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shake
ゴボゴボっ
shake
ガボ、
shake
ガタガタ!!ガタンっ!ガラガラガラっ!ガシャンッ!
ゴボゴボ。。
ゴボ。。。
ゴボ。。。。。
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「。。。。。。」
パシャ。。。
「ふぅ。。。結構しぶとかったわね。。。」
弥生は肩近くまで濡れた腕をフルフルと揺すり水を切ると、
脱衣所に掛けられたバスタオルで丁寧に拭き取りながらひとりごちた。
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浴槽には、たった今絶命したばかりの由佳が、体を投げ出すようにした格好で頭を水につけ、揺れている。
弥生の腕には、殺されまいと必死に抵抗する由佳に、
力任せに引っかかれた傷がいくつも刻まれ、血が滲んでいる。
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先程 濡れた腕を拭いた時に、バスタオルにも弥生の血が染みこんでしまっていた。
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洗面所の鏡に映った自分の姿を確認しながら、
乱れた髪の毛や着衣を整えると
「はぁ。ちょっと休憩しないと無理だわ。」
そう言ってキッチンに向かい、テーブルに血のついたバスタオルを放り投げ、椅子に座って一息ついた。
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弥生はもうずっと前から、機会を伺っていた。
由佳とは今の会社に勤め始めてからの付き合い。
由佳の部屋に上がり込む事は容易い。
だがバスルームともなると、泊まりにでも行かない限り、不自然だ。
泊まりに行き、その後由佳が発見されるまでの人の出入りが、自分が最後ではすぐに足がついてしまう。
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計画を立ててから、弥生は由佳の部屋に遊びに来るたび、アパートを念入りにチェックしていた。
もちろん、不審に思われないよう細心の注意を払って。
幸い、由佳のアパートには監視カメラの類は設置されていないようだった。
それなら、泊まりに来たように装い、人目の少ない真夜中に非常階段から出れば問題ないだろう。
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弥生は会社が翌日休みになる日を狙って、
由佳の部屋へ泊まりに行く約束を取り付けた。
「今日は尚人君大丈夫なの?」
尚人とは由佳の彼である。
『うん、今日は予定あるからって言ってある。』
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前からそうなのだが、弥生と遊ぶ約束をしても、
由佳は「弥生と遊ぶ」とは言わないようだった。
いつも、
『予定がある』としか言わないらしい。
自分と会うと言うのが、そんなにいやなのか?
そう憮然としていたが、今となってはそれが好都合だった。
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前は、『いつも弥生の話ばかりしていてヤキモチを妬かれるのよ』と言っていたし、
由佳の友人として尚人に紹介もしてもらった。
尚人は気さくで、とても人懐こい男性だった。
ある時は趣味の話で弥生と尚人だけで盛り上がってしまい、
由佳が拗ねてしまった事もあった。
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今思えば、それが原因で弥生と尚人を引きあわせないようにしていたのかもしれない。
だがもう、そんな事はどうでもいい。
弥生は立ち上がると、用意してきていた手袋をはめ、
部屋中の引き出しなどを漁り始めた。
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別に何かを盗もうとしているわけではない。
部屋を荒らし、金目の物を持ち出す事で、
強盗殺人に見せかける為だ。
ある程度部屋を荒らす事で、由佳の抵抗の後も辻褄を合わせるつもりだった。
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由佳のバッグの中身や引き出しは、床にぶちまけた。
犯人が突発的に犯行に及び、由佳を殺害したあとで焦りながら部屋を物色したように見せる為。
突然部屋に見知らぬ人物が乱入してきた事で、パニックを起こした由佳が倒した設定で、
椅子を転がす。
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何度も遊びに来て、近隣の住人とすれ違った事もあるので、
ある程度自分のものは残しておかなければ怪しまれるだろうと、指紋は敢えて拭き取らなかった。
〜自分の血痕となると別だけどね。〜
そう思いながら、血のついたバスタオルを小さくたたみ、
自分のバッグへ押し込んだ。
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弥生は真夜中になるのを待って、静かに部屋を出ると、
非常階段からアパートを後にした。
自分の部屋へ戻り、人を殺した「穢れ」を落とす為、シャワーを浴びてからベッドへ潜り込む。
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〜明日からは、気兼ねなく尚人にアプローチができる。
もう我慢する事はないのだ。
きっと尚人も、由佳さえいなければ自分に向いていたはずだ。
あの時、尚人は本当に楽しそうだったもの。〜
そんな事を考えながら、弥生は吸い込まれるように眠りに落ちた。
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ゴボゴボ。。。。
〜ここは。。。どこだろう。。。?〜
弥生は夢を見ていた。
仄暗く、あたりは青い色で満たされている。
体がフワフワとしていて、ゆっくりとしか動かせない。
〜。。。寒い。〜
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まとわりつくような冷たさに、弥生は自分の体を抱きしめた。
ゴボ。。。
目の前を、気泡がのぼっていく。
〜水。。。水の中。。。?〜
そう思った時だった。
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shake
ものすごい勢いで、弥生の体は水底へと沈んでいく。
いや、引き摺りこまれていく。
弥生は思わず下を見た。
何者かが、弥生の足首を掴んでいる。
振り解こうと、弥生は足をばたつかせた。
だが足は虚しく水を蹴るだけ。
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夢の中のはずなのに、苦しさが半端ではない。
必死に抵抗しながら、
足下にいる何者かに目を凝らす。
。。。。
由佳だ。
由佳が、満面の笑顔で足首を掴んでいる。笑顔だが、目は笑っていない。
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由佳の口が動いている。
何かを言っているのか。。。?
弥生は目を凝らし、由佳の口元を凝視した。
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ゆ
る
さ
な
い
由佳の口がそう言っていた。
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弥生は フッと勝ち誇ったように笑うと、
〜アンタもう死んだのよ。ワタシの勝ちよ。〜
頭の中でそう呟いた。
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〜これはワタシの夢なのよ。目が醒めたら、尚人さんはワタシのものよ。
死んでしまったアンタには、どうする事もできない。~
そう、これは夢。
夢なのだから。
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夢なのに。。。
このリアルな苦しさは何?
本当に水中にいるかのように、重い体は何?
なんでこんなに寒いの!
なんでこんなに冷たいの!
なんで。。。
目が醒めないの。。。?
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不安で押し潰されそうな弥生の頭の中に、
聞き慣れた声が響く。
~なんで夢だと思うの。。。?
なんで夢だと言い切れるの。。。?
アナタはここから出さないわ。~
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shake
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『アナタは永遠に、ここでワタシといるのよ!!』
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ーFINー
作者まりか
お目汚し失礼しました┏○ペコッ
またもや駄作ですが、最後までお読み頂いた皆さんありがとうございます(*´艸`*)
いつも怖いやコメント、ありがとうございます♡
怖いにお礼を書かないアタシですが、
スマホ片手に小躍りして喜んでおります。
いや本当に嬉しい限りです。
ありがとうございます┏○ペコッ