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短編2
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何かが起きる日。

クリスマス。何かが起きる日。私はそう信じている。

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キィ…

木製の扉を開ける。

彼が帰ってくるまでに薪を集めてこないといけない。

森の中にある、この、小さい山小屋は私と彼の住まい。何故こんな所に住んでるのかって?覚えてないわ。

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暗い森はもう、慣れた。だけど、クリスマスなのにこんな暗いと怖いわね。

そうそう、彼はよく「暗い森は怖い熊が出るぞ」って脅してくるの。いつもは、笑って『そんな事ない』って言うんだけれど、今日は本当に出てきそうで…

あら?

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一本の木の根元に2個の真っ赤な林檎が落ちている。

『きっと、神様からのプレゼントね!持って帰れば彼は喜ぶかしら?嬉し過ぎて泣いてしまうかも…』

クリスマス。奇跡が起きる日。信じていてよかったわ。このまま、何にもないクリスマスを過ごすはずだった私はとても嬉しかったの。

『よっこらせっと』

薪を背負い、林檎を抱え暗い森を元来た道へと向かって歩き出した。さっきより一段と暗くなっている。その時、

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《ガアアアアアアアアアア!!!!!!》

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熊が追いかけてきた。嗚呼、どうしましょう…

暗い森の中、私は走った。もう、何処が帰り道なのかわからなくなってしまったわ。

『ごめんなさい。見逃してください。』

わかっていたの。本当はあの林檎が熊の宝物だって事は。

熊は宝物が取られたからか泣いていて、私も怖くて泣いたわ。それと、二つの林檎も泣いていた。

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やっと、森を抜けた。

『…着いた…』

だけど気配を感じて振り返ったら、まだ、その熊はいたの。だから私は__

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「おかえり。」

『ただいま。ねぇ、これを見てちょうだい!きっと神様からの………』

彼は優しく微笑んで迎えてくれたわ。だけど、私の持つ二つの林檎を見て、悲しい顔をしたの。そして、こう言ったわ。

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「よく、聞くんだ。僕達の子供は、もうすでにこの世にはいないんだ。今なら間に合う。この子達を本当の母親に返してあげなさい。」

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え?林檎ではない?

あら、本当だわ。

幼い赤子が腕の中で眠っていた。

(嗚呼、神様…私は大きな罪を犯してしまいました…)

頭が真っ白になって、ただ、その言葉だけが回っていた。

彼は「まだ、間に合う。」と言っていたけれど…

『もう…無理…無理なのよ!だって…だって…』

__家の外で息耐え、横たわるは、

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“一匹の熊の姿__”

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“一人の女の姿__”

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亡骸の横には、ミルクの満ちた小瓶があった。

クリスマス。何かが起きる日。

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