隣のドアが開く音がする。
俺は、偶然を装って、玄関前で待機してたのを悟られないように、ドアを開けた。
「おはようございます。」
俺が先に声をかけると、その美しい隣人もにっこりと微笑み
「おはようございます。」
と返してくれた。
めちゃくちゃいい匂いがする。風上に立った彼女から、女を象徴するような甘ったるい香水の匂いがした。
微笑みつつ、先の細いピンヒールをカツカツと言わせて、階段を下りて行った。
こんな安アパートに、あんな美人が住んでいるなんて、つい最近まで知らなかった。
どうやら、夜の仕事らしく、朝出会うことは滅多に無いので、今日はラッキーだ。
たまんねえな。いいケツしてやがる。
俺はいやらしい目で彼女の後姿を嘗め回すように見た。
その夜、あらかじめベランダから、物干し竿を使って盗んでおいた彼女のパンティーをかぎながらオナニーをした。
俺はもう、それだけでは物足りなくなり、とうとう、ベランダから命がけで隣の部屋へ侵入を試みた。
そして、俺は、さんざんベッドの上で彼女のにおいを堪能したあと、箪笥から下着を失敬しようと、漁っていたところに、彼女が思わぬ時間に帰ってくる気配がした。あの独特なピンヒールの音がしたので、俺は慌ててベッドの下に隠れた。
がちゃん。鍵が開く音がして、俺はベッドの下で息を殺した。
ヤバイなあ。シャワーでも浴びてくれないかな。俺は逃げるタイミングをはかっている。
彼女がベッドの上に腰掛けると、少しベッドがきしんで、俺の頭部を圧迫した。
うう、きつい。でも、今声は出せない。
彼女の匂いがほんのりと漂ってきた。
ああ、俺は、今彼女の下に居るのか。俺は、彼女が上に乗って、腰を振る姿を想像して、下半身がむくむくと盛り上がってくるのを感じた。
「はあ~、やりてえ~。」
俺は、その言葉で妄想が吹き飛んだ。
え?やりてえ?今、男の声がした。
俺は、ベッドの下から覗く足を確認した。これは確かに彼女の足だ。
このにおいもいつもの彼女の匂い。
しばらくすると、すぅはぁと荒い吐息が聞こえてきた。
これも男の物らしい吐息だ。
「くそー、隣の男、いい男だなあ。あああ~、これをぶち込みてえ。
あの男のケツに、ぶち込みてええええええ!」
獣のように吼えながら、ベッドがギシギシと軋み、吐息が速くなる。
俺には、この上で何をしているのかわかる。
それは、俺が昨日、彼女と思われるこのベッドの上にいる物のパンティーをかぎながらしたことと同じ事をしているのだろう。
マジかよ。男の娘?
「ブーンブーンブーン」
その時、突然、俺の尻のポケットに入れていた携帯のバイブが鳴った。
や、ヤバッ!
その音源に気付いたその部屋の主は、ベッドの上から、逆さまに下を覗き込んできた。
すると、にやりと笑うと
「みぃ~つけたあああああ!」
そう言うなり、俺を凄い力で引きずり上げ、ベッドに腹ばいにさせた。
「や、やめっ!ぎぃやあああああああああ!」
作者よもつひらさか
綿貫様すみませんw
「ベッドの下の女」http://kowabana.jp/stories/26025