【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編5
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村上さんと村上さん

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いらっしゃいませ おでん屋でございます。

大根、牛すじ、ちくわにはんぺん...各60円で販売しております。

60円がないお客様には特別に、おでん1つにつき怖い話1つで販売しております。

今日はお金を払えない村上さんのお話です。

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私ゲームが好きでね、面白そうなゲームは手当たり次第やってるんだけど...

一昨年デオンライフっていうゲームをダウンロードしたの。

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自分そっくりなアバターを作って仮想の世界で買い物したり働いたりするゲームなんだけど、

現実じゃ着ないような可愛い服を着たり他の住人と話すのが楽しくて、暇さえあればずっとインしていたの。

自分に似せただけあって愛着も湧いて、疲れてる時なんかはそっちが本当の自分だって現実逃避したくらい。

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登録して3ヶ月くらいかな?

仕事帰りに私にそっくりな人を見たの。

私自身そんな特徴的な見た目じゃないし、似てる人もいるだろうなってあまり気にしなかったんだけど、その日を境にそっくりさんは度々私の前に現れるようになったの。

会社の友達に話してみたらドッペルゲンガーじゃないかって言われたんだけど、体調を崩すこともないし特に害はなかったの。

そんな嫌な気分の日こそデオンライフで買い物してストレス発散しようって思って、

現実では着てみたいけど勇気が出ないちょっと派手な服を買ったの。

すぐに着替えさせて他の住人たちとミニゲームしたりお喋りしたり...。

そうしていればそっくりさんの事なんて忘れられたの。

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そんな毎日に変化が起こったのは登録して半年くらい立った頃。

いつも立っているだけか座っているだけだったそっくりさんが、私の方へ歩いてきたの。

しかもちょっと、怒ってた。

「あんた許さないから!」

彼女は私にそう言ったの。

彼女に対して何も悪い事はしていないし、気味の悪い思いをしているのは私もなのに、どうして私だけがこんな事を言われなきゃいけないのか...すごく腹が立ったわ。

でもなんて言い返せばいいのか言葉が出てこなくて、黙っている内に彼女は去っていってしまったの。

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家に帰ってからもその事が頭を離れなかった。

仕方が無いからデオンライフをしながら、彼女の事をひとつひとつ思い出していたの。

顔、髪型、スタイル、服装....。

そういえば服、ダサかったなぁ。

そんな失礼な事を思い出しながらその事を日記に書こうとしたの。

デオンライフでは1日1回日記を投稿出来るんだけど、その日は既に投稿済だってエラーが出たの。

間違えて送信しちゃったのかもって投稿ページを見に行くと、ちゃんとしっかりと日記が投稿されていた。

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読んでみると、今日の夕方のあの事だった。

でもそれは私目線ではなく、私そっくりの彼女目線からのものだったの。

「あのドッペルゲンガーに怒ってやった!」だって。

仲のいい住人からもコメントが来ていて消すには悪いし、とりあえずそのままにしておいたんだけど、やっぱり気持ち悪い。

気分転換に着せ替えでもして遊びに行こうと思って、気付いたの。

ゲームの中のクローゼットに今まで買った服が一つも入っていなくて、

代わりにゲーム中で売ってないような地味な服が沢山あったの。

メンテナンス後だったしバグかなって思って服を見てたらね、気付いちゃったの。

その服、私が普段着ている服に似てるなって。

スカートも、ブラウスも、コートも、スーツも...みんな私が現実で持っている物だったの。

私は携帯をベッドに放り投げて、急いで隣の部屋のクローゼットを開けに行った。

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そしたら、やっぱりっていうか…ゲーム中で買った服たちがクローゼットに入っていたの。

どれもこれも可愛いけど、ダサい。

どうしてこんなことになっているのか、明日の仕事に何を来て行けばいいのか、クローゼットの前で頭を抱えたわ。

マトモな服はその時着ている服しかなくて、仕方がないから次の日も同じ服で出勤しようって脱がずに寝たの。

脱いだら無くなっちゃう気がして、ね。

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翌日仕事を終わらせて急いで服屋へ行って数枚服を買ったの。

