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携帯電話の普及と共に、ここ最近ではあまり見かけなくなった電話ボックス。
俺の住む街の外れ、古い峠道を上がった所にあるトンネルの出口に、ポツンと、ある。
街灯なんか無い道だから、夜になるとそこでの唯一の明かりは、トンネルの明かりだけ。
不気味だし、暗いから、地元の人もほとんど使わない。
こんなんだから、ご多分に漏れず、ここには幽霊がでるだと昔から噂されていた。
ただ、こんなありきたりな噂を面白がる奴なんかいない。
俺以外はね。
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火の無いところに煙はたたず。
ビデオカメラを車に積んで夜中、電話ボックスに車を走らせた。
トンネルの出口の路側帯、道を挟んでちょうど電話ボックスの正面になる。
そこに車を止め、後部座席を倒して三脚を設置、車内から電話ボックスを撮る。
噂では、午前2時に女が居るらしい。
ほんとにありきたりな噂だなぁ。
少し早く着いたせいで、2時まではまだ時間はあるが…。
ビデオカメラは録画を初めておこう。
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……しまった。
辺りはうっすら明るくなってきていた。
どうやら寝てしまったらしい。
時間は5時半を回っていた。
とりあえずビデオカメラを止め、家に帰った。
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早速、録画した映像を確認した。
どうせ、なんにも撮れて無いだ……ん?
録画時刻は2時過ぎ。
画面の右端、トンネル側からゆっくりと画面を横切る人影が。
長い髪の女だ。
そのまま電話ボックスに入る。
受話器をもちあげ、耳にあてた。
なんか話してるな、電話ボックスなんだから当たり前か。
頷いたり、首を傾げたり……10分位経って女は、来た方向へ戻って行き、カメラの画面から出ていった。
映ってんじゃん!!大スクープ!!
だけどこれ、ただ夜中に人が電話掛けてただけかもしれん。
不倫女性とか。
これは肉眼で確認せねば。
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で、午前2時。
昨日と同じ場所で張り込み開始。
睡魔と戦うこと1時間半。
あれ、今日は来ないの?
しびれを切らし、たまらずトンネルの明かりに浮かぶ電話ボックスへ。
ガラスには苔っぽいのが付いてるし、電気も点いてない。
結構古いなぁ。
これ、使えないんじゃないか?
じゃあ、昨日の女は何やってたんだ??
扉は開いた。
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中に入って受話器を取り、耳にあてる。
……。
無音。
あぁ、線が切れてる。
そう思った瞬間。
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受話器を当ててない方の耳許に
ふわっと風がかかる。
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振り向く事も出来ず
固まる俺。
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後ろに
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気配がする。
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息を吸う音。
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そして
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女が囁く。
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『……ねぇ、私になんか用??』
作者ビビり
夜中の電話ボックス、無条件に不気味ですよねぇ。