そして、不意に隅の方を指差し
「彼処、戦死した兵隊さんが此方を見てるよ。それで、貴女の足元に地縛霊が来てる。乗っ取ろうとしてるみたい。私の数珠貸してあげるから持ってて。」
渡された数珠を持つと
「あ、向こうに離れたよ。よし、外に行こうか。」
そのまま数珠を返して、其処から外に行き、教室迄戻ろうとした処で仔猫が気になり何処に行ったのかを聞くと
「さっき迄運動場で浮遊霊食べてて、お腹一杯になったから私の胸元の幽霊で遊んでる。」
疑問が胸中を渦巻きましたが、聞いて良いのか躊躇いました。
が、其れが表情に出ていたのでしょう、微笑んでこう答えてくれました。
「私ね、霊媒体質なんだよ。だから、よく幽霊が集まって来るの。」
其れから教室迄戻り、先輩は帰って行きました。
其れに続いて私も学校から家に帰りました。
其れから又月日が流れ、三年前の秋にイタコのお孫さんと知り合い、幽霊が見えると知り私は猫が居るのかを聞きました。
「居るね。種類はロシアンブルーで、貴女に助けて貰ったって言ってるわ。」
「猫の言葉が解るんですか?」
「流れて来るの。あ、他にも言ってるわ。“僕の名前はリュウだよ。”って言ってる。」
そして、仔猫の名前が分かったのと同時に、付けた名前が間違って居た事を知りました。飼われて居た事も。
ですが、仔猫が言っていた助けて貰った、が何の事か分かりませんでした。
其れが仔猫と私の話です。
でも、仔猫の話はまだ続きます。
作者退会会員