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キャー。。。キャハハハハ。。。アハハハ。。
♪カラスがなくからかーえろー♪
キャハハハハ。。。
「あっ!ヤッバイ!カラスが来たー!」
「ホントだ!キャー!逃げろー!」
キャハハハハ。。。アハハハハ。。。
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あたしはカラス。
いつの間にか、みんながそう呼ぶようになった。
みんな、「カラス」と呼び、あたしを見ると逃げていく。
別に何かをしたわけではないのに。
他の子と違うところがあるわけでもないのに。
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けれど、みんなあたしを「カラス」と呼ぶ。そして逃げる。
カラスと呼ばれるようになってから、あたしに話しかけるこどもはいなくなった。
物がなくなり、壊される。
ばいきん扱いなんて、いつものことだ。
今日もあたしは、学校帰りにいつもの噴水に来た。
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アー、アー。
あたしが来ると、いつものように一羽のカラスが寄ってきた。
様子を伺うように、近くの木の枝にとまり、首をかしげて見下ろしている。
あたしがランドセルをおろすと、バサリと大きな羽の音をたてて、そばに降りてきた。
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ランドセルから、こっそり持って帰ってきた給食のパンを取り出す。
ちょんちょんちょん、と跳ねるようにして、カラスが足元に来る。
あたしはパンを小さく千切りながら、足元に投げていく。
カラスが黙々と食べる様子を、黙って眺めていた。
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あたしの持ってきたパンを全部食べ終わるのを確認してから、
『またね。』
とあたしは家に向かった。
アー。
まるで「うん、またね。」と言ってるみたいに、あたしの背中にカラスが鳴いた。
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翌日。
今日も、あたしは一人で登校した。
教室がなんだかざわざわしてる。
いつもの 男子たちのふざけあう声や、あたしの悪口を言いながらクスクスと笑いあう女子の声ではない。
まぁ、あたしには関係ないけど。
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ランドセルを机に置いて、中身を机の中に入れている時だった。
「ねぇ!」
意地悪そうな、強くて大きな声が頭の上から降ってきた。
見上げると、このクラスのリーダー格の女子。
植村がいた。
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『なに。』
あたしはまた視線を戻して、教科書やノートを机に入れ始めた。
「あんたでしょ!?昨日工藤さんをケガさせたの!工藤さん、今日は怖くて外に出られないって泣いてたんだからね!」
。。。なんの事だ。
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『なにそれ。あたし昨日工藤さんとなんか会ってないし。』
教室の後ろの棚にランドセルを運びながら答える。
「あんた以外に誰がいるっていうのよ!工藤さん言ってたんだから!カラスに襲われたって!」
ランドセルを棚に置き振り返ると、涙目になった植村が通せんぼするように立っている。
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『意味わかんないカラスとか。席に戻るんだからどいてよ。』
あたしは植村を押しのけて歩き出す。
「ちょっと!とぼけないでよ!カラスに工藤さんを襲わせたの、あんたなんでしょ!!」
植村はあたしを追いかけてくると、肩を掴んで引っ張ってきた。
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『知らないってば!』
あたしはムカムカして、思い切り払いのけた。
ガターン!!
キャーーー!!!
力を入れすぎてしまったのか、植村は半回転して机にぶつかりながら転んだ。
女子の大げさな悲鳴があがる。
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「なにあれ。サイテー。」
どこかからヤジが飛んでくる。
「植村さん大丈夫?」
あたしを睨みつけながら、数人の女子が植村を助け起こしている。
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意味がわからない。あたしなんにもしてないじゃん。なんであたしがサイテーになるのよ。
そっちが勝手にあたしのせいにしてるだけじゃん。
『。。。。。。』
あたしはまた、言いたい言葉を全部飲み込んで椅子に座った_____
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帰り道。
あたしはまた噴水のところに来ていた。
いつもの場所で、いつものカラスに、いつものようにパンをあげてから家に帰る。
ひとりぼっちのあたしにとって、カラスとのこの時間だけが唯一ホッとする瞬間だった。
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『またね。』
アー。
やっぱり。あれ、返事してるんだ。
あたしは自然と顔がニヤけていた。
いつも学校のある日しか来ないけど、これからは休みの日も来ようかな。
そんな事を考えながら、家へと向かった。
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次の日。
また教室の雰囲気がおかしい。
廊下にいてもわかる。入り口を開けるのが憂鬱だ。
ガラララ。。。
途端にシーンとなる教室。あちこちから聞こえてくるヒソヒソ声。
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なんなんだ。ホントに。
自分の席に向かって歩き出したあたしのところへ、ツカツカと寄ってくる人がいた。
「ちょっと。マジでムカツクんだけど。卑怯な事してないで、文句あるなら直接言ったら?」
植村だ。
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『は?なんもないし。てか、卑怯な事ってなんの事だよ。』
あたしは植村を真っ直ぐに睨みつけた。
「とぼけんなよ!カラス使って一人の時狙うとか、卑怯だろ!」
植村があたしを突き飛ばし、あたしは廊下に尻もちをついた。
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こいつらは日本語が通じない。
あたしはそれをよく知っている。
いくら本当の事を言っても、こいつらが「白」だと言ったら、それが赤だろうと黒だろうと「白」なのだ。
反論すればするほど、こいつらは躍起になってますます攻撃してくる。
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あたしは無言のまま立ち上がると、
『しらね。勝手に言ってろ。』
そう言ってわざと植村にぶつかってから、席についた。
工藤の次に、橋田が襲われたらしい。カラスから。
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あたしの仕業だと思ってる奴らの嫌がらせが、これまで以上にひどくなっていった。
無視、ばいきん扱い、物がなくなるなんて生易しいものじゃない。
掃除中にほうきで後ろから殴られたり、階段から突き落とされたり、いつか殺されるのかもしれないと思った。
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あたしはいつからか、噴水でカラスにパンをあげながら、カラスに話しかけるようになっていた。
『マジで意味わかんないよ。あたしなんにもしてないのにさ。』
大抵は、いつもあたしのせいにされる最近の「カラス事件」についてだ。
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あたしの話を聞きながら、首をかしげるカラスが可愛かった。
あれからも、カラスに襲われるクラスメイトが後を絶たない。
毎日帰りの会では、先生から「カラスを見ても攻撃したり、近づいたりしないように」と言われている。
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こないだの月曜日には、全校集会で校長先生からも話があった。
クラスの誰かがチクったのだろう。
先生から呼び出されて、「もうカラスに餌を与えたりしないように」と注意もされた。
さすがに、「あたしがカラスに襲わせている」とは思っていないようだったけど。
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あたしは先生の言いつけなんて守らなかった。
帰りの会で言われても、全校集会で言われても、呼び出されて注意されても、
あたしは毎日カラスに会いに行った。
先生は知らないからあんなふうに言えるんだ。
あたしの友達は、このカラスしかいないのに。
先生はあたしにひとりぼっちになれって言うの?
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その日。
あたしは放課後また先生から呼び出されて、いつもより帰るのが遅くなってしまっていた。
『カラス、待ってるかな。』
あたしは急ぎ足で噴水に向かっていた。
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噴水の近くには、あたしに嫌がらせをしていたメンバーの家がある。
ハアハアと息をきらせながらその近くに来た時だった。
少し前を、ソイツが歩いているのが見えた。
あたしは反射的に近くにあった電柱に隠れた。
その時、あたしは見てしまったのだ。
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ソイツが家の門に入ろうとした瞬間。
バサッバサッバサッ。。。
どこからか羽の音がして____
「キャーーー!」
大きな悲鳴が響き渡る。
あたしは目の前の光景に、瞬きするのも忘れていた。
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カラスは_____
ソイツの頭や体を執拗に攻撃していた。
高く高く舞い上がり、羽をすぼめソイツめがけて急降下する。
くちばしが、ソイツの頭や、体や、あちこちに刺さる。
あっという間にソイツは血まみれになった。
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「やめて!やめてぇ!助けて!」
ソイツがいくら助けを求めても許しを乞うても、カラスは攻撃をやめない。
高く高く舞い上がり、急降下してソイツにくちばしを刺す。
何度も。
何度も何度も何度も。
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あたしは目が離せなくなっていた。
ガチャッ!
「どうしたの!!」
ソイツのお母さんだろうか。
悲鳴を聞きつけて、慌てて飛び出してきた。
「キャーーー!希美!」
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ソイツの状態を見るなり、お母さんらしき人は叫びながらソイツに覆いかぶさった。
急降下を始めていたカラスは、お母さんの背中スレスレを滑るように急上昇すると、電線にとまった。
攻撃をやめたみたいだ。
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ふと視線を戻すと、全身肉が抉られて、血まみれになったソイツを泣きながらお母さんが家に連れ帰るところだった。
チラッと見えたソイツの顔は、片目が潰されていた。
バタン。。。
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ドアが閉まるのを確認してから、電線を見上げると。
あたしを見下ろし首をかしげたカラスが、
アー。
と鳴いた。
『あんただったの。』
そう言うと、また、アー。と鳴く。
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やっぱりこいつ、あたしの言葉わかるんだ。
『おいで。パンあげるから。』
そう言って片腕を差し出すと、まるで当然のようにカラスが降りてきてとまった。
真っ赤に染まった噴水までの道を、あたしとカラスはゆっくりと歩いて行った_____
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-FIN-
作者まりか
やっと浮かんだけど、短編にできなかったーーー。゚゚(´□`。)°゚。
短編ムズい。。。
あ、今回は画像効果使ってません(笑)
なのでテキストじゃなくても安心して読めますよ♡
いつも怖いやコメントをくださっている皆さん、ありがとうございます(*´艸`*)
怖いをくださっている皆さんには、この場を借りてお礼申し上げます。
個別にお礼しないアタシを許してください┏○ペコッ
また、最後までお読みくださってありがとうございます♡
画像もお借りしています。
感謝の気持ちでいっぱいです(*´艸`*)
飛んでいるカラスの画像 著作者 snowpeak様