赤の次に強力な力を持つと思われる色…それは黒である。しかし、特定の場所から動けないことを除けば、赤の霊体と変わらない。
そして赤の霊体と違うところは、実体化するということだ。力の源が霊体を縛り霊体を強くしている。
黒が現すのは憎しみ、妬みである。
作者が出会った見知らぬ老人の説である…
廃墟に彷徨う者
私はあれから自分の意思で確かめたくなった。龍蛇の力を。
私はカメラ数台とテントを持ち、幽霊が出ると噂されている廃墟に向かった。
辺りは薄暗くジメジメしている。
廃墟の近くになると誰かがさっきまで居たような形跡が残っていた。
頭に着ける小型カメラを作動させ、廃墟の辺りを探索した。
そこである人物に出会った。
作者が出会った老人である。
老人は私を見て杖を向けた。
「同じ力を?だが、君には早すぎる」
その時に見た老人の腕は黒い文字がうねり蠢いていた。
「その腕は?」
「これが私を守護する者だよ。」
老人は廃墟を見上げ呟いた。
「まあ、いい練習になるだろう。付いて来なさい。」
私は老人の後を付いていくと
老人は右手を上げ、ボロボロの壁に掛けられた鏡から、半透明な何かを吸い込んだ。
「今のは?」
「なーに、浮遊霊の一種さ。こんなモノは練習にもならん。これから相手にするのは、ここを棲み家にしている悪霊だよ。」
その悪霊の特徴を質問すると
老人はヨボヨボと歩きながら説明し始めた。
霊媒師が見る霊体、我々が見る霊体は別物であることが一つ。
様々な宗教に加担しないかわり、全ての神から祝福を受ける。←第壱夜の時に聖書、お経を唱えていたことがこれに当てはまるらしい。
そしてそれらを喰らい続けなければ、不運が続き死に至る。
悪意のない霊体は喰らうとは違う
方法で救収し、浄化すること。
老人が見せた右手に救収して見せたのがそうであった。
そして霊体の色について。
最も厄介なのが赤。激しい怒りを現す。
充血した目、服、帽子、ネイル、靴、血の跡に当てはまる。霊感が強い場合、激しい頭痛、目眩、吐き気、痙攣に襲われ死に至る可能性が高い。
その次に黒、または影。
これらは復讐、憎み、妬みからなる霊体で行動に制限がある。
霊感が強い場合、激しい頭痛、目眩、異臭の感知、吐き気、身体の一部の痛みに襲われ死に至る可能性がある。
それ以外での色は悲しみ、喜び、親しみなど様々な霊体が存在する。
そして我々のような者たちは霊感が強いというわけではない。
他にも悪霊食い、という能力?を持ち世界中に散らばって存在する集団もいる。
「と、まあこんな感じか。ん?他に誰かおるのか?」
老人は散らかった広い廊下で立ち止まった。
「ほぉ〜、珍しい奴がおる。」
老人は広い廊下の一箇所を杖で指す。
「これは?」
「悲しみの霊体だな、なぜここに縛られておる?」
老人は半透明の人影の近くに
舌と書かれた札を貼った。
「これで会話できる。君は男か女か?」
人影はユラユラ動き
「オンナカラハニゲラレナイ……」
人影の目に当たる部分が光り出す。
すると、老人は杖を構え怒鳴り散らした「オンナとは誰だ!」
人影は不気味な壊れたラジオのような雑音を響かせ笑っている
「フザフフジフフナフタフ…」
老人は何を見抜いたのか
私が口にしたことのある言葉を呟いた。「構えろ!飛び出すぞ!」
それは老人が口にした霊体と戦う?戦うっていう意味が正しいのかわからないが、霊体を喰らう際に気を付けなければならないことがある。
それは霊体が放つ衝撃波である。
まともに受ければ3〜5mは弾き飛ばされる。衝撃波を放つ前に守護霊が霊体の尾を喰らうことが出来れば、衝撃波は緩やかな風となる。
それがオカルト好き友人が体験した半透明の顔。それがまさに衝撃波だったが、龍蛇が先に霊体の尾を喰らっていたため、驚いて転ぶだけで済んだ。
そしてまさにその霊体が暴れる第一段階を迎えた。
老人は小さな声で呪文のようなモノを唱え始めた。そしてカッと瞼を開き
「喰らった!あとはこの者の名を聞くだけだ!」
老人の腕に蠢く文字は激しさを増していた。
すると徐々に老人の右手に名前が浮かび上がった。
「藤田 悟」
老人は腕に浮かび上がったその名を見て
「失せなさい、あなたの名を知っている!」
そう老人が叫んだ瞬間にキーンと強い耳鳴りがした。
人影は消え去り、老人は疲れた表情で壁にもたれかかった。
「悪霊はまだだ。本番はこれからだ。」
お、わ、り。
次回 「アイツとの戦い」
作者SIYO