前作では、お騒がせして大変申し訳ありませんでした。
今後、十分に注意するので、よろしくお願いします。
今回は、3です。長いかもしれませんが、どうぞ。
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中々、祓える場所が見つからず、困っていた時、ビジネスホテルを見付けた。
相手:「ごめん、ここでいい?部屋は別々にするから」
私:「分かりました。すいません、長いこと運転させてしまって」
相手:「仕方ないよ。こいつらを祓うにはカラオケとかはマズいんだよ。」
私:「何でですか?」
相手:「多分、こいつらの声が入るから。」
私:「なんか…なんとなく、どうなるか分かりました。」
多分、私が怯えるからダメなのだろう。祓うものも祓えなくなるからだ。
さっきのように(※ある人との出会い-2-再投稿参照)芋ずる式で連れて来てしまう。
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ビジネスホテルに着くと車を下りて、受付に向かう。部屋を2つ借りることができ、エレベーターで、上へ行く。
相手:「これから指示を出すね」
私:「はい。」
相手:「まず、熱いお風呂に入って」
私:「はい。」
相手:「それから、服着て、俺がいる部屋に来て。準備してあるから」
私:「はい」
相手:「じゃあ、後でね。」
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エレベーターが閉まる。
彼は私が入る部屋の2階上の部屋なのだ。
私は、エレベーターを降りると急に心細くなった。
廊下は明るいが、非常口辺りは暗い。
ヒールでもないのに、パターンパターンと、サンダルの足音が響く。
<891>
ここだ。
sound:27
鍵で部屋を開けるも、中は暗く、入るのを戸惑う。
電気を点けたら、ちょっとホッと出来た。
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あれ?
耳鳴り…
…お風呂を準備しよう。
幸い、洗面用具等は揃っており、ゆっくりと浸かった。
驚くほど、身体が冷たい。
本当に冷え切っていたのか、爪が青紫になっていた。
長めに浸かり、疲れていたのか、ちょっとばかりお風呂で寝てしまった。
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ハッ!いけない、寝ちゃダメと立ち上がった時、ゾッとした。
ポコポコと泡が出ていたのである。
あり得ない位置から。
ついさっき、私が寄り掛かっていた場所から泡がブクブクと下から出ている。まるで、人が息遣いしてるみたいに水泡が湧き出ていた。入浴剤は入れたが、液体タイプのものだった。
お湯をはる時には、そんな器具は見当たらず、蛇口みたいな所から出るタイプのお風呂である。
お風呂の栓は真ん中には付いてない。端っこに付いていた。
慌てて服を着て、お風呂から出た。
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怖い…
怖い…
とてつもなく、コワイ…
自分の意志とは関係なく、震えてしまう
突然、チャイムが鳴り
sound:16
ビクっとする。
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のぞき穴から確認すると、彼だった。
ドアを開けるも、
sound:26
へたり込んでしまった
相手に支えてもらいながら、こっちに来た経緯を話してもらった。
相手:「遅いから、慌てて来たんだ。」
私:「…お風呂に、」
相手:「え?」
私:「お風呂に入って、少し寝ちゃって。慌てて起きたら、お風呂に出てきたんです…」
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相手:「お風呂見て来ていい?」
私:「…はい」
見て来てくれたが、何もいないと言う。
相手:「今日は、俺と一緒の部屋で寝よう。
ソファーがあったから、俺はそっちで寝るから、ベッドで寝ていいよ。」
私:「でも、それじゃあ、疲れちゃいますよ。あたしがソファーで寝るので、ベッドに寝て下さい。」
相手:「牡丹狐ちゃんは、ベッドで寝てもらわなきゃ困る。」
私:「どうしてですか?」
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相手:「牡丹狐ちゃんは、車で色々話してくれたよね?」
私:「はい。」
相手:「ちょっと気になることがあるんだ。前に友達と飲んで、家に休ませてもらった時、急に起き上がったんだよね?」
私:「はい。どうしたの?って、声をかけたら、声がする方向を向いてて、目は開いてたけど、焦点が合ってなくて、しばらくしたら、崩れるように後ろに倒れて、慌てて起こしてくれたんですけど、覚えてないんです。何回かそういうことが続いたみたいなんですけど…。」
相手:「その時、部屋で休ませてもらって、起き上がった様子を見てた子は?」
私:「部屋が変な音を立てて、空気が冷たくなったと言ってました。」
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相手:「確かめたいんだ。誰が君をそうさせているのかを。」
私:「分かりました。」
ベッドに彼と向き合う形で座ると、額に手をのせ、片方の手は私の手を握っている。
しばらくすると、勝手に身体が揺れ始め、意識は暗転した。
目が覚めたのは、午前3時半
起きたら、彼が隣にいて驚き、起こしてしまった。
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私:「すいません、起こしてしまいましたね。」
相手:「いや、大丈夫。」
私:「あの、お祓いは…?」
相手:「二人、逃した。ごめんね。」
私:「え…」
相手:「女は、祓えた。一番厄介なヤツは、君を探してまた来る。」
私:「そんな…」
相手:「⁉︎こっち来て‼︎」
私:「え⁉︎」
相手:「いいから早く‼︎」
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いきなり怒鳴られると同時に、部屋の中が冷たくなり、音がパチパチ、パンパンと鳴り始めた。
私はというと、布団を被せられ何も分からない状態で、彼は何かと睨み合い、私を庇っている。
