改めまして、どうも、Faustです。
今回は創作です。
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1904年:ロンドン(夜
「お前は何をやっているんだ!!!!!!これじゃあ、利益どころか損するだろ!」
今日も父さんの怒鳴り声がする。
「はぁー、やだなぁ。」
最近ついてない。友達は僕を見るなり避けるし、今日返ってきたテストも芳しくない。おまけに、上級生は僕が“大会社の社長の息子”と知ったとたん、お金を要求してくる始末。本当に最悪だ。相談したくてもあんな状況の家族には無理だ。いっそ何処かに行ってしまいたい。
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『大人になんてなりたくないな』
窓を開け夜景を見ながら呟いた。一人でいるとついつい本音を漏らしてしまう。今だってそう。あんな父さんを見れば、どんな子だって思うはずさ。
《オトナ二ナラナクテホント二イイノ?》
…誰?今の声は。鈴の様な綺麗な声。
『気のせい…かな…』
そう呟いて窓を閉めようとした時、また聞こえた。
《ココヨ!メノマエ!》
ビックリして顔をあげると、そこには小さい妖精がいた。
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《オトナ二ナラナクテホントニイイノ?》
また聞いてきた。
『うん!大人ってつまらないと思う!』
気付いたら、そう叫んでいた。
《ナラ、イッショニ、“子供の国”ニイコウヨ!》
『“子供の国”?』
《ソウ!イッショウ、コドモノママデイラレテ、“シケン”モ“イジメ”モナイノ!》
…行ってみたい。そう思った僕は迷わずに
『行く!行かせて!』
叫んだ。
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《ソレジャア、コッチよ!》
玄関の方へ妖精は動き出した。幸い、誰もいない。やっぱり、僕はいなくても大丈夫なんだ。そう思っているうちに、妖精はどんどん進む。暗い。足元が見えない。妖精の光しか頼りはない様だ。
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『どこまで行くの?』
《コノ、モリヲヌケタところよ。》
『あの森を⁉︎』
《エエ、ソウヨ。もう直ぐね。》
嗚呼、僕はもう直ぐで“子供の国”に行けるんだ。大嫌いなこの国とはおさらばできる!
嬉しくなって自然と足は前へ出る。
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《ココよ!》
『ここ⁉︎』
ついたのは、崖。海にうつる月が美しい。
《ココから、飛ぶの!用意は出来た?》
『うん!』
《ココロの用意は?》
『大丈夫!』
《それじゃあ、行きましょう!》
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僕は飛んだ。風が心地良い。目下にはロンドンの街並みが見える。さようなら、ロンドン。さようなら、僕の家族。
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1904年:ロンドン(朝
街でちょっとした騒ぎがあった。
〈号外!号外!街一番の富豪である、あの社長の息子が自殺した!崖から飛び降りたらしい!遺体は砂浜にあり、即死だそうだ!号外!号外!…〉
作者Faust
このお話は、童話『ピーターパン』がもとになっています。