていた子の形見なのよ。どうやら自殺をしてなくなったらしいのよ。」
(ここから話がややしくなるので、家に来ていた子がA、自殺した子がBとする)
俺「自殺?」
母親「うん。あんた、家に遊びに来てたA覚えてる?」
俺「あ~、覚えてるよ。あの細見できれいな人でしょ?」
母親「そう、そう。Aも一緒に働いてた子なんだけど、Bと仲が良かったんだよね。」
母が言うには
B「ママー、あたし一周間やすむことにしたの。」
母親「なんで?」
B[すこし遠出する。」
て言ったんだって。
その日から一周間すぎても仕事場に来ない。
不思議だと思って、仲が良かったAにBの家を訪ねてくれって頼んだらしい。
AはBの自宅に向かってインターホンを鳴らしても返事がない。
ドアノブを回して引くとガムテープに固定されていて、一人の力じゃ開けそうにないので近所のおじさ
んに助けを求めたらしい。
そしておじさんと一緒にドアを蹴破り中に入ると、大量のガスが充満していた。
急いで窓を開けて、Bのいる所に行ったときはすでに亡くなっていた。
どうやらAいわく、発見したときのBの顔は灰色の顔で目が真っ黄色だったらしい。
あの時、俺が見た鏡のと一致した。
Bg
この話を聞かされてすっきりどころか、聞いて損をした気分になる。
、
作者ゆたぽん