俺はホラーマニアだ。
読む小説といえば、全てホラー。
観る映画も全てホラーだ。
ついに俺は読んだり観たりするだけでは飽き足らずに
自分の目で「本物」を見てみたいという衝動を抑えられなくなっていた。
さすがにそういった場所に一人で行くのは少々気がひける。
仲間を集めよう。
そう思い立ち、中学から仲の良い舎弟のリュウとデブのタケシ、そしてイケメンのショウゴに声を掛けた。
元々皆んなノリの良い連中なので、2つ返事で了解してくれた。
話し合った結果、記念すべき第一回目の潜入先は、数年前に一家四人が何者かに惨殺されたと言われている町外れの廃屋に決定した。
犯人はまだ捕まっていない未解決事件らしい。
「折角だし俺たち突撃隊の名前を決めておきましょうよ!」
なんでも形から入る龍がノリノリでそんな事を言い始めた。
各々、思い付いた名を挙げていく。
「心霊研究隊」
却下。
「ロビンM 探検隊」
却下。
「V 4鬼面組」
却下。
「もののけ婿」
却下。
なかなかピタっとハマる名前が浮かばない。
そんな時、タケシがぽつり…
「てか、俺たちもう20歳だぜ。いい歳して心霊スポット巡りなんてさあ、もし親にでも知られたら最低だよな…」
「 ……… 」
結局「最低、はじめました同好会」で落ち着いた。
【了】
作者ロビンⓂ︎
後日談
その3日後に廃屋へと突入した俺たち「最低、はじめました同好会」は、押入れから飛び出してきた血塗れの女に追いかけ回され、デブのタケシが二階の窓から転落した。
一方その頃、一階の浴槽で首のない犬に閉じ込められていたショウゴは、その後精神を患い、時折「ぼく、ドラえもんなのだー♪」と意味不明な言葉を口にするようになった。
二階から転落したデブの様子を見に庭へと周り込んだ俺とリュウは、足のない青白い顔の姉妹に絡まれた。「一緒に遊ぼうよー」と余りにもしつこいので、骨折しているタケシを鬼にして鬼ごっこ祭りを開催した。
翌朝、なぜか自分ちのベッドの上で目を覚ました俺は、リュウを連れてもう一度あの廃墟を訪れたのだが、家は無く、そこは雑草だらけの空き地へと変わっていたとさ。
ご静聴ありがとう御座いました。
↓「最低はじめました」の関連作↓
http://kowabana.jp/stories/25625