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以前、住んでた家の話。小学3年まで住宅に住んでいたのだけれど、父親が夢のマイホーム購入。市内の中古の一軒家に越すことになった。
私は飼いたかった犬も飼えることになったし、自分の部屋がもらえた事に大喜びだった。
しかし、父の弟(私の叔父)が引っ越し祝いに来てくれたときに、何を思ったか不審げな様子。幼いながらに聞いていたところ、どうやら家の玄関の方位がよくないと言っている。玄関が北向きにあり鬼門だと言うのだ。
迷信やオカルト的なことを信じてない父や母はそんなこと気にするでもなく、新しい住まいでの生活を楽しんでいた。ただ、私をのぞいては…。
一人っ子な上に両親が共働きなので、私は引っ越しと同時に鍵っ子になった。愛犬もいるし、自分の部屋もあるしのびのびと最初のうちは鍵っ子生活を満喫していた。
誰にも邪魔されず、遊べるということで友達がよく遊びに来て、たまり場となっていた。
しかし、決まって遊びにきた友達が「お母さんかお父さん帰ってきてる?」もしくは「誰かきてる?」と聞くのだ。遊びにきた友達とは居間で遊ぶのがいつものことだったので、2階にあがることはほとんどなかった。でも、誰もいないはずの2階から足音や階段の軋む音がするのだ。怖がりな私は家鳴りといって、知らないふりをしていた。
最初は家鳴り程度で気にならなかったものの、日に日に奇怪な出来事が増えるようになった。特に私の部屋が多かった。
CDラジカセからCDが飛び出したり、急に音量が大きくなったりと地味なものから始まり、ベランダからバンッと音がしたと思ったら小さな手形が無数ついていたり…。
特に多かったのが寝ているとき。ベッドに横になると耳元でお経のようなものが聞こえてきたり、何人かの足が私を取り囲むように歩いていたり(足以外は見えない)金縛りもしょっちゅうだった。
一番怖かったのは、ベッドの足側に押し入れがあったのだけど、その隙間から人影のようなものがうっすら見えた時があった。怖くて目をぎゅっとつむり、無理やり寝ようとした。でも、少しの好奇心から目を開けてしまった。
瞬間、その影が足元からすごいスピードで這い上がってきた。その顔は真っ暗な闇で何もなく私をのぞきこんできた。その夜、私は気絶したままねむりについた。
また別の夜、私はうとうとしていて夢を見ていた。好きな人と手を繋ぎ歩いている夢だった。好きな人が私の手を握りしめ、私も握り返した瞬間に目が覚めた。でも、現実でも私は誰かの手を握っていた。父や母は別の寝室で就寝、繰り返すが私は一人っ子だ。じゃあ、今私は誰の手を握っているの…?その夜また気絶してねむりについた。
怪奇現象は私にしか感じないらしく、父や母は何も言わない。せっかく買ったマイホームにケチをつけるようなことも嫌だったので、私は何も言わなかった。
そんな現象にあいながらも、過ごしていが大きな異変が起こった。父が足の腱を切る大怪我をして、同じくして母が靭帯断裂の大怪我をした。そして、私は難病にかかり入退院を繰り返すようになった。特に私の症状はひどく、絶食を何ヵ月もしたり肺に穴が空いたりと長期の入院を繰り返した。
そんな折、叔父(父の弟)から電話がかかってきて「そこの家は玄関が鬼門にあたり、悪いものが集まってくる!引っ越しを考えた方がいい!」とすごい剣幕だった。
そして私の何度めかの入院中に、近所にできた新築の家に引っ越すことになった。新しい家は日当たりもよく、私は退院後もう入院することはなくなった。
前の問題の家はというと、私達家族の後に4人家族が越してきたらしいが、奥さんが失踪し子供は親戚に預けられ残されたお父さんもいつの間にか家を捨てるようにいなくなってしまったと聞いた。いったい何があったのか…。
近所なので、たまに近くを通るが2階に人影のようなものが見えたり、草はボウボウで廃墟のようになっている。
後に聞いた話したが、叔父は例の家に引っ越し祝いにきたとき、ただならぬ気配を感じたのと死んだおばあちゃんが枕元にたって危機を知らせたと言っていたらしい。
今も荒れ地のまま、その家は残っている…。
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作者高井聰子
私が前に住んでいた家にいたときの実話です。
あまり、怖さが伝わらずすみません。