中編3
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恐ろしき恋人

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油蟬が声をからして鳴いていた。

その鳴き声は聞いている者に「必死で鳴いています。」という印象を与えるが、もう長くはもたないであろう。

始め友人が「おい、お前の彼女浮気しているぞ。男と2人で腕を組んで歩いていた。」

と聞いた時は信じられなかったが、その友人は冗談を言うにしても場をわきまえる奴だから、嘘では無いと思う。

ただ、そのまま情報を鵜呑みにするのもどうかと思ったので探偵を雇って調査することにした。

結果は...お分かりだろう。

『柿崎さん』とやらとレストランへ行き、帰りにホテルへ...

許せない。

思い知らせてやる。

そろそろプロポーズしようと思っていた、付き合って2年半での出来事だった。

「どうかしたの?」

横手から彼女の声が聞こえた。

ハッと我に返る。

そうだ、僕は今デートをしていたのだ。

「優香、何でもないよ。少し考えごとをしていたのさ。」

まさか君を殺すことについて考えていた、なんて言えない。

この日は何事もなく、最後になるであろうデートが終了した。

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マンションへ帰って来た。居間にある椅子に座りながら殺人計画について考える。

(警察も馬鹿じゃ無い。何も考えず殺害したとして足がつかないと思えない。仮に良い案があるとしても、人間関係から俺が容疑者候補として名前が挙げられるのはまず確定だろう...クソ、どうすればいいんだ!)

俺は頭を掻きむしったが良い案が思い浮かぶことは無かった。

そうだ、気分転換も兼ねて風呂にでも入ろう。

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ちゃぷん。

お湯が作り出す温もりが疲れた体に染み渡る。

「いい湯だ。」と思わず声が出た。

そういえば最近、のんびり休んでないな〜

眠たくなってつい目を閉じた。

.... . . . . . .

危険を感じ目を開けるとお湯は冷め始め、鼻からぬるま湯が入りそうになっていた。

フゴッ!

俺は子供の頃、笑いごとでは無く風呂で溺れそうになった経験があったのだ。

慌てて起き上がりながらふと『事故死』について考えた。

(優香に何とか事故を起こせないものか?)

頭に突き出た案は「呪い殺す」だった。

元々呪いなどは信じていない。が...

(試して損はないだろう。成功しても法的に罰せられないからな...)

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風呂場から出て、服を着てからネットで詳しく調べようとiPhone5sをポケットから取り出し「呪い殺す」と検索した。

すると検索結果には「素人如きには限界があり、呪い殺せるか確証が無い。できたとしても時間がかかるし、リスクも大きい。又、呪い代行の業者も非常に高額な報酬を要する。(数十万単位)」

俺は苛立ちの余りiPhoneを壁に投げつけ、思い出したように慌ててiPhoneを救いに行く。

(良かった。画面にヒビが入っていない。)

気に入っていたiPhone カバーが少し犠牲になったが気にしないことにした。

こうして夜は更けていく。

その頃

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彼女は、『浮気相手』とは別の男と食事していた。

レストラン内には煌びやかな装飾が施され窓からは高層ビルを見降ろせる。

華やかだがどこか落ち着いた雰囲気を持つこのレストランは、どう見ても周囲のレストランには無いであろう上品さを持っていた。

彼女はデザートを食べながら、食事相手に最早邪魔でしかない恋人の始末を依頼した。

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ともすけ様
コメントありがとうございます。
これからも怖いと思える話を作れるように精進したいです。

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天狗風さん、こんばんは!
こういう作品は好きです。怖かったです!
文の最後を見て『ああぁ〜…』と思わず声に出してしまいました。

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珍味様
コメントありがとうございます。
オチと呼べるか疑問な程度のオチを付けました。
この後どうなったのか想像するとワクワクします。
何にせよ碌な事が起きないでしょうが...

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