【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編4
  • 表示切替
  • 使い方

葬儀屋を辞めた

music:4

前に書いたが私は

葬儀屋に勤めたことがある

少しの期間だが

見える

聞こえる

連れて帰る

そんな被害が多く

やむなく辞めなくてはいけなかった

nextpage

葬儀屋の仕事というのは

何をするかというと

御遺体のお迎え

処理

事故死の場合は検案

自社に戻り着付

専用の冷蔵庫に保管

遺族の意向により

安置場所を決める

会場の準備

会場の設置

お通夜

告別式

出棺

火葬

という流れである

nextpage

この過程は毎回変わらない

宗派によって違いはあれど

それほど変わりはない

こんな話を長々してると

葬儀屋のまわし者みたいなので

本題に入ります

nextpage

その日も

業務が終わりかけの時に

電話が鳴った

仕事である

先輩のHさんと

急いで現場に向かう

車内でたわいもない話を

少しの時間にして

現場に到着した

警察官が2人いて

挨拶をして

事故の内容を聞く

死後1週間

心臓マヒである

その間、私は

遺族のお爺さんと

話をしていた

家に入ると

その家独特の生活臭がして

それに混じった腐敗臭

sound:18

「あれ?」

御遺体を見て先輩Hが声を出した

普段は滅多に

無駄な事は喋らないHである

「どうしたんですか?」

私は声をかけた

H「いやなんでもない」

その後は沈黙のまま

作業を進めた

車内に御遺体を乗せて

もう一度挨拶をして

車内に2人とも戻った

車を走らせ

家が見えなくなると

先輩Hが私に話し始めた

「あのよ?

何があっても

後ろは振り返るなよ

それとよ

music:2

誰にも言うなよ

あの家おかしい」

私「何がですか?」

H「人ってよ

死んだら動かないだろ?」

私「当たり前じゃないですか」

H「何十年もやってるとな

変な違和感って感じるんだよ」

私「違和感なんてありましたか?」

H「気が付かなかったか?」

私「特には」

H「あの爺さん

死んだ婆さんを見て

笑ってたんだよ

ニヤッと

それにな

移動した後があった」

私「事件性はないって

警察の方は言ってましたよ」

H「だからおかしいんだよ」

私「戻りましたよ

止めましょう」

nextpage

自社に戻り

簡易的に、着付をして

Hさんは

よーく御遺体を見て言った

H「忠告しとくぞ?

何があっても

1人で冷蔵庫開けるなよ

なにがあってもだ」

nextpage

music:1

次の日

眠い目をこすりながら

朝から検案に向かう

案の定

事件性はない

自社に戻り

昼食を済ませ

仕事のない時間は

ぷか〜っと

タバコを吸っている

葬儀屋には喫煙者が多い

それは、

腐敗臭が鼻に残って

飯が食えないからだ

夕方になり

のんびりと店を閉める

鍵を掛けていく

あの御遺体の部屋も

戸締りを確認する

sound:14

ドンドン?

うん?

sound:14

ドンドン

どこから?

sound:14

ドンドン

は?

music:2

冷蔵庫から聞こえた

全身から

嫌な汗が噴き出した

続いて

ガリッ

ガリガリガリッ

ガリガリガリガリガリ

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ

金属を爪で引っ掻くような音が聞こえる

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ

冷蔵庫の中から

ドンドンドンドンドンドンドンドン

ガリガリガリガリガリガリガリガリ

鈍い音が続く

検案は終わってる

メスも入ってる

私には死んだ人から

御遺体に変わる儀式なのだ

それは終わってる

確かに終わってる

この音は?

冷蔵庫の中から

恐怖で身体が固まる

バンバンバン

バンバンバン

冷蔵庫の扉が壊れそうなほど

内側から叩く音が聞こえる

もうダメだ

ドアが開く

ふっと視界が真っ暗になった

nextpage

music:5

Hさんに身体を揺すられて

目が覚めた

1時間近く戻ってこなかったので

心配になり

見に来たら

倒れていたらしい

後日、冷蔵庫を開けて

御遺体の確認をすると

爪が剥がれ

手には痣ができていました

布を掛けて見えないようにして

無事に火葬までいき

葬儀は終わりました

nextpage

Hさんと社長の3人で

話しながら

あったことを話してた

すると

社長が話した

「霊感ある人は

この仕事は無理だよ

Hくんから聞いてるよ

前にも似たようなことがあって

辞めた人が何人かいたから

Hくんと変だと思ったら

忠告するようにしてるんだよ」

私「でも、冷蔵庫開けてないですよ?」

H「えっ?開けてないの?」

社長とHさんはヒソヒソと話し

私に向かって言った

「君にこの仕事は無理だよ」

nextpage

こうして葬儀屋での仕事は

終わってしまった

でも、まぁ

他にも沢山の変な体験をしたのは

また違う話にでもしましょう

それではまた

Concrete
コメント怖い
4
16
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信

初めてお邪魔しました。

葬儀屋勤務経験者として、読ませていただきましたが、
やはり、葬儀屋には独特の空気というのがあるような気がして、そこにいろんなご遺族の気持ちなどが混ざり合う場所でもありますから、一言では言い表せない「怖い」を感じました。

返信

YUKAさん
ありがとうございます
確かに葬儀屋の仕事は夜中に呼び出しがキツイですね
先輩のHさんは無敵というよりは
冷たい人でしたね

返信

お初です。怖かったです。
力が有っても無くても、葬儀屋さんで働くのはキツイ気がします。
Hさんは、無敵なのでしょうか?

返信