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今から30年前位の事です。
近所の同い年位の友達と「缶けり」をしようということになり、近所の「早川商店」の横のカン捨て場に行き、一つ取って来ました。
総勢9人。名前は全員分かる子ばかりだ。
当時は今程、ゲームなどが当たり前にある時代では無かったので この人数位は容易に集まる。
「しゅうちゃんめっけ!!それとようこちゃんめっ……。カーーン!!」
背後から物凄い勢いで走り出し、名前を呼ばれる前に蹴る!!蹴る!!蹴る!!もう、蹴るったら!!
また、カンを拾い 広場の真ん中に立てる。
今度は俺が番人だ!!
調子良く、4人目まで難なくゲット!
「ダダダダダ!」
俺の背後から走ってくる音が聞こえた!
サッと素早く振り向くと、そこには顔を知らない両手を上げ広げた「大人」の男の人がこちらに走ってくる…。よく見ると同級生の女の子「まい」の後ろに張り付いて一緒に走って来る……!
「は?な、なんじゃありゃ。。。」
その人の顔は今でも思い出すと 怖い…。
口と目を目一杯開けて、指先まで広げている…。恐怖の余り、俺はベンジョンソンみたいに早く走り出し、そのまま家に帰って
布団をかぶり、ガクガクブルブルしていた。
母が「どうしたの?」と聞いてきたが、アゴはガチガチ言ってマトモに喋ることができなかった。
そのあと、皆んなが俺を呼びに来たんだが 怖さの余り 断りました。
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次の日、学校で昨日の缶けりの話をみんなに話していると、「まい」が教室に入って来た。
まい「マコちん、どしたの?昨日はイキナリ帰ってー!」と切り出した。
まいに昨日のその事を話すと みるみる顔色が変わって行った。
まい「………ごめん……。」と一言言うと自分の机に平伏し黙った。みんなが心配し、まいに話しかけるが応答なし。この日は何も話す事が出来ずに終わった…。
数日後、まいの重い口が開いた…。
まい「あのね…、私最近、男の人から追い掛けられる夢をよく見るの。そう、マコちんが言うように 「口と目を目一杯」開けてる大人の人がね…。」
とその時、先生が教室に入って来た。
「まいちゃん、チョットいいかな?」と先生に呼ばれる。そして何かを先生から告げられると
そそくさにランドセルを担ぎ、教室を後にした。
先生「えー、まいちゃんは家庭の事情で今日は家に帰りました。」と一言。
その後理由を聞いたんだけど、それしか先生は教えてくれず、何でまいが帰ったのかその日は分からずじまいだった。
2日後、まいが帰って来た。
なにやら、叔父さんの葬式に行っていたんだとか。
まい曰く、叔父さんとは小さい時に会った切り顔も定かに覚えていなかったと。
ここ数日間、まいの叔父さんが行方不明で捜索願いが出てたみたいで、遺体で見つかったのが 堤防のテトラポット。
釣り好きの まい叔父は週二回は一人で堤防に釣りに行っていたとか。
そして葬式の遺影の写真をまいが見た時に愕然としたそうです。
最近夢で見る男の人が「叔父さん」とは…。と、思って叔父さんの遺影をみていると、目と口がユックリユックリ開いて まいを凝視したそうです。まいは 怖くなりその場を離れてお母さんに抱き付いて泣いていたんだとか。
生前、まいの叔父さんと叔母さんには まいと同い年の娘が居たけど、事故で亡くなってしまったそうです。
まいは姪っ子に当たり、それはそれは小さい時は叔父さんから可愛がられたそうです。しかし、そのかわいがり過ぎを見かねた まいの両親は叔父に話をし、少し離れた所に引っ越したそうです。
叔父さんは、まいを連れて行きたかったのかな?、と考えると ゾッとすると同時に 儚い思いに胸がつかえます……。
作者マコさん
久しぶりの投稿です。
もう、余りネタが無くなって来ました。
まあ、これも創作なんですけどね……。