今日は私のお誕生日。
この町に引っ越して来たばかりだから友達はいないけど、ママが近所の子たちを集めて来てくれた。
ママがケーキを準備している間に自己紹介をした。
私はママが大好き。
Aちゃん、Bくん、Cちゃん、Dちゃんの4人。みんな優しそう。
「はーい、ケーキできました」
ママがろうそくの刺さったケーキを持って来てくれた。
「さあ、これ持って」
ママはクラッカーの入った袋を開け、袋の口をみんなに向けた。
4人は一つずつクラッカーを取って、紐をピンと張った。
「じゃあ、お歌を歌いましょう。それで、歌い終わったらクラッカーを一斉に鳴らすの」
みんなはママの、「せーの」の合図で歌いだした。
「「「「「はっぴばーすでー とぅーゆー ばーすでー とぅーゆー」」」」」
ママたちは手拍子をしてくれているけど、CちゃんとDちゃんは手拍子してくれないし、恥ずかしいのか声も小さい。
嫌な子たちだなと思った。
「「「「「はっぴばーすでー でぃあ ○○ちゃーん はっぴばーすでー とぅーゆー」」」」」
パン!!!
大きな音が聞こえた。
ちょっと怖かったけど嬉しかった。
「○○、願い事をしながら火を消して」
私は黙って9本のろうそくを見つめた。
だんだんCちゃんとDちゃんが恨めしく思えてきた。
私のお誕生日なのに、2人はちゃんと歌ったり手拍子してくれなかった。
(…CちゃんとDちゃんが呪われますように)
つい意地悪な気持ちで願ってしまった。
軽い気持ちだった。
一度こんなことをしたら、パーティーはぜんぜん楽しくなくなってしまった。
つまらない時間は長く感じた。
ようやくパーティーは終わり、4人は帰っていった。
私はAちゃん、Bくんと仲良くなった。CちゃんとDちゃんは…もう会いたくない。
小さなことで2人を嫌いになった自分も嫌いになりそうだった。
でも、ママには感謝していた。
「ママ、どうやってあの子たち集めて来たの?」
「ああ、お隣の子よ。顔そっくりだったでしょ?双子なんですって」
ママはそれ以上何も言わなかった。
他の2人のことは何も言わなかった。
聞こうと思っても、なんとなく怖くて聞けなかった。
もしあの2人のことをママが知らなかったら…
お誕生日会に来ていた子たちが、本当は2人だけだったら…
あの子たちは誰だったのか、今でもわからない。
作者千月
意味がわかると怖い話です。