何も状況が分からない。
ただ、一つ分かるのは、絶対に布団から出てはいけないということだけ。
しばらくすると、外から壁を引っ掻く音も聞こえ始めた。
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相手:「大丈夫だよ。追い返した。怒鳴ってごめんね。」
私:「いえ。あの、壁から変な音が…」
相手:「そいつは、別のやつだ。別の人から飛ばされて、君の元に来た。」
私:「別のやつって?」
相手:「呪いのようなモノだね。」
私:「…誰かは検討つきます。」
相手:「誰か分かるの?」
私:「…はい、恐らく、E、という子です。」
Eは、大学であたしを虐めた一人である。仲裁役と言いながら、さり気なく自分が不満に思っていることをぶつけてきた、腹黒い人であった。
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相手:「そっか。朝になれば、送り主の元へ帰るから今は問題ない。まだ大して強くもない。」
私:「そうですか…」
相手:「これ、持っておいて」
私:「あれ?私のネックレスに何か…」
相手:「今は、ちょっとした御守りになってるから。」
私:「ありがとうございます。」
相手:「あと、ごめん。まだ終わってないんだ。」
私:「追い返しただけですもんね…」
相手:「慌てて結界張ったからね。追い出すことしか出来なかった。」
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相手:「しばらく一緒にいれる?」
私:「家には…」
相手:「帰りたくても帰れない状況なのは?」
私:「分かってます。」
相手:「ごめんね、偉そうに祓えるって言っておきながら、祓いきれなかった。」
私:「そんなことないです。一生懸命、祓ってくれたじゃないですか。一人とお狐様も祓ってくれたんですから。」
長い夜が終わって、朝を迎えた。
受付を済ませ、外に出たら雨がやんでいて、朝になっていた。
彼は、私の意識が暗転したこと後のを話してくれた。
急に空気が冷えて、パチパチ、パンパンと音が鳴り、全身に蜘蛛の巣が引っかかるような感覚がした後、女を真っ先に祓い、生霊と男性の霊は祓おうとしたが、無理がたたって攻撃されるが、追い返したという。
私の体を使っていたのは、あの厄介な男の霊だったらしい。
外に出て、私達がいた部屋の外壁には、うっすらと爪痕が残っていた。
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数時間後、私は彼氏と別れ、相手は、彼氏の生霊を切り離してくれた。
生霊が憑いた原因は、電話である。
彼氏の家にいた時、たまたま知り合いから電話が入り、彼氏が声を聞いてしまったことが発端だった。内容は、飲みに行かない?というお誘いだった。
そこから疑い始め、信用されなくなり、今回のことと重なってしまったとのこと。
あと、彼氏と別れたもう一つの理由がある。
彼氏の家に、女が一人いるのだ。この世の人ではないけれど。
私がいると、邪魔で追い出そうとしていたのだった。
事実、彼氏の家には、行きたくなかったことが多かった。
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一旦家に戻って着替えを取り行きたいとお願いし、家に向かってもらい、その際に、I神社(※獅子参照)と家を見てもらうことになった。
私の家について、彼は気になることがあったらしく、連れて来てもらった。
休憩がてらにコンビニに車を止め、先に着替えを取りに行き、まずはI神社に行った。
相手:「あの神社、蛇を祀っているんだね。」
私:「そうなんですか?何を祀っているのかまでは、分からなかったんですが…」
相手:「牡丹狐ちゃんが長くいたくないのも無理なかったよ。」
私:「それは何故ですか?」
相手:「牡丹狐ちゃんは狐憑きだったから。」
私:「…相性が悪かったんですか?」
相手:「そうだね。神社の主は、自分の陣地に入られて、怒っていたんだ。出て行け!って」
私:「うわー…」
相手:「だからだよ。まあ、あんまり良い神社じゃないね。」
この後、家に向かって行った。
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玄関前に車を止めると、妙なことを言った。
相手:「…何か轢いたかも。」
私:「え⁉︎何を轢いたんですか?」
相手:「手」
私:「え…」
そして、家を見るも、ズバッと言われてしまった。
相手:「…まず、入りたくない。」
私:「そんなキッパリと言わないで下さい。一応、私の家なんで。」
相手:「ごめん。…ん?」
私:「?」
相手:「ヤバいヤバいヤバい!一旦離れるよ!」
私:「え、そんなちょっと、きゃぁぁ!」
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急に車を発進させたので、頭部を思い切り窓にぶつけてしまった。
私:「ったー、いきなりどうしたんですか?」
相手:「ごめん、ヤバい状況だったから思わずアクセル思い切り踏んだ。」
私:「あの、ヤバい状況って?」
相手:「…ここじゃ言えない。後ででいい?」
私:「分かりました。」
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数分後、彼は話してくれた。
彼曰く、私の家には多くの霊が集まっており、まず見えたものは、家の周りを笑いながら歩きまわっている女性と玄関に首を吊った人、こちらは恐らく男性。二階の窓からは人が覗いてた。家の中には、いたる場所にいるとのこと。
あと、彼は、本当に手を轢いたが、途中で気配が消えたと思った。が、玄関の明かりが点き、家の中には、玄関前に1枚扉があるのだか、その扉が開いた瞬間、3体の霊が一気にこちらに突進。後ろの車の窓には、あの厄介な男がへばりつき、こう言っていたらしい。
「牡丹狐、おかえり」と。
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本気で家に帰りたくないと思ってしまったのは、言うまでもない。
4へ続く
作者退会会員
こんばんは。
すいません、だいぶ長いです。
上手くまとまっているかは分かりませんが、読んで頂けるならば、幸いです。