クローゼットに入れないで、テーブルの上にでも置いておこうって考えながら帰った。

でもね、そんな甘いもんじゃなかったのよ。

家について買い物袋から出した服は、さっき買った物じゃなくて悪趣味なスカートやシャツになっていたの。

そのせいで次の日も同じ服で出勤したら、同僚に嫌な目で見られちゃった。

洗えないのは流石に...と思って、また服屋に行って試着室で着替えてそのまま買ってみたの。

思った通り脱いで袋に入れた服はダサい服に代わり、着ている服はそのままだった。

そんな事を毎日のように繰り返し、お金がどんどん服へと変わっていったある日...久しぶりに彼女を見かけたの。

彼女は無くなった私の服を着ていた。

私はその状況が全く理解出来ていなかったけれど、彼女が私の服を取ったんだって思って今度は私が怒ってやろうと思ったの。

彼女に近付いて、「あんた許さないから!」って言ってやったわ。

彼女は黙ってた。

もっと何か言ってやろうと思ったけど頭に血が上りすぎて言葉が浮かばなくて、そのまま帰ったの。

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家に帰ってデオンライフを開いて日記を書いた。

「あのドッペルゲンガーに怒ってやった!」って。

腹が立ったからゲームの中の服を全部売って、今までにないくらいダサいやつに買い替えてやったの。

そして3ヵ月前、また彼女が現れて私に怒鳴ってきたの。

そして家に帰ると半年前と同じように、クローゼットの中身が入れ替わっていたの。

前回と違ったのは、ゲームのクローゼットはダサい服。私のクローゼットは超ダサイ服ってことくらい。

...で、昨日彼女にまた会って「あんた許さないから!」って言ってやったのよ。

やっぱり彼女は黙ってて、私もやっぱりそこで言葉がつまって帰ったの。

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...ねぇ。私、どっちなんだろう?

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そう話し終えると村上さんはダサい服に汁をこぼしながら、ごぼ天を食べて帰っていきました。

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確かにゲームの服って現実で着るとなると、ダサいですよね。ゲームの自分と自分?ドッペルゲンガーと自分?繰り返される日々、服もゲームの服に入れ替わる、自分がどっちの自分か分からなくなる…怖い〜怖いの連続だ〜!

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あんみつ姫さん コメントありがとうございますm(_ _)m
冬にアツアツおでんは頻繁に食べるのですが夏の冷えたおでん、食べたことがないのです。
今度冷やしてみようと思います。

息子さんがおかわり欲しさにお母さんもびっくりな怖い話を話し始めるよう、魅力的なおでんを売らなければ...!
書き終わるとびっくりするくらい怖くなくなっている事が多々あります。
時間取れない日が続きますがまた何か書くのでよろしくお願いします┏●

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ラグトさん コメントありがとうございますm(_ _)m
巻き、お口にあって良かったです。
痒い話ありがとうございます。...60円です。
妄想小話、何気に気に入っております。

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おでん屋様
初めてコメントさせていただきます。
あんみつ姫です。
ストレスの吐き出し口が「怖い話」を読んだり書いたりすることです。
外は真夏日。
今日は、冷たく冷やしたおでんを食べたい気分です。
温めても冷やしても美味しい おでん。
おでんは、庶民の食べ物ですよね。
こんなおでん屋さんがいたら、息子と二人で、毎日でも通いたい私です。( ^^) _旦~~
でも、隣に座った人が、こんな怖ろしい話を語り出したとしたら・・・・・
「深夜食堂」のような味わい深い絵柄も好きです。
また、作者様である おでん屋さんのお人柄なのでしょうか。
怖い中にも、どこかほのぼのとした味わいがあり、アップされるたびに読みに来てしまいます。
おでんのネタもたくさんございますから、これからも楽しみにしておりますね。

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よもつひらさかさん コメントありがとうございますm(_ _)m
食べ物を食べなくても生きていけて簡単にお金が稼げる世界は魅力的ですね。
ゲームの中でも仕事して家賃をはらってご飯を食べて...というゲームは、途中でアレ?となります。
しかし、よもつさんのD物の森は楽勝人生を歩める気がしません...。

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そういえば今までしていなくて申し訳ないのですが、
この話に限らず、各話に怖いボタン押してくださった皆さんありがとうございますm(_ _)m
コメントに対してしかお礼を言っていなかったので...まとめてになっちゃいますが、ありがとうございます。

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2度押すと怖い解除になっちゃうんですね((((;゚Д゚)))))))
すみません、パチパチやってしまいました

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