あるところに不思議な少年がいました。
仮に名前をA君としましょう。
ある日少年は小学校の友達と遊んでいて
「かごめかごめ」をはじめました。
しかし、その子が当てる番になると絶対に後ろの子が誰かを言い当ててしまいます。
感がいいとか耳がいいなどと言っていた友達たちも
少しずつ気味悪くなって来てその日は別の遊びをして夕方には帰りました。
A君は以前、失せ物や天気などある程度の事を言い当てたりしていましたし一部を除いて本人も友人も特に気にしてはいませんでした。
ー ある日の昼休み
上級生の男の子が少年のクラスにやってきました。
「このクラスにAってやついるか?」
A君は上級生にも怯まず
「Aは僕ですけど何かご用ですか?」
と名乗り出ると上級生は
「お前、何か変なやつらしいじゃん
無くしたもの見つけたりさ
それって自分で隠してるだけなんじゃねーの?」
とニヤニヤしながら絡んで来ました。
A君は
「何でも見つけられるわけじゃないですしそう思われても仕方が無いですがそれで先輩にご迷惑をおかけした事はないかと思いますが用はそれだけですか?」
と返しました。
生意気な子供だと思われるでしょうが、A君はインチキ呼ばわりされる事に慣れてしまっているのです。
カチンと来た上級生は
「かごめかごめで絶対後ろにいるヤツ当てるって聞いたけどそれもインチキなんだろ?」
と更に絡んできます。
A君は
「インチキと言われても証明のしようがありません
顔を伏せている状態でどうインチキが出来るのか僕が教えて欲しいものです」
煽ったわけではなく当てると何故か気味悪がられるから何かトリックを使って絶対に当てられる方法があるなら純粋に知りたかったのです。
「おまえのインチキ暴いてやるから放課後かごめかごめをする
逃げるなよ」
と言い残して教室に帰って行きました。
その日の放課後、図書室で本を読んでいると昼の上級生が来ました。
「逃げるなって言ったじゃねぇか!!」
どうやら走って来たようで少し呼吸が上がっています。
A君は
「逃げてませんよ
先輩、今日日直でしょう
教室で待ってても暇だから図書室で時間を潰していただけです」
と本を閉じて棚へ戻しながら言いました。
「なんで俺が日直だって知ってんだよ誰に聞いたんだ」
と迫ってきますが図書館で大声を出したため先生に注意され追い出されてしまいました。
「かごめかごめ するんでしょう?」
A君は本を戻し終えて図書室から出て先輩に声をかけ校庭へ向かいます
「あ、おい待てよ!!」
先輩は慌ててついていきます。
このムカつく下級生を何とか泣かせてやりたいと怒りに燃えていました。
ーー校庭ーー
「お前が真ん中で俺ら6人で周りを回るいいな?」
周りを回る6人は全て上級生。先輩の友達でした。
自己紹介されましたが仮名をつけるのが面倒なので
絡んで来た先輩を①とし、以下②~⑥と呼びます。
A君の友達も心配して何人か来ていましたがインチキするからと離れてみているように言われました。
A君は心配そうにしている友達たちに
「僕は大丈夫だから終わったら一緒に帰ろう」
と言い、先輩達の元へ行きました。
「じゃあ始めるぞ」
と①が始めようとすると
「念のためタオルで目隠しもしようぜ」
と②が言い、目隠しもされることになりましたがA君は文句も言わず大人しく従いました。
そして、先輩6人に囲まれてかごめかごめが始まりました
「かーごめかごめ かごのなかのとりーは
いーついーつでーやぁる
よーあーけのばーんにつるとかめがすべった」
「うしろのしょうめんだーぁれ?」
「④さん」
「かーごめかごめ… うしろのしょうめんだーれ?」
「①さん」
…
……
………
「うしろのしょうめん…」
「⑥さん」
何度やっても正解でした。
①以外は初対面、タオルで目隠ししてしゃがんで俯いているし大声でも出さないとA君の友人達の声も聞こえない筈です。
インチキをしているようには到底思えず、①以外の5人は薄気味悪くなってきました
しかし①はどんどん腹が立ってきました
なぜこいつは言い当てられるのか?
どんなトリック使っているのか?
考えてもわかりません。
そこで①は他の5人に目配せしました
事前に何か打ち合わせをしていたのです。
「かーごめかごーめー… うしろのしょうめんだーぁれ!!」
止まったのは
「…僕の後ろには誰もいない。しいていうなら③さんと④さんの間」
正解でした。
①以外の5人の上級生は少し顔をこわばらせていましたが①が「次だ!!次!!」と怒鳴り回り始めました
「…かーごめかごめ……」
心なしか声が小さくなっています。
「うしろのしょうめんだーれ?」
「………」
はじめてA君が何も言いません
「おい、どうしたんだ?早く当てろよ」
と①が煽ります
A君が口を開きました
「いや…僕の後ろにいる女の子は誰ですか?」
「う、うわぁぁあああああ!!」
「もうムリ!!」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
言った瞬間、①以外の5人は叫び声を上げて逃げ出しました。
「お、お前ら待てよー!!」
①も5人を追いかけて走って行ってしまいました。
A君が立ち上がり目隠しを外して少し眩しそうに顔をしかめていると待っていた友人が走り寄って来ました。
「大丈夫?」
「こわくなかった?」
心配してくれる友人達に薄く笑いかけ
「ありがとう。大丈夫だよ」
と答えながら鞄を手にして「帰ろうかお腹空いた」
と言って歩きだしました。
歩き出してすぐに友人の1人が
「…さっきの…最後さ…Aの後ろって①さんと⑥さんが手を離して1人分スペースがあいてたんだけど…」
と恐る恐る言いました。
A君は
「うん、そうだね」
とサラリと返しました。
「女の子って…どういう事なの…?」
不安そうに俯きながらボソリと言う友人にA君は
「ああ、あれは嘘だよ。ちょっと脅かそうと思ったんだけど予想以上に驚かしちゃったみたいだね
わるいことしたなぁ」
と笑いながら答えました。
「あ、なんだ。そういう事だったのかよー」
「お前、悪いやつだなー」
と友人達も安心したように笑いました。
それを見てA君はにっこりと笑いながら
「あの広い校庭だよ?急に誰かいたら怖いよ」
と言いました。
「いやーお前ならってちょっと思っちゃったよー」
と笑いました。
「そんなはずないじゃないか
僕をなんだと思ってるんだよ」
「不思議くんかな」
「酷いなぁ」
なんて会話をしながら歩き校門まで来たところでA君はそっと振り向き
「さようなら。またあした」
と校庭に向かって言いすぐに友人達とワイワイ帰りました。
おわり
作者望月 優雨
読んでくださってありがとうございました。
やはり文章を書くのは難しいですねぇ
ところどころ句読点があったりなかったりで自分でも色々と気になるところはあるのですが…
眠気には勝てない!!というわけでそのまま投稿してしまうズボラな私をお許しください…
怖い や コメントを下さる方ありがとうございます!!
また、閲覧くださった方も感謝です!!
見ていただけているというだけで励みになります!!
次はどんな話を書こうかなぁ