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私の大学の友人だったTが
ある日から豹変した話です
Tとは、大学に入って
直ぐに仲良くなり
メシを食うのも
喋るのも
遊びに行くのも
ほとんど一緒になった
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普段は何を考えてるのかわからない
だけど、なんとなく気があう
ホントによく一緒にいた
だが
それは長く続かなかった
Tが留年をしてしまい
関係にヒビが入った
「馬鹿にするな」
「見下してんじゃねぇ」
そんな言葉を
直ぐに言うようになった
徐々に周りも離れていき
Tは孤独になった
しかし、私だけは
「どうせ俺も留年しそうだから
3年で合流じゃね?」と
仲良く話続けていた
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私が四年に
Tが三年になり
私は卒論と就活の合間に
Tと話したり
1度やった科目だからと
勉強を教えたりして
笑い合うことが出来た
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卒論で手一杯になり
Tの勉強を見れなくなってしまい
前期の講義が全て終わり
夏休みになり
たまにTに連絡をしても
まったく繋がらない
そんな状況になり
やがて多忙な毎日になって
Tのことを忘れてしまった
夏休みが終わり
後期の講義が始まり
何日かしてTと会った
丁度、友人達と話していた時に
Tは食堂で私を見つけると
怒鳴りながら近付き
「お前が勉強を手伝わないから
俺は前期の科目を何個も落とした
俺の学費をお前が弁償しろ」
と叫んだ
私が呆然としていると
周りの友人がキレた
「てめぇバカじゃねえの?」
「頭おかしいだろ?」
周りの怒号を聞き
Tは無言になり
何も言わずに去っていった
それから1ヶ月
誰もTの姿を
校内で見た人はいなかった
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しばらくして
Tの噂を友人達から聞くようになった
ヒゲはボサボサ
髪はギトギトになっていて
満面の笑みを浮かべながら
変なDVDを何日に見てね?
と渡してくる
DVDの中身は
お経のようなものを唱えながら
猫やタヌキを
死ぬまで棒で殴り
何処かの道に走っていく
走って行くのは
渡された人の自宅の側までくる
DVDを見ていないと
「なんで見ないんだ」と
探して怒鳴りにくる
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友人達から
「アイツ狂ってるよ」
「気が狂ってる」
と言われるようになった
友人の1人が
「観なかったのがなんでわかるんだよ
ストーカーかよ」
と気味悪がられていた
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みんな避けるようになっていた
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みんな怖かった
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不気味だった
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しばらくしてTが
満面の笑みを浮かべながら
私の所にきた
そして
10月14日に必ず観てね?
と渡してきた
私「いらない」
T「受けとれよ?」
私「勘弁してくれよ?」
T「いいから受けとれぇぇぇぇよぉぉぉー」
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Tの鬼気迫る勢いに
思わず受け取ってしまった
家に帰る前に捨てようか悩んだ
だが、観てなくて分かるのに
捨てたら何をされるかわからない
そんな恐怖に捨てれず
背後を振り返りながら家に着いた
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14日になり
観れば終わるならと
夜中にDVDを付けた
内容は凄惨の一言だった
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野良猫を鉄パイプで
赤い塊になるまで叩く
観ていて吐気がする
酷過ぎる内容だ
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お経を聞いていると
クラクラしてくる
なんだこれは?
しばらく観ていると
高校からの友人Yから
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突然、着信がきた
私「もしもし?」
Y「てめぇ何やってんだ
お前の依り代がズタズタだぞ」
私「え?」
Y「お前は今、何してる?」
私「友人から渡されたDVD観てた」
Y「それ持って今すぐに来い!」
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そのあとYにこっぴどく怒られ
色々と聞いた
まず
・Tは頭がおかしいこと
(まぁそれは理解してましたが)
・次に動物を殺して呪詛をかけていたこと
(動物は生贄になっていたようです)
・最後に走ってきてるのは
呪いであり
本人の生き霊のような類だと
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恨まれるって
自分では意図してない時
そんなつもりなくても
逆恨みでも
あるんですね
悲しかったです
作者T-HIRO
卒業して
しばらくしてTは退学したと
噂で聞きました
友情って凄く脆いものですね