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これは筆者、すなわち私が群馬県と埼玉県の境にある自殺スポット兼心霊スポットの金比羅橋に行った時の話です
何故金比羅橋に行ったのか、今でもわかりません。
バイト上がりの午後7時頃、真っ直ぐ家に帰るのもつまらないからドライブがてらどこかへ行こうと思い、真っ先に思い付いたのが金比羅橋でした。
スマホで位置を調べ、山道を走る事約2時間。
ようやく神流湖に到着しました。
すでに車の往来はあまりなく、辺りは静まり返っていました。
私は車をゆっくり走らせ金比羅橋を探しました。
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すると暗闇におどろおどろしい程に真っ赤な支柱が現れました。
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(あった!金比羅橋だ!)
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私は車を道の端に停め、ライトを持って降りました。
ライトに照らされた真っ赤な支柱は夜の暗闇と混ざり合い、異様な雰囲気を醸し出していました。
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意を決して私は橋を渡り始めました。
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橋の上はごうごうと風が吹き荒れ、まるで橋から落とそうという意思があって吹いているようでした。
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橋の中頃を過ぎた時、一瞬、ライトに光に黒い影が横切りました。
一瞬の事だったので何が横切ったのかまではわかりませんでした。
サイズはちょうど成人男性の頭部ぐらいだったと思います。
ビニール袋等ではないのは確かです。
横切ったものはビニール袋のように光を反射せず、辺りの暗闇のように真っ黒でした。
私は自分に木の葉か何かだと言い聞かせ、橋を渡り続けました...
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そしてついに私は金比羅橋を渡りきりました。
そこで支柱の「金比羅橋」の表札をスマホで撮影しようとした時でした。
私は表札に違和感を覚えました。
表札に近づいた時、違和感がはっきりしました。
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(金比羅橋じゃない!)
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表札には「金比羅橋」とも「琴平橋」とも書かれていませんでした。
私は驚きと恐怖が混じり合いながらスマホで地図を確認しました。
私は恐怖で眩暈がしました。
そう、神流湖に架かる橋は二つあり、私が渡ったのはもう片方の橋だったのです。
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「行きは良い良い、帰りは怖い」の言葉通り、戻る時の方が怖かったです。
橋の側に停めた白いボディの私の車が、ぼんやりと見えましたが、いつまで経っても近づかないように感じました。
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ようやく車にたどり着いた私は急いで車に乗り込み「金比羅橋」へ向かいました。
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そして先程の橋と同じように車を降り、歩いて一往復し、支柱の「金比羅橋」の表札を確認し家路に着きました。
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今思っても何故金比羅橋に行こうと思ったのか、何故橋を徒歩で渡ろうと思ったのか、ライトを横切った黒い影はなんだったのかはわからないままです。
もしかしたら、何者かに呼び寄せられていたのかもしれません.....
作者西園寺 紅音