※ この話はアワードを受賞したロビンM太郎.comに贈ります。
興味のない方はスルーしてください。
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・・
こんな事になるなんて・・・
・・ひっぐ・・
俺は、何のために・・
くっ!・・
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俺は、そっと強制的に被せられたマスクで涙を拭った。
~
俺の中華店。今日は貸切にしてほしい。
そう連絡が入ったのは、つい先日の事だった。
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・・あ~ちっと貸切は難しいっすねぇ~
そう答えると、受話器の向こうから聞こえてきたのは「あら・・・出来ないと言うの?」と、あくまでも静かに且つ有無を言わせない口調の女性だった。
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「困るのよね。貴方の店じゃないと、みんなが集まらないっていうのよ。」
・・俺はしばしの沈黙の末に答えた・・
「え、えと、何名様でお越しの御予定ですか?」
『貸切に出来るかどうかで人数変わるから。先にお願い』
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「あ・・はい。か、かしこまりました。座敷でよろしいんスよね?」
受話器の向こうの女性が、とてつもなく恐ろしく感じた俺は、<貸切>にすることを約束してしまった。
「・・ありがとう。ふふっ。。あとで人数は連絡するわ」
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・・そして迎えた、今日この日。
~
弟分の龍が、血相を変えて店に飛び込んできた。
「あ、兄貴!!大変ッスよ」
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何事か聞いてみると・・
店の少し手前にズラリと並んだタクシーから、それぞれに扮装した人達が降り立ち、集合してるのだという。
・・俺は、何やら背中を伝う汗がこれから起きることが予想され、頭をブンブンと横に振った。
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『ま。。まさかな。。』
「おい!龍!お前、ウチのお客かどうか確かめてこい!」
「え~!兄貴!そりゃナイっすよぅ~」
龍は涙目になっていたが、外へ放りだした。
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「兄貴・・お客様をご案内してきました」
なんと、龍は懐かしの特攻服を着せられていた。
背中にデカデカと名前が刺繍されていた。
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聞き覚えのある女性の声がする。
「こんばんわ。今日は貸切にしてくださって、ありがとう」
既に扮装しているのだろう。。
その女性は、昔大反響を呼んだ<積み木崩し>の主人公まがいの様相だった。
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俺の直感が騒ぐ。
この女性だけは怒らせてはいけない・・と。
続いて入ってきたのは、真っ白な特攻服にストレートロング、真っ黒な口紅をした釘バットを肩に担いだ女性。
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俺の胸の中の警鐘は鳴りっぱなしだ。
(こ、こいつも怒らせちゃいかん・・)
次々と店内に入ってくる。
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女性なんだろうが、全身が痛いのか、ミイラ男の扮装、M.ジャクソンの扮装。黄色いロボットに、俺の愛犬だったパグの扮装。双子なのだろうか?コケシの扮装の女性も二人と、猫か?ネコであろう扮装もジャクソンに寄添っている。
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更に向日葵の花冠を付けた妖精姉妹、ビジュアル系バンドに居そうなドラキュラ。鬼太郎のオヤジもいる。
可愛いのはピノキオだが、極めつけは世界的に有名なスナイパーまで‥眉間を撃抜かれそうだ。‥コワイ‥ヒ‥
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全員が、次々と座敷に上がっていく途中で、俺は背後に人の気配を感じた。
『!!!!!!』
押し殺した声が耳元で囁く。
「これ、外しちゃダメよ?ロビちゃん?」
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俺は・・俺は・・
何を被せられたのか???
顔を手探って何とか把握しようとした。
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『!!これは!!』
そう思った瞬間、背後から龍の声が聞こえた。
「兄貴・・・スクリームにされましたね・・」
・・やっぱりか。。やはりそうなのか。。
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背後からマスクを被せられた違和感と共に、何かをスッポリと全身に羽織らされたのだが・・
やはり・・・スクリームだったのか。。
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座敷の方から、あの有無を言わせない女性の声がした。
「ロビちゃ~~ん!例のカラス炒飯、人数分ね♪」
・・へ、へ~~い!!
うっかり元気よく返事をしてしまったが、俺は突き指したばかりだ。
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だが、逆らうことは出来ない。
背後に、どうしても釘バットが控えてる気がしたからだ。
~
案の定、また耳元で囁かれる。
「ロビちゃん?出来るよね?」
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は、はいっ!何としても仕上げます!少々、お時間掛かっても・・・
「・・掛かっても?聞こえないわぁ~?」
す・す・すぐにお持ちします。。。
そう答えるしかなかった。
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何とか注文された『カラス炒飯』を届けると・・・
それまで、ワイワイしていた座敷が、静まり返った。
~
・・・俺・・・どうなるんだろう・・ひ・・
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頼みの綱の龍さえ、姿が見えない。
どうすりゃいいんだ!!!この圧迫感!
~
次の瞬間。。
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「「「おめでとう!ロビちゃん!」」」
一斉に声が上がり、クラッカーが打ち鳴らされた。
(え。。。まさかとは思ったが。。これ。。)
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ジャクソンの扮装と、ネコ扮装が、踊りだした。
華麗なるムーンウォークで。。
ダンスの合間に「ポォウッッッ!\(゜∀。*)ノ」っと叫ぶ。
キレキレのムーンウォークだ。
そこには、愛犬まで加わってゴージャス極まりない。
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コケシ姉妹(?)は上品にジャスミンティを飲んでいる。
釘バットは、俺の背後が好きらしい。
すぐに後ろから、耳打ちする。
「ロビちゃん?解ってるわよね?」
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(まさか・・・このレディース・・とは年齢的に孫程の差があるが、、コイツは・・)
振り返ると、黒い口紅がニヤリと笑う。
「・・解ってるわよね?」
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「は、はい!解ってます!次の品を、すぐに!!」
『あ~ん?次の品ですって~~?』
声色が変わった。ヤベェ・・・
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どこからやってきたのか、龍が隣にいた。
「兄貴、コイツら知り合いなんすか?それとも弱みでm・・グフッ」
みぞおちに一発コッソリおみまいしてやった。
~
それ以上言うな。それ以上責めてくれるな。。
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・・俺は・・・
卑怯にも背後から襲われ、被り物をさせられ、中華鍋を振るわなきゃならん。。
自然に涙が零れる。。
・・なんで・・
・・どちて?・・
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そして、涙をマスクで拭き続ける。。
~
だが、違和感を感じて店先に出してあった看板の影に目をやった。
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(・・・え・・・)
目を疑わずにいられなかった。
今までは、赤い看板に白抜きで店名を出していたのに・・
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黒い看板に、金の文字で記されていた。
「アワード・ロビ中華店」
・・・切なすぎる・・・
こんなセンスのないネーミングなんて。。
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またも流れ落ちる涙を拭いながら、俺は決心した。
(コイツら、もう!催促だのクレームなんぞ、つけさせねぇ!)
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そう決心した間近で・・
「ロビちゃん。タクシー呼んで下さる?」
あの有無を言わせぬ<積み木崩し>の女性だ。
声音は非常に柔らかい。柔らかいのだが・・
イヤ・・これ以上は言うまい・・・
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俺は、人数分のタクシーを手配した。
~
それぞれが、俺に声を掛けていく。
「美味しかったよ~」
「面白かったよ~」
「怖かったねぇ~~」
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~
イヤな予感ほど、当たるものはナイ。
そう確信した。。。
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全員が店を出て行ったあと、放心状態でマスクを外し床にへたりこんだ。。
『・・約束守ってくれないから、こうなっちゃったんですよ?』
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~
聞き覚えのある声に力なく振り返ると、頭の上に5匹のネズミを乗せたオッサンが恨めしそうに俺を見下ろしていた。
【了】
作者退会会員
〜ロビンM太郎comに捧ぐ〜 バーチャン・・じゃなく、バージョン2です。
そして2度目のフィクですwwww
完全なフィクは初めてなので、許してください
やっぱ、才能ないわ~~~~もう、いっぱいいっぱいだもんwww
ポォウッッッ!\(゜∀。*)ノ
ちょいと、登場人物を増やしました(^^;;;
気付き次第、また加筆の可能性ありまするww