【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
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ヤミタク屋ケンちゃん

今日も、パソコンには数通のメールが舞い込んでいた。

人の恨みの根深い闇。

ケンちゃんはそれを見ると、ワクワクして仕方ない。

マニュアル通りにケンちゃんは、そのアドレスに定型文の返信を返す。

①このサイトで依頼をしたこと、もしくはこのメールのことを決して誰にも話してはならない。

②あなたはその対象の人とお酒を飲んで、当サイトのタクシーを呼ぶこと。

③タクシーに乗せたあとは、一切関わらないこと。

 タクシーに乗せていただくだけで、その対象の人を消去します。

④数日後、その対象の人を消去できたことを確認していただいてから、

 当サイトの集金人がご自宅まで料金をいただきに参ります。

 ※規約以外の料金は一切いただきません。

⑤一週間以内にご返答をいただけない場合は、この契約は解除します。

ただし、このことは誰にも他言しないこと。他言したり規約を犯した場合はペナルティーとして

あなたをいただきに参ります。

そして送信。

ケンちゃんは、殺人請負人。正確に言えば、アルバイトだけど。

雇用主は人ではない。

信じられない話だが、「鬼」だ。

奴らは野蛮で、人の内臓を好んで食べる。

スプラッター好きのケンちゃんもさすがに最初は仕事内容にドン引きしたが、もう慣れたものだ。

何の薬なのかは知らないのだけど、人間にこの薬を飲ませると、内臓が全て外に排出される。

雇用主は、人の姿をして、表向きは宗教団体の教祖をしている。

いわゆるカルトと呼ばれる集団だ。

ケンちゃんは、細面の青二才だが、この雇用主であり教祖の鬼より、特別な力を授けてもらった。

教祖は、人の脳を操る線虫、トキソプラズマの人の恐怖心を低下させる性質に加え、さらに人の能力を数倍にも上げる種の開発に成功したのだ。その種は人を介して、その肉を食することにより、より効率的に私たちに摂取される。

そして、人の体内で24時間後には爆発的に増殖していくようにプログラムしたのだ。

カルトでは、その食人の儀式を「ひさるき」と呼び、教祖は確実に「鬼」を増殖させている。

鬼による、人間の支配。

その昔、「モモタロウ」という伝説の超人により絶滅を余儀なくされた種は、密かに逃れた。

過去には、陰陽師ならぬ集団に野望は阻まれていたが、この平和ボケした世の中にまた密かに鬼は忍び寄っている。

そう、ケンちゃんも、「ひさるき」に参加したのだ。

禁断の肉はこの世の物とは思えないほど美味だった。

ケンちゃんは今日も忙しい。

昼間に事務処理を終わらせ、夜には、タクシーを走らせ、ターゲットを車に乗せなければならない。

ターゲットに、酔いに効くと嘘をつき、薬を飲ませ、内臓を排出させ回収。

その後は、別の依頼者のところへ集金に向かう。

人というものは、疑り深いもので、たいていの人間は規約を守れない。

従って、その依頼者の内臓もいただく。

一石二鳥である。

まあ、規約を守ったところでも、やはり内臓はいただくのだけどね。

夕闇迫る頃、ケンちゃんは、タクシードライバーの制服に着替え、制帽を被り、ネクタイを整える。

人を呪わば、穴二つということを身をもって体験していただくのが、ケンちゃんの仕事である。

Concrete
コメント怖い
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マガツヒ様
コメント、怖い、ありがとうございます。
内臓がないぞう?それは胃肝臓!
ここ二日くらい、急激に冷え込んできて、キーボードから遠ざかっているよもつです。
鬼VS人間、みたいな壮大なものを書いてみたいのですがいかんせん勉強不足です。
でも、いつか長編に挑戦してみたい夢はありますねー。

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このシリーズ好きです(*´ω`*)次も楽しみにしています✨

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コメント、怖い、ありがとうございます。
来道様
相手は鬼ですから。仕方ありません。ほら、非道な人を罵る時に「鬼!悪魔!」って言うでしょう?w
鏡水花様
もう一つ、これに関連したお話を持って来ます。皆様に忘れられないうちに。

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規約守ったのに頂かれちゃうの?
あんまりだっ(。´Д⊂)
酒のまされた後のタクシーは気を付けよう(;´д`)

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ロビンM太郎.com様
コメント、怖い、ありがとうございます。
そうです。
ブログには、これに関するシリーズ物で巫女と陰陽師の生まれ変わりの話も載せています。
それは、またおいおい。

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光道 進様
いや、洗濯屋ケンちゃんは、噂だけ知っています。
一応女性なので、見た事はありません。ただ、当時男性の間では伝説の名作らしいですw
私は取材というほどたいしたものではなく、ただ、興味のあることにはのめりこむタイプで、今回題材になった、線虫については、すごく興味があり、インターネットの記事を読んで題材にしたいと思いました。私の場合は実際に体験することがないので、見聞きしたことで、お話を作るしかないのです。

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3年で150編ですか?
でも、よもつさん洗濯屋ケンちャん知ってますか?見ましたか?
私は画面が黄色くなった物を友達に借りて見ました。
ダビングした物は、色々ありますが、Bなので、見れません。
今は見る気が無いです。
そのくらい年取りましたね。

でも、よもつさんは調べて勉強してますねー
どの作品も、すぐれた下調べと題材に対する集中力が感じられます。

私の場合、中身が無い。その場で思いついた事を書いてるだけです。
後は、誤字の訂正文の並び替えして終わりです。
今も仕事のすき見て書いてます。そのくらい、軽いです。
しかし、思いつくと徹底してのめりこみますので
書くのがものすごく早い。後は今書いてるのは5編です。
それぞれ、書くのは半端ですが、同時進行のように進めています。
やはり、インスタントはそれなりの評価ですよ。(お湯入れて3分)
やはり、そば粉から練って、切って、湯でる。(これがよもつさんです。)
評価もそれなりに高いですね。
今は、よもつさんを研究して、ロビンM太郎のように書く事ですが、
中々私のスタイル変えるの難しいです。

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光道 進様
コメント、怖い、ありがとうございます。
そうです、題名、狙いましたw(洗濯屋ケンちゃん)
でも、これ私達の世代しか知らないかもしれませんね。
2ヶ月で100とは!凄いペースですね。
私など、3年でようやく150くらいですよ?
長編、楽しみにしています。

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よもつさん
相変わらず、さえてますね。
なんか、私もロビンM太郎になるみたいです。
パクリタイ心境です。
でも、書けない。
次、長編載せますので読んで下さい。
失業してる2ヶ月で100ほど書いたもの
中でよいできと思います。このサイトにふさわしいく
残忍なシーンもありますが、ま、よもつさんや他の人にはかなわないと思います。

予断。ケンチャンと聞いて、ケーキ屋ケンチャンと洗濯屋ケンちゃんを思い出しました。

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