短編2
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猫の視線の先に居るもの

N県のKさんの話

Kさんの家では1匹の猫を飼っていた

4歳になるその猫は、白と茶トラの混ざった柄でとてもおとなしい猫だった

ある日の事、Kさんが夜遅くに帰宅し、遅い夕食を居間で摂っている時の事だった

Kさんの家は居間から玄関が見えた

玄関には猫の出入口の為に床下の木の板が外されていた

Kさんはおやっと思った

いつもだったら寝ている猫が玄関の方をじっと見つめていたのだ

(もしかして、よその家の猫が来てるのかな)

そう思ったKさんは猫と同じく玄関をじっと見つめていた

すると突然、床下から真っ白い腕がにゅっと出てきた

(なにあれ!)

Kさんは訳がわからず、ただグネグネと動く白い腕を見ている事しか出来なかった

その他2~3分で腕は床下に戻っていった

(なんだったの、今の...)

そう思いつつ猫の方を見ると、まだ玄関の方を見ていた

それも何かに怯えるような感じに...

Kさんは恐る恐る玄関の方を見た

そして"そいつ"はいた

全身真っ白で、子供ぐらいの大きさ

そしてなにより驚いたのが顔だった

目も鼻も口もなく、顔の中心に小さな穴が空いているだけだった

Kさんは"そいつ"と目があった気がした

すると"そいつ"は徐々に体を左右に揺らし始めた

最初はゆっくり揺れているだけだったが次第にどんどん早くなり、今はすごい勢いで揺れている

Kさんは恐怖で"そいつ"が揺れているのを見ている事しか出来なかった

その時、飼っている猫がフーッと"そいつ"を威嚇した

すると"そいつ"はピタリと動きを止め、イソイソと床下に戻っていった

その後、Kさんが"そいつ"を見る事はなかった

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