短編2
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お稲荷様

私の田舎の話なのですが

私の祖母は、子供の頃は山奥にある小さな村に住んでいました。

その村の近くには、お稲荷様の神社があり

毎日、お稲荷様に油揚げを捧げていたそうです。

そのおかげで村は毎年、米がたくさん取れて米に困る事は一切無かったそうです。

しかし、米だけでは生活できないので

隣の村から米と牛肉を物々交換していました。

祖母と曾祖母が隣の村に米と牛肉を交換しに行く時に、

山のほうから『コーン コーン』と狐のような甲高い綺麗な鳴き声がよく聞こえてきたそうです。

祖母はまるでお稲荷様が鳴いているかの様な鳴き声だったと言っていました。

隣の村と言っても、そんなに長い道程では無く、いつもは無事に米を牛肉に物々交換して帰ることが出来ました。

それからしばらくしてある日、曾祖母一人だけで隣の村から米を牛肉に交換しに行きました。

しかし、帰る途中で片道20分もしない道程なのに一向に自分の村に着けませんでした。

それどころか何故か自分の村から遠退いて稲荷神社の方へ自然と歩いてしまいます。

三時間ぐらいしばらく歩き続けていたら、辺りは真っ暗くなっていました。

曾祖母はせっかく交換して貰った牛肉を離さないで両手で抱えて、暗闇の中歩き続けました。

必死に歩き続けると、『コーン コーン』と鳴き声が聞こえた後だんだん自分の村が見えてきました。

無事曾祖母は自分の家に着きました。

曾祖母はお稲荷様は牛肉が欲しかったのかねと祖母に話していたそうです。

実は曾祖母が迷った日は毎日捧げていた油揚げを捧げていなかったみたいです。

お稲荷様のお怒りを受けたのでしょうか・・・。

お稲荷様は偉大であり怖い存在だと祖母から聞かされました。

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じゅんのこ様、はじめまして
民俗学的でとても面白いです

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