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短編2
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第一声

坂本さんは初の出産を終え、里帰りしていた。

初孫を向かえた坂本さんの両親は、とても嬉しそうだ。

「あぁ口元はあんたそっくりだねぇ。髪が薄いのは旦那さん譲りかね?」

「まだ赤ちゃんだから生えてなくて当然でしょ。何をいってるのこの人は。」

熟年夫婦の漫才を聞きながら、坂本さんも子供を見る。

「ねえお母さん、お話が出来るようになるのってどれ位かしら。」

「あんたはせっかちねぇ。そのうちよそのうち。」

「あはは。早くお母さんとお話ししようね。」

そう言って我が子の頭をそっと撫でる。

「そう言えば、お前は言葉を喋るの早かったなぁ。」

父親が懐かしそうに話しだす。

「5ヶ月位でもう喋ってたよ。」

「嘘だぁ。そんなに良い子だったの私?」

「嘘じゃないよ。なぁ母さん。」

「ええ。でも怖かったわぁ。」

「え?怖かった?初の子供が急に喋ると怖いものなの?」

坂本さんが聞く。

「忘れないって言ったのよ。」

と答えた。

…ええ?

「初めて喋った言葉が 忘れない だったのよあなた。」

「おぉそうだったな。はっきりと喋ってたよ。この子は天才だぁなんて喜んだら母さんに怒られてなぁ。」

父親が笑う。

「あなたを寝かしつけて、お父さんと寝顔見てたら急にそんなこと喋るから怖かったわぁ。」

母親も笑う。

その時はその一回きりで、次に喋ったのは3ヶ月位後だったらしい。

「そこでやっとママって。嬉しかったわぁ。」

…私は、何を、忘れないつもりだったんだろう?

Concrete
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津軽様。初めまして。
お話、全て拝見しました。
私も北国生まれのせいか、津軽様の空気感になぜか懐かしさを覚えます。
また是非とも聞かせて下さいね!

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