廃墟探索が好きなSさんの話
ある民家の廃墟を訪れた時の事、オルゴールが落ちているのを見つけた
廃墟にあるにしては綺麗でネジを巻けばまだ動いたという
そしてとても綺麗なメロディが流れた
Sさんはそのオルゴールを失敬して持ち帰ってしまった
家に帰るなり、Sさんはオルゴールを鳴らした
綺麗なメロディが流れる
二回目を聴いた時、Sさんはおやっと思った
メロディに混じって変な音が聴こえてくる
三回目、変な音が女の呻き声である事に気付く
四回目、女の呻き声がよりはっきりと聴こえてくる
五回目、今までで一番大きな呻き声
と、その瞬間天井でものすごい音がした
誰かが二階で走り出した
ドンドンドンという音が天井を走り回っている
驚いたSさんがオルゴールを止めた
すると同時に二階の音も止んだ
後日、Sさんは急いでオルゴールを廃墟に返しに行った
余談だがSさんは一人暮らしである
作者西園寺 紅音