私には弟がいる。家族の中では唯一私の霊感なるものを理解すると同時に嫌がっているのが事実である。そんな弟と私が初めて経験した話。
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ある日の夕方、私と弟で散歩をしていた。しかし、弟は活発であるが為に自転車でついてきた。勿論、散歩を始めて直ぐに先に行ってしまい、姿が見えなくなった。呆れながら散歩を続けていた私の元に驚きを隠せない顔で弟が戻ってきた。それはもう、結構なスピードで…
『どうした。』
「姉ちゃん!あのさ、今、おかっぱ頭の子に“よっ”って声かけられたんだけど、俺が返そうとしたらいなかったんだけど!」
『はい?』
一気に話すものだから、中々、頭が追いつかなかった。
『別に気にしなきゃよくn…』
「あ!いた!」
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弟が指さした先には確かにおかっぱ頭の子がいる。ただ、何かが可笑しかった。そう、“空気の流れ”が感じられなかった。生気がないと言うか、《無色》。
(あ、関わらせたらおしまいだ…)
そう、思って弟を連れ帰ろうとした。
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が、遅かった。きっと、好奇心からだろう。追いかけ始めたのだ。
『おい!〇〇!行くな!』
そう言っても聞こえていない。
(嗚呼…どうしようか…)
正直、弟は生きていると思っているはずだ。だがしかし、周りの人間は気づくことは愚か、何度か弟にぶつかりそうになっている。そう、“見えていない”わけだ。
考え込む私に弟は言ってきた。
「あいつ、追いかけても追いかけても、全っ然距離が縮まらない!てか、離される!」
ハッとして見れば、ありえない早さなのだ。私は言葉を失った。
(殺気だ…)
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その瞬間、いきなりその子は弟に猛スピードで近づいて来た__
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ココから先、我に返るまで極僅かな時間だが、私は記憶がない。
弟曰く、
「姉ちゃんがいきなり俺の目塞いで、帰ろうとか言うから不思議で少しだけ姉ちゃんの目見たけどスッゲー怖かった。なんで、あんな睨んでたの⁇誰も居なかったのに。」
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今でも、弟は“誰も居なかった”と言い張る。
この時から、弟は私の霊感を嫌うようになった。弟と私の体験はこの先も起きるが、また、別の機会で。
作者Faust
遅くなりましたが…
あけましておめでとうございます。
今回が今年の書初めになりますね。実話です。
急激に冷え込み、風邪が流行りだしているこの時期…
皆様、お気を付けください…
それでは、Faustでした。。。