短編2
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カミサマ

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「これがね、ボクのカミサマ。」

及川さんが小学生の頃、近くの林の中に作った秘密基地で、佐村君が突然打ち明けた。

「何言ってんだ?これただの石じゃんか。」

子供の手の中に収まる大きさの小石を、佐村君はカミサマと呼んでいた。

「よく見てみて。っていうか聞いてみて。」

佐村君が石を近づけてくる。

どこからどう見てもただの石ころだ。

…あれ?

その石から小さな音がする。

思わず耳を近付ける。

本当に小さな、集中していないとわからない音が石から出ている。

…音?……いや、声?何か話してる?

「…すげえ!何これ!?」

興奮ぎみに佐村君に問いかける。

「この前川に泳ぎに行った時見つけたの。誰にも言わないでね。」

「わかった。けどさ、その石ころが喋ってるのはわかったけど、それで何で神様なの?」

「わかんない…。たまに石が自分でカミサマだって言うの。」

「何か御利益とかないの?願いが叶うとか?」

「ないと思う。今のところ何もないよ。」

…なんだそれ?何でそんなのが神様?

「全然神様じゃないじゃん。喋る石じゃん。」

「止めなよ。カミサマ馬鹿にしたら駄目だよ。」

勝手に御利益を期待して、肩透かしを食らった及川さんは、佐村君に怒られて機嫌が悪くなった。

「神様なら願い事の一つや二つ叶えて見せろよな。」

腹立ち紛れに佐村君に当て擦る。

「カミサマに失礼だよ!バチがあたるよ!」

佐村君が慌てて諌める。それが益々気に入らない。

「だから何が神様なんだよ!石じゃん!おい神様ならバチでも何でも当ててみろよバーカ!」

頭に来てそう言い放つと、秘密基地を飛び出した。

「駄目だよ!カミサマ怒ってるよ!」

背中ごしに佐村くんの怯えるような声が聞こえた。

家に帰ると、妹が階段から転げ落ちて死んでいた。

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自分にこないんだ…
恐ろしいな(つд;*)

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ん〜〜ん その石が何かの神なら、神への冒涜に対する報いは余りにも大きすぎる。
生きながらにしてカルマを背負い続けるか…

怖いねぇ(-.-;)y-~~~

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