子どもの頃の話です。
今から思うと、私は凄く好きな事に、のめり込むタイプの人間だったと思います。
家が貧乏だったせいか、遊びといえば、魚とり、虫とり、何故あんなに熱心に山や川に入って行けたのか、自分の事ながら、笑ってしまいます。
nextpage
私の経験の中で不思議に思って、今だに、よくわからないもののひとつに風がついて来る経験があります。
虫とりでの経験ですが、京都のある有名なお寺の裏山が、偶然私の虫とりのコースと重なっていました。
nextpage
私はその裏山へは北山の林道からわけ入る形で入って行きました。
入ってすぐに、くぬぎの大きな木があり、その木はいつも、甘い樹液が出ていて、私の好きなブンブンやベタがいました。
時々、ヒラタクワガタやボウズも、いるのですが、そういう大物がいる時は、決まって隣に、スズメバチが一緒にいました。
nextpage
その木をやり過ごして、山を登ると、二、三本細いくぬぎの木があり、その木は蹴って揺らすと、不思議とカラカラと音を立てて、クワガタが落ちてくる木でした。
nextpage
そして、その木をやり過ごすと、山の斜面を見渡せる場所に出て少し明るくなり、お寺の裏に出ます。
ここにも、ベタやわりと大きなクワガタな
どがよくいました。
細いくぬぎの木でしたが、二、三本樹液がいつも出ている木があり、そこを折り返して帰るのが、私の虫とりのコースでした。
nextpage
ちょうど、此の折り返しの際に、不思議と
頭の上の木々が、決まった様に、ザワザワと揺れ、私の歩く上を風がついて来ました。
不思議と怖くは、ありませんでしたが、風は、私から離れることは、ありませんでした。
nextpage
あの、並走しに来る様な風は一体何だったのか、今だに分りませんが、悪いものではなかった様に思います。
同じ様な経験をされた方はいらっしゃいませんかね。
半世紀前の話しですがね。
作者パパ