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中編3
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落書き

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中学2年生の頃、窓際の後ろから2番目の席で、ヒサシさんは期末テストを向かえた。

当時から真面目だったヒサシさんは、万全の対策をとってテストに臨んでいた。

1時限目のテストを15分ほどで書き終えたヒサシさんは解答の見直しをしていた。

・・・ん?

解答用紙の裏側。右下の隅の方に何か書いてある。自分で書いた記憶はない。

「けんたみずでおしまい」

・・・なんだこれ?最初はなかったよな?

消しゴムをかけると消えたので、その時は特に何も考えなかった。

2時限目。ヤマが当たってあっという間に解答を書上げたヒサシさんは、見直しの時にまた何か書いてあるのを見つけた。

「けんたみずでおしまい」

・・・またか。なんなんだこれ?先生が書いてるのかな?

不思議に思いながら消しゴムをかける。文字はあっさりと消えた。

3時限目。今度は最初にプリントを確認する。表も裏も、問題以外は何も書いていない。

なんとなくほっとしたヒサシさんは、またもや20分程で問題を片付けた。

・・・さぁ見直しだ。

プリントの裏側、一番最後の問題を解き終えたヒサシさんは、頭から見直そうとプリントの表を見た。

名前の横に、また文字がある。

「けんたみずでおしまい」

・・・絶対になかったのに。

文字を消しゴムで消しながら、ヒサシさんは、教卓の前の席の健太さんを見た。

解き終えたのか諦めたのか、健太さんは机に突っ伏していた。

・・・あいつのことかな?

ヒサシさんと健太さんは特に親しいわけではない。内向的なヒサシさんと、不良少年の健太さんには接点がなかった。

むしろ、健太さんのグループによくいじられていて、ヒサシさんは健太さんが苦手だった。

・・・健太水でお終い?

ヒサシさんの頭を嫌なイメージがよぎる。首を降り慌てて違うことを考える。

4時限目。今日最後の時間。プリントの表裏を確認したヒサシさんは少し時間をかけて解答を書上げた。

・・・またあるのかな。

書き終わった後、プリントの端々を確認した。文字はなかった。

・・・良かった。

安心したヒサシさんは、目を閉じて間もなく訪れる夏休みのことを考えていた。

「はい終了~。後ろから集めて~。」

・・・あ、寝てた。

後ろから回収しに来た女生徒に渡そうとプリントをつかもうとした時。

「けんたみずでおしまい」

名前の下に書かれているのを見つけてしまった。

??誰が?なんで俺のプリントに?

呆然としているヒサシさんの机からプリントは回収された。

教師からの呼び出しにおびえていたが何もなくその日は終わった。

後日戻ってきたテスト用紙に、あの落書きはなかった。

夏休みを待たずに、健太さんは川で溺れ死んだ。遊びで飛び降りた橋から2km程下流で発見されたらしい。

「最後のプリントの文字さぁ。俺が寝ないで気付いて、ちゃんと消してれば健太は死ななかったのかもね。」

喫茶店のテラス。中空を見つめながらヒサシさんは言う。

なんと言えばいいのか・・・。それはヒサシさんのせいじゃないですよ。そう言葉をかけようとした時。

「まあでもあれか。あの時起きててそれを見つけても消さなかったかもね。割と本気であいつ嫌いだったし。」

そう言ってヒサシさんは笑った。

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だ…だれが書いたのでしょうね((((;゚Д゚))

神様?
仏様?
それとも…悪魔?

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