「…でさ、そこのプリクラ台付近にな、いるんだよ。」
“出る”のポーズをしながらNは言う。
《ギャアアアアアアアア!もう行けないじゃん!そこ!》
話を聞いていたであろう周りに集まっていた人達は口々に文句を言いながら騒いでいる。
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『今日もやってんのなwまた、ビビらせて。人が悪いw』
「そう言うお前こそ、さり気なく聞いてたじゃん。」
『ん?』
「うっざ」
Nは定期的に各某所の怖話を話す。今日もその日だった。彼女は怖話に対しての知識が強い。元々、都市伝や魔術関係のオカルトに強かった私を怖話にまで発展させた人だ。すでに周りには人がいない。よし。
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『そのプリクラ台のって、またどっかの噂かなんかなのか?』
「……………マジ。」
『あ〜やっぱりね。そんな気がしたw』
「………………………行くか?…ていうか、行け。」
『えー。わかった。どうせ、明日休みだし。あ、でもお前も道づれな』
「チッ」
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翌日。確かにそのプリクラ台に行った。
『これねぇ。てか耳鳴りすんだけど。大丈夫か?』
「… 」
いつもなら笑いながら返答するはずのNから、応答がない。慌てて振り返る。
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マズイ。
直感的に悟った。いつもの様で何かが違う。
されど、憑かれている様子でもない。そこに女子高生ぐらいの集団が通り過ぎた。
(あ…この人達《無色》だ。)
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通りでNがおかしかったわけだ。
強制的に外に連れ出しても、相変わらず。目に色がない。
『おい。お〜い。聞こえますか〜?私です。Faustです!…起きろ!』
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「…え?なになになに⁉︎何で外いるんだ⁉︎」
『おはようございます。Nさん。頭痛の後から意識とんでるね?』
「あ…うん…どうだった?」
『お前の意識がとぶくらいの女子高生集団だったw』
「嗚呼、やっぱり…」
何故だか納得いかない様子。
『どした?』
「いや…あのな…そのプリクラ台の裏にな…
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もう一人首吊ってんのがいたんだよね。」
作者Faust
《無色》とか、意味わからんという方は、
前作の『色』を一読してくださいませ。また、Nは『色』の時と同じ友人